ハッチバックの陰にかくれて?
執筆:Kenichi Suzuki(鈴木ケンイチ)
編集:Taro Ueno(上野太朗)
「きっと売れているんだろうな」とは思いつつ、数字が出ていないため、過小評価されているモデルがある。その筆頭が、トヨタの「ヤリス・クロス」だ。
ヤリス・クロスは、コンパクトハッチバックである「ヤリス」のSUVバージョンとして、2020年8月31日にデビュー。
ところが、その販売台数はシリーズの一員として「ヤリス」に含まれ、公表されることはなかった。
そのためヤリス・クロスは、「売れているのだろうけど、それほどではないのは」と軽く考えていた人も多いはずだ。
なぜなら、ヤリスは新車販売ランキング(一般社団法人日本自動車販売協会連合会調べ/乗用車ブランド通称名別順位・軽自動車を除く)で、2020年4月、5月、7月、8月と月間1位が続いていた。
つまり、ハッチバックのヤリスだけでも連続1位になるほど売れていたのだ。
そのため2020年1~12月の年間ランキングでヤリスが1位を獲得しても、「ヤリス・クロスも貢献したけれど、もともとの勢いがあったから当然だろう」とのように見えてしまったのだ。
ところがトヨタにヤリス・クロスの個別の販売数を問い合わせたところ、大変なことが分かった。
それは、ヤリス・クロスの販売台数が、予想以上に多かったのだ。
ヤリスヒットの功労者「クロス」
トヨタに問い合わせてわかった、ヤリス・クロスの2020年8~12月の販売台数は3万2810台。
これは年間15万1766台だったヤリスの販売のうち約2割にもなる。
そして、その勢いは、2021年に入ってさらに強くなり、1~6月だと5万5150台、1~8月末までで7万6430台も売れている。
2020年8月から2021年8月までの約1年でいえば10万9240台も売れているのだ。
ちなみにヤリス・クロスの発売は、8月31日なので、2020年8月から2021年8月といっても、実質的には1年+1日となる。それでも約11万台という数字は立派なものだ。
このヤリス・クロスの年間約11万台という数字を2020年の年間販売ランキングにあてはめれば、1位ヤリス(15万1766台)、2位ライズ(12万6038台)、3位カローラ(11万8276台)に次ぐ。
ヤリスの2020年の数字からヤリス・クロスを除くと、ヤリス単体の2020年の販売台数は11万8956台となる。
ヤリス・クロスの1年間の販売台数と近い数字だ。
実際に、ヤリス・クロスは2021年になって数字を伸ばしており、2021年中のヤリスの販売に関していえば、ヤリス・クロスが約半数に迫るほどに売れている。
まさに、隠れた大ヒットモデルである。
本流に迫る台数「キャンバス」
続いての隠れヒット車は、ダイハツの「ムーヴ・キャンバス」だ。
名称のとおり、ムーヴの派生モデルとして2016年9月から発売を開始。
特徴は、女性をターゲットにした可愛らしいデザインと両側スライドドアの採用だ。
とくに斬新なのは両側スライドドアだ。
通常、両側スライドドアは、もう少し背の高い「Nボックス」や「タント」「スペーシア」の専用アイテムのように考えられていた。
それを、もう少し背の低いムーヴに採用したのだ。
そして、名前のとおり、こちらもヤリス・クロスと同じく、販売台数はムーヴに含まれた。
そこで、やはりダイハツに問い合わせてしてみると、やはり、こちらも驚くほどたくさんの数が売れていたのだ。
2017年のムーヴキャンバスの販売台数は7万6732台、2018年は7万4326台、2019年が6万8487台、そして2020年は5万7183台だ。
この数字は、販売ランキング(一般社団法人全国軽自動車協会連合会調べ/軽四輪車通称名別新車販売)でいえば、年間ランキング7~9位に相当する。
一方、ムーヴはどうかといえば、2017年が14万1373台、2018年が13万5896台、2019年が12万2835台、2020年が10万4133台。
つまり、ムーヴ全体のうち、半数強がムーヴ・キャンバスであったのだ。
この大ヒットをライバルは見逃さなかった。
それが、スズキが2021年8月に投入した新型「ワゴンRスマイル」だ。
このモデルは、両側スライドドアを持ったワゴンRの派生。
つまり、ムーヴ・キャンバスとまったく同じ。ムーヴ・キャンバスのヒットがあったからこそ、ワゴンRスマイルは誕生したといえるだろう。
大成功 「ライズとロッキー」
最後の隠れヒット車は、トヨタの「ライズ」とダイハツの「ロッキー」だ。
この2台は、ダイハツが開発/生産して、トヨタにOEM供給されるという兄弟車だ。
2019年11月に、1Lターボエンジンを搭載する5ナンバーSUVとしてデビュー。
いわゆるAセグメントと呼ばれるコンパクトクラスでは初の本格SUVである。
クラス初のSUVであり、しかも約170万円から買えるお手頃価格ということもあってか、初期受注は好調。
11月の月間販売ランキングの4位にライズが初登場する。12月に2位、そして翌2020年1月と2月には連続してナンバー1を獲得する。
しかし、2020年2月にヤリスが登場して、トップの座を明け渡すことに。
とはいえ、その後もライズは安定した販売を続け、2020年通年(1~12月)では12万6038台を売り、ヤリスに続く、年間2位のポジションを獲得した。
また、ダイハツ版のロッキーも3万1153台を売って24位に。
これでも立派な数字だが、ライズにロッキーの2台をあわせれば15万7191台。
ヤリスは、ヤリスとヤリス・クロスをあわせて15万1766台だったことを考えれば、ライズ+ロッキーの方が上になる。
年間ベストセラーの座こそ、手に入れることはできなかったが、ダイハツ車としては、過去最高の成功を納めたといえよう。
ヤリス・クロス、ムーヴ・キャンバス、ライズ/ロッキーは、ベストセラーという栄冠を得ることはできなかったが、それでも令和初期の大ヒットモデルと覚えておくべき存在だろう。
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
「とりあえず増税ね」で50年!? 「世界一高い」自動車諸税&ガソリン税“見直し”正念場 “年収の壁”の向こうの璧
「黄信号だ。止まろう」ドカーーーン!!! 追突されて「運転ヘタクソが!」と怒鳴られた…投稿に大反響!?「黄信号は止まるの当たり前だろ」の声も…実際の「黄信号の意味」ってどうなの?
「緊急車両が来て道を譲らないとどうなりますか」 理由に「『聞こえんかった』は通用するのですか」 譲るのはマナー?義務? 具体的にどう譲ればいいのですか。
“生産版”「“R36”GT-R」公開に反響絶大! 日産の「旧車デザイン」採用&4.1リッター「V6」搭載で「借金しても欲しい」の声! 1000馬力超えもあるArtisan「“和製”なスーパーカー」が話題に
“300馬力”V6搭載! ニッサン爆速「最上級ミニバン」とは? 超豪華内装×専用装備マシマシな“走り屋仕様”の「エルグランド」に熱視線!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
日本の交通事情と日本人の嗜好性にマッチした、とてもいい車だと思います。