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東欧の「ポルシェ」 刺激的だった廉価ブランドのRR シュコダ130/フェイバリット/120 ラピッド(1)

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東欧の「ポルシェ」 刺激的だった廉価ブランドのRR シュコダ130/フェイバリット/120 ラピッド(1)

東欧のポルシェという異名を持つ130 RS

1985年のシュコダは刺激的だった。「あなたも勝者になれるかも!」。英国ではこんなフレーズが、新しい130 L、別名エステルの売り文句に使われていた。2000ポンドを追加すれば、コンペティション専門ディーラーでグループAのラリー仕様に改造もできた。

【画像】3台のワークス・シュコダ 130/フェイバリット/120 ラピッド 同時期のラリー・レジェンドたち 全130枚

当時の筆者はラリーへ強い関心を抱いていたわけではなかったが、一連のプロモーションは、モータースポーツへ足を踏み入れるきっかけを作った。改造した130にスリックタイヤを履かせ、ヒルクライムやスプリント・イベントへ興じたのだった。

シュコダという、少しマイナーなブランドのポジションも魅力といえた。単純なメカニズムの耐久性へ、心が奪われていった。

現在は、フォルクスワーゲン・グループの廉価ブランドとして組み入れられたシュコダだが、25年前までは独立した旧チェコスロバキアの自動車メーカーだった。市場競争を生き抜くべく、優れたマシンがモータースポーツで輝かしい成績を残してきた。

特に、東欧のポルシェという異名を持つリアエンジンのシュコダ130 RSは、1977年のラリー・モンテカルロでクラス優勝。英国RACラリーでは、17年間連続クラス優勝という偉業を達成している。

1985年のシュコダ130 LRは、グループBでプジョー205 T16やアウディ・クワトロに善戦。1986年のトルコ・ギュナイディン・ラリーでは、総合優勝を掴んでもいる。

シュコダの主力マシンは、その後フェイバリットへスイッチ。世界ラリー選手権での活躍は、1994年まで続いた。

サーキットでも強かったリアエンジンのシュコダ

130 RSは、サーキットでも強かった。1981年の欧州ツーリングカー・チャンピオンシップでは、8戦中6勝。低価格帯のモデルが中心のメーカーだったが、モータースポーツでの活躍が、ディーラーでの販売を後押ししていたことは間違いない。

今回取り揃えた3台は、そんな黄金期の1つを代表するモデルたち。その内の2台は、1980年代から1990年代にかけて、クラス優勝の常連だったワークス・ラリーカーだ。

C155 BYRのナンバーで登録された130は、1985年に英国シュコダが用意した、グループAマシンの1台。L910 ORPのナンバーは、フェイバリット 136 L。1993年のラリーGBのために4台が作られた、N1マシンの生き残りだ。

もう1台、サーキットでの活躍の生き証人となるのが、E157 YJLのナンバーの120 ラピッド・クーペ。1986年にドニントンパーク・サーキットで優勝した当時の姿を、ほぼそのまま残している。

撮影の合間に、シルバーストン・ラリースクールの林間コースを走り込み、2台のラリーマシンは泥まみれ。コンパクトなサイズは、テクニカルなステージにぴったりだ。

C155 BYRの130は、ジョン・メリング氏が現オーナー。購入してから9年が経つが、5年間のレストアを経て、今のような完璧な状態を取り戻したそうだ。

当初からワークスカーとして製造され、グループAのホモロゲーション番号として、A-5252が振られているという。その後、グループA5仕様に作り直された。

中身は純粋なラリーマシン

4気筒エンジンは、62psから97psへ増強。0-100km/h加速8秒以下のダッシュ力と、177km/hの最高速度が与えられた。

このマシンで1985年11月のRACラリーを戦ったのが、ドライバーのフィリップ・ヤング氏とコドライバーのデレク・ピックアップ氏によるペア。だが、クラッチ故障でリタイアに終わっている。

それでも、グループB仕様の130 LRはクラス優勝。ワークスチームの130 Lも、グループAで勝利している。

その後、シュコダはC155 BYRをグループB仕様の130 LRへアップグレード。エンジンは1289ccのままだったが、専用カムにツイン・デロルトキャブレター、コスワース社のバルブが組まれ、圧縮比も高められ、131ps/7500rpmを獲得している。

5速MTのケースは、アルミニウム製へ置換し軽量化。リアエンジンによる、少し気まぐれな挙動を鎮静させた。ザックス社のサスペンションで、高速安定性も高められた。

ボンネットやエンジンカバー、ドアはアルミ製。サイドとリアのウインドウはアクリル製になり、ここでも車重が削られた。ダッシュボードは量産車と変わりないものの、中身は純粋なラリーマシンだといっていい。

完成後は、シュコダ・チャレンジシリーズへ3年間出場。最近は、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードやシルバーストン・クラシックなどのイベントで、勇姿を披露している。

比較的落ち着いた挙動 戦闘力は間違いない

車内は、フロア部分がチェッカーパネル。ロールケージを避けて身体を滑らせ、深いバケットシートへ腰を下ろす。ファンやスポットライトなどのスイッチが圧巻。助手席のトリップメーターや、左手の油圧ハンドブレーキ・レバーが、即戦力なことを伝える。

燃料ポンプとイグニッションのスイッチをオン。スターター・ボタンを押すと、吸気と排気のノイズが車内へ入り乱れる。ステアリングホイールは小さめで、ロックトゥロックは2.8回転。低速域でも、重すぎることはない。

ツインキャブとハイカムが組まれたエンジンでも、ラリーステージを積極的に走るには充分な回転数が求められる。リアエンジン的な、オーバーステアに悩まされることはない。セミトレーリングアームのリアサスペンションが、比較的落ち着いた挙動を示す。

どちらかといえばアンダーステア。ハンドブレーキのパッドが硬すぎるのか、旋回時に引いてもその傾向は大きく変化しない。それでも、130 LRのラリーでの戦闘力は間違いなさそうだ。

特にリアエンジンが生む、トラクションは絶大。ワダチに足を取られつつ、シルバーストンのオフロードコースを我が物顔で突き進む。オーナーのメリングは、もっと積極的に運転しても大丈夫だと話していたが。

この続きは、3台のワークス・シュコダ 130/フェイバリット/120 ラピッド(2)にて。

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みんなのコメント

1件
  • fxnhe501
    リアエンジンの時代からスコダは西側諸国でも一定の人気があった。クーペのラピッドなんて完全に外貨獲得スペシャルだし。でもそういう蓄えがあったから、FWDにも自社の技術だけで移行できたんだろう。いろいろと近代的な試作車を開発しながら発売に踏み切れず、ポロネーズの会社で終わってしまったポーランドのFSOとは対照的である。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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