2021 SUPER FOMULA Rd.2
2021年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第2戦
コーナリングスピードはF1より速い? スーパーフォーミュラマシン、セッティングの秘密 【2021年 第2戦】
第2戦の舞台は鈴鹿サーキット
GENROQ Web 読者の皆様、こんにちは! レーシングドライバーの三浦 愛です。
4月24日(土)~25日(日)に開催された全日本スーパーフォーミュラ選手権第2戦の舞台は、モータースポーツの聖地“鈴鹿サーキット”(5.807km)。春の祭典「鈴鹿2&4レース」として2日間で約1万6500人のモータースポーツファンの皆様にご来場いただき、新型コロナウイルス感染防止対策に配慮した新たなイベントやコンテンツで皆様にお楽しみいただけたのではないでしょうか。
強力なダウンフォースを生み出すエアロダイナミクスを制御
さて今回のテーマは、テクニカルな鈴鹿サーキットでどのようにマシンのセットアップを進めていくのか・・・。1000分の1秒を競う全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF19)の車両特性やセッティングの胆を #14 NTT Communications ROOKIE(ROOKIE Racing) 大嶋和也選手のチーフエンジニアを務める松田 久氏にお伺いしてきました。
まず、“クイック&ライト”をコンセプトに設計されたSF19の車両特性は、強力なダウンフォースを生み出すエアロダイナミクスが真っ先に挙げられるでしょう。旧型車両(SF14)と比較しても最も大きく変化した点はエアロのボリュームアップだと松田エンジニアが語ってくれました。数年前はF1よりも速いコーナリング速度を誇っていたという空力マシンSF19(全日本スーパーフォーミュラ選手権)は、F1へのステップアップにはとても良いカテゴリーのようです。
サーキット毎、コースコンディション毎にセッティングを詰める
そんなSF19を刻々と変化する環境下でどのようにセットアップしていくのか・・・。コーナーが連続する鈴鹿サーキットでは、空気の力(ダウンフォース)を最大限に活かしながらテクニカル面でも接地性を上げ、コーナリングのスピードアップを最優先にマシンを仕上げていくそうです。近頃は、ほとんどのフォーミュラカーが鈴鹿の高速コーナー“130R”をアクセル全開で楽に走り抜けていきますが、限界ギリギリのところで空気の力(ダウンフォース)を信じ、アクセルを踏み込むのはドライバーの度胸が試される場でもありますね。
鈴鹿とは打って変わって、約1.5kmの直線が名物の富士スピードウェイでは、直線スピードを伸ばすためのレスダウンフォースを必要とする区間と急こう配のコーナーが連続するテクニカル区間が複合しており全く違うセッティングが求められる。サーキットの特性に合わせたクルマづくりもエンジニアにとってはレースの魅力のひとつかもしれません。
計測データを解析しドライバーからのフィードバックを経て“クルマをつくる”
昨今は、車両に搭載されているセンサー類の精度が上がりデータ解析の幅が広がったことで、データを解析する専門家(データエンジニア)の役割がとても大きくなっています。各チーム、様々なテストを行い数々のデータを元にセッティングを決定していますが、ROOKIE Racingのような新規チームは限られた時間の中でデータ量が不足しているのも現実。そんな時は、やはりドライバーのコメントを重視すると松田チーフエンジニアは言います。クルマを速く走らせるだけでなく、“クルマをつくる”という部分でベテランドライバーの大嶋和也選手はチームを引っ張る重要な存在となっているようです。
開幕戦(富士スピードウェイ)では見事入賞を果たしたROOKIE Racing、第2戦では苦戦を強いられたもののトライの連続で確実にデータ収集ができたとのこと。次戦以降もROOKIE Racingの進化に期待です。
第2戦レースレポート。クラッシュありの目まぐるしい展開
まだ少し肌寒さが残り春の風を感じられた鈴鹿サーキット。今大会はMFJ全日本ロードレース選手権シリーズとの併催により、路面には2輪のラバーが乗る難しいコンディションとなりました。
そんな中、一際速さを見せていたのが #5 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 福住仁嶺選手。フリー走行から頭一つ抜け出た好調さで周囲を圧倒し、予選では2番手に0.2秒差をつけ嬉しい初ポールポジションを獲得。セカンドグリッドには、直前まで優勝候補には一切上がっていなかった #16 TEAM MUGEN 野尻智紀選手が喰い込み、3番手に#64 TCS NAKAJIMA RACING 大湯都史樹選手と、開幕戦の表彰台と全く同じ顔ぶれでホンダ勢がトップ3を独占。4番手にトヨタ勢トップの #20 carenex TEAM IMPUL 平川 亮選手が続きました。
