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電気自動車を声高に主張する必要はない

掲載 更新 15
電気自動車を声高に主張する必要はない

発表から2年をかけて、日本にやってきたアウディ製電気自動車。まずはクーペフォルムのスポーツバックが導入された。EVであることを主張しない、さりげないスタイルをもつSUVを試した。

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アウディとしては日本初となる電気自動車(BEV)、「e-tronスポーツバック」が上陸した。SUVスタイルの「e-tron」が発表されたのは2018年9月のことだったから、丸2年をかけてようやく日本にやってきたというわけだ。ボディタイプはe-tronとクーペスタイルのe-tronスポーツバックの2種類があるが、日本へはまず後者から導入を開始し、追ってe-tronをということのようだ。

ボディサイズは全長4900mm、全幅1935mm、全高1615mmで、Q5よりひとまわり大きく、Q7やQ8よりは少し小さいといったところ。全高はいずれのモデルよりも低い。SUVクーペに“スポーツバック”という名称を使うのは新型 Q3から始まったものだが、実際に並べてみてもサイズはもちろん異なるがスタイリングはよく似ている。

e-tronスポーツバックは、電気自動車であることを声高に主張していないのが個人的にはとても好ましい。Q3スポーツバックと比べて明らかに異なるのはフロントグリルと左右のフロントフェンダー上部に充電ポートが備わっている点。あと今回の試乗車だった導入記念の「e-tronスポーツバック55クワトロ ファーストエディション」はサイドミラーが小型カメラシステムを内蔵するバーチャルエクステリアミラーになっていた。これらが外観上の大きな違いだが、普通の人は言われなければ、これが電気自動車だとは気づかないだろう。

プラットフォームや足回りなど多くをQ8のものを採用する。前後アクセルにそれぞれ計2基の電気モーターを、ホイールベース間のフロア部分に95kWhのリチウムイオンバッテリーを配置する。最高出力408ps、最大トルクは664Nmで、通常は主にリヤのモーターを使用することでエネルギー消費を抑え、滑りやすい路面や急加速やコーナリング時などにフロントモーターが駆動。電気モーターのトルクが立ち上がるまでに要する時間は、わずか0.03秒という最速のクワトロ4WDシステムだ。0~100km/h加速は5.7秒とスポーツカー並みで、車両重量2.5トンを超えるとはとても思えないほどの加速性能をみせる。一充電あたりの航続可能距離は最大405km(WLTCモード)だ。

過剰な演出の要らない、静粛性とその走り

走り出してすぐに、その静粛性の高さに驚いた。昨年海外でSUVタイプのe-tronを試乗する機会があったが、それよりも明らかに洗練されていた。ちなみにe-tronのCd値は0.27、スポーツバックは0.25になる。試乗車にはサイレンスパッケージとして静音性の高いアコースティックサイドガラスやバーチャルエクステリアミラーが装備されていたこともあって、100km/hでは風切り音もまったく聞こえない。またタイヤにも吸音スポンジが仕込まれているようで、ロードノイズがわずか遠くに聞こえる程度だ。ハンドリングもe−tronよりは背が低いだけあって、軽やかさがある。

ジャガーiペイスやポルシェタイカンなど、スポーツモードで電気的な音を出す工夫を加えているが、このe-tronにはそれもない。エアサスペンションがもたらす滑らかな乗り味ともあいまって、静謐で上質なドライブ体験が味わえる。

エネルギー回生に関しては、ステアリングに備わるシフトパドルを使って3段階の調整が可能だが、完全停止するような仕様にはなっていない。またマイナス0.3Gまでの減速であればモーターの回生だけで賄われており、仮にドライバーがブレーキペダルを踏んでいたとしても物理的なブレーキは作動していない。これで日常の使用シーンの約90%をカバーしているという。0.3Gを超えてはじめてメカニカルブレーキが制動をはじめるというわけだ。また自動モードを選択して高速道路などでACC(アダプティブクルーズコントロール)を使用すれば、ミリ波レーダーによって自動的に回生のレベルを調整してくれる。そのチューニングは極めて自然なもので、高速クルージング時などは、クルマ任せにしておけば快適かつ効率的だ。

充電に関しては、左フロントフェンダーにある充電ソケットがCHAdeMO規格の急速充電(50kWまで)に対応。また右フェンダーは200Vの普通充電用だが、標準の3kWだけでなく、日本向けにオプションとして8kWの充電器が用意されている。これを使用すれば、約11時間で満充電にすることが可能となる。

またアウディジャパンでは e-tron スポーツバックの導入にあわせて、Audi Charging Service を1年間無料で提供(月会費5000 円と急速充電の従量料金一分15円)、この充電カードは全国約7800 カ所の急速充電器のうち約 86%をカバーする「合同会社日本充電サービス(NCS)」加入の充電器で利用可能で、普通充電を含めると、21700 カ所(2020 年 4 月現在)の充電ステーションが利用可能という。

e-tron スポーツバックは、デザインもチューニングもことさら電気自動車であることを強調せず自然なふるまいで、フラッグシップモデルのA8に勝るとも劣らない静粛性と滑らかさを実現している。“技術による先進”を掲げるアウディらしい、とてもジェントルなオトナのBEVだ。

文・藤野太一 写真・郡大二郎 編集・iconic

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みんなのコメント

15件
  • 「月額基本料金5,000円の充電プランが1年無料!」とか細いことアピールしながら、
    肝心のバカ高な本体価格については1ミリも言及・考察しないという、クソ提灯記事。

    もっともアウディジャパン自身、これが売れるとも売ろうとも思っちゃいないんだろうけどね。
  • 電気自動車を声高に主張する必要はない
    …だから価格も声高に主張させることなく載せていないのか?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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