初回 内燃機関のイノベーション
text:Lawrence Allan(ローレンス・アラン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
数年前まで、内燃エンジンの技術的な開発は頂点に達したと考えられていた。マツダがイノベーションをなし遂げたと発表したのだから、強い関心を示さないわけがない。
そのマツダの主張を確かめるには、短時間の試乗はもちろん、1週間のレンタルでも時間は足りなさそうだ。様々な条件で、じっくりとこのクルマとエンジンを評価する必要があると感じた。
そう、新しいマツダ3。日本では最近までアクセラを名乗っていたハッチバック。注目のスカイアクティブ-Xを搭載した、初めてのモデルだ。
長期テストの期間でも、もしかすると完全には評価できないかもしれない。それでも、少なくとも走行距離が伸びるほどに、この革新的なシステムの長所と短所は確認できるはず。編集部の足として空港への移動のほか、長距離テストや、往復で130km近い筆者の通勤にも使う予定。
スカイアクティブ-Xについて簡単におさらいしよう。このガソリンエンジンは、他の自動車メーカーが長年実現できなかった技術を採用している。主に軽負荷時でディーゼルエンジンと同じ、圧縮点火と呼ばれる燃焼を利用する、火花点火制御圧縮着火(SPCCI)という仕組みだ。
ガソリンを気化させた希薄な混合気は、16.3:1という非常に高い圧縮比でシリンダーに送り込まれる。しかし、このままでは圧縮点火はしない。
英国でも評判のいいスタイリング
ピストンが上昇し薄い混合気を圧縮すると、少量の濃い混合気を点火プラグ周辺に噴出。プラグで濃い混合気に点火され爆発を起こすと、圧力が上昇し、シリンダー内の薄い混合気が圧縮着火するというわけだ。
マツダはこの効率を高めるために、スーパーチャージャーを採用している。パワーを稼ぐためではなく、燃焼プロセスに必要なたくさんの空気を取り込むために。
さらに複雑なことに、電圧24Vによるマイルド・ハイブリッドも組み合わされている。減速時にエネルギーを回生し、加速時にエンジンをアシストしてくれる。
自然吸気で180psを発生するガソリンエンジンが、二酸化炭素を100g/kmほどしか排出しない、という点がポイント。燃費は、実環境で17.7km/Lがうたわれている。技術的には複雑に聞こえるが、マツダの魔法とでも考えると良いだろう。
欧州では、フォード・フォーカスと直接対決することになるマツダ3。注目すべきはボンネットの内側に隠れているだけではない。
まず何といっても、洗練されたスタイリング。英国AUTOCARの編集部でも、すこぶる評判が良い。先代モデルが醜かったわけではないが、新しいモデルのミニマルでクリーンなライン構成と並んでしまうと、カーブのまとまりが弱い。
プロポーションも、ライバルとは異なる。ボンネットは明らかに低く、ルーフが急角度のリアガラスへと続く。厚みのあるCピラーが、フロントライトやリアライトと合わせて、明確なアイデンティティを生んでいる。
インテリアデザインも秀逸
個人的には、このクラスで最も美しいクルマだと思う。ボディカラーはソウルレッドではなく、マシングレー。ブラックのホイールと、バーガンディのレザー内装との組み合わせに満足している。
インテリアも、マツダ3の明確な強み。まず、手に触れるすべての部分の質感が高い。ドアの内張りやアームレストは肉厚のパッドを内包し、スイッチ類も高級な削り出しのよう。
潤いすら感じさせる素材の組み合わせは、メルセデス・ベンツ並みの雰囲気さえある。多くの人が高い評価をしていることにも納得できる。
表面的な上質感だけでなく、深みすら感じさせるのが、人間工学にもとづく完璧と呼べそうなデザイン。長期間乗っていれば些細な欠点も見えてきそうだが、1600kmほど走った段階では、まだ見つからない。
エアコンや基本的な音楽系の操作、運転支援機能などには、操作のしやすい物理ボタンが残されている点も評価できる。インフォテインメント・システム用に便利なロータリースイッチを残しているのは、最近ではマツダとBMWだけ。
シンプルでわかりやすいメニュー構造と合わせて、すべての操作を簡単に行える。他の自動車メーカーの人にも読んでもらいたい。タッチスクリーンと音声操作に頼りすぎると、かえって操作はしにくくなると思う。
ほとんど不満を感じさせない
今回導入したのは、英国仕様のGTスポーツというトリムグレードで、トップグレードの1つ下。それでもヒーター内臓のレザーシートとステアリングホイール、12スピーカーのボーズ製サウンドシステム、ヘッドアップディスプレイなど装備は充実。運転席側はパワーシートでもある。
ベースグレードであっても、LEDヘッドライトと交通標識認識機能、レーダー・クルーズコントロールが付いてくる。キーレスエントリーも素晴らしい。ドアハンドルを撫でるだけで、施錠できるのだ。
今までで気になる点といえば、着座位置がスポーティさを感じるほど低くないこと。またリアのヘッドルームが狭く、大人からは不満が出ていることくらい。
とりあえず出だしは順調。このまま、良い評価が中心で長期テストを終えられるだろうか。
セカンドオピニオン
とてもハンサムなルックスの、新しいマツダ3へ試乗するのが待ちきれないほど楽しみだった。中に入れば、本物のスター級選手だとわかった。見た目が素晴らしいだけでなく、質感も良く滑らかに動く。
一方で、スカイアクティブ-Xには少しがっかり。ディーゼルエンジン並みのトルクを期待していたのだが、それほど太いものではなかったのだ。 Kris Culmer(クリス・カルマー)
テストデータ
テスト車について
モデル名:マツダ3 2.0 180PS GTスポーツ(英国仕様)
新車価格:2万6675ポンド(381万円)
テスト車の価格:2万7545ポンド(393万円)
オプション装備
マシングレー・メタリック・ペイント:670ポンド(9万5000円)
バーガンディ・レザートリム:200ポンド(2万8000円)
テストの記録
燃費:17.2km/L
故障:なし
出費:なし
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