参戦4年目にして初優勝に大きく前進した福住選手だったが・・・
毎戦ポテンシャルを見せながらも参戦4年目にして未だ優勝経験のない福住選手にとって大一番のレースとなった30周の決勝、無難なスタートを決めオープニングラップから後続を引き離しにかかり初優勝へまっしぐら・・・と、誰もが思っていた9周目。なんと、右リヤタイヤのバーストによりマシンが破損、リタイアを余儀なくされた福住選手はマシンをピットへ。
何が起きたのかもわからないまま会場が騒然とする中、レースは継続され14周目・・・今度は #18 KCMG Elyse 国本雄資選手が福住選手と同じく右リヤタイヤのバーストによりアクセル全開の高速コーナー130Rで大クラッシュ。身体へのダメージはほとんど無かったようですが、ヒヤッとするシーンが続く波乱のレースとなりました。
親譲りのセンスを発揮して健闘したジュリアーノ・アレジ選手
そんな中、最終ラップまでヨーロッパ仕込みの素晴らしいバトルを披露したのが #36 Kuo VANTELIN TEAM TOM’S ジュリアーノ・アレジ選手。中嶋一貴選手の代役として初参戦したジュリアーノ選手は、スーパーフォーミュラライツ選手権(旧全日本F3選手権)とのダブルエントリーにもかかわらず、予選Q3進出で8番手スタートから疲れを一切見せない果敢な走りを見せて9位フィニッシュ。関係者の評価も高まったのではないでしょうか。
そして、毎戦ウィナーが変わるのは当たり前の全日本スーパーフォーミュラ選手権で運も味方につけ2連勝、第2戦で見事優勝を飾ったのが野尻智紀選手です。今年は彼のシーズンかと思わせるほど安定した強さがありました。
野尻選手が開幕2連勝。次戦で史上初の3連勝なるか!?
2位には粘り強い走りで4番手スタートから順位を上げフィニッシュした平川 亮選手、3位には福住選手のチームメイト #6 DOCOMO TEAM DANDELION RACING 笹原右京選手が初表彰台を獲得しました。今季、筆者が注目するドライバー #19 carenex TEAM IMPUL関口雄飛選手も7番手から追い上げ4位でレースを終えました。
紅一点 #12 ThreeBond DragoCORSE タチアナ・カルデロン選手は、17位と苦戦しましたが「We are pushing!」「失うものは何もない、前を向くだけ」と、とてもポジティブに話してくれていました。
次戦の舞台はオートポリス(大分県)です。昨年のウィナーは、現在2連勝中の野尻智紀選手。史上初の3連勝なるか!? 目が離せませんね!
そして最後に、私事ではございますが・・・。次戦、オートポリス大会のサポートレースとして開催されるTCRジャパンシリーズ(※)にHonda CIVIC TCRでスポット参戦することが決定いたしました。次回のレポートはTCR ジャパンの参戦記を交えながら、全日本スーパーフォーミュラ選手権をより深掘りしていければと思っておりますのでお楽しみに~!
REPORT/三浦 愛(Ai MIURA)
PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)
※TCRジャパンシリーズ
2.0リッター以下のターボエンジンのFWD 車をベースにした4ドアまたは5ドアの世界基準マシンを使用し、アルファロメオ、アウディ、クプラ、ヒュンダイ、キア、ホンダ、ラーダ、プジョー、ルノー、オペル、フォルクスワーゲン、セアト、スバルなど世界各地で人気の量産モデルを対象に多くのメーカーが参加するプロとジェントルマンが共に戦えるツーリングカーレースです。
【プロフィール】
三浦 愛
12歳よりレーシングカートで数多の勝利を重ね、FIAソーラーカーレースでの優勝も経験。2001年のSL名阪 最終戦 FP3-Fクラスでの優勝を皮切りに、Rotax Maxなどでの参戦を経て2011年にはスーパーFJのシートを獲得し、フォーミュラチャレンジ・ジャパン、全日本F3選手権などでも優勝を果たしている。
【レーススケジュール】
第3戦:5月15日(土)~16日(日) オートポリス
第4戦:6月19日(土)~20日(日) スポーツランドSUGO
第5戦:8月28日(土)~29日(日) ツインリンクもてぎ
第6戦:10月2日(土)~3日(日) 岡山国際サーキット
第7戦:10月30日(土)~31日(日) 鈴鹿サーキット
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