2015年12月24日、軽自動車ホットハッチ「アルト・ワークス」がついに復活した。軽自動車の本格スポーツモデル「アルト・ワークス」は1987年に2代目アルトのスポーツ仕様として初登場し、それ以後3代目、4代目、5代目まで設定されていた。
8代目となる現行アルトのスポーツ・グレードとして「ターボRS」モデルが設定されていたが、2015年10月の東京モーターショーで、新たに「ワークス」が参考出展車として展示され、市販が間近と発表された。
2004年の5代目アルト・ワークスの生産終了から11年目にして、ついにアルト・ワークスが復活したのだ。8代目アルトに設定されたターボRSはAGSのみの設定だが、MT仕様を希望するファンが多いことに応えるため、ワークスを設定したのだ。RSモデルは月間販売目標500台に対して1000台を超える販売実績を残しているが、本格的なホットハッチモデルのワークスを加えることでさらに勢いをつけようという狙いだ。
開発コンセプトは、アルト・ターボRSをベースに「クルマを操る楽しさを追求し、さらに走りを磨き上げた軽ホットハッチ」とされている。そのためにワークス専用の内外装を採用し、シャシー、エンジンのワークス専用のチューニングを行なっている。
まず5速MTはギヤボックス自体をこだわりの専用チューニングをしている。ギヤ比は1速~4速をクロスレシオ化。これまでの5速MTと比べ1速(4.30→3.545)、2速(2.470→2.105)を高め、3速(1.521:変更なし)、4速(1.093→1.148)はギヤ比を低めている。
ファイナルは4.388→4.705)ローギヤ化。これによりエンジンのトルクバンドをより活用できるセッティングとしている。
またシフトレバーは、ショートストローク&ダイレクト・フィールを目指して多くの改良を加えている。シフトレバーの位置はレカロシートに合わせて、操作しやすいポジションに配置。シフトケールブルの摩擦抵抗を低減し、シフトレバーのスプリングをチューニング。さらにシフトシャフトの操作をスムーズにする構造としている。
シンクロ機構は、2速をシングルコーンからダブルコーンに強化。またクラッチのディスク荷重もより軽くリニアな特性にしている。
自動クラッチの5速AGS仕様は、スポーツ走行用の変速制御プログラムを採用し、加速に最適なギヤを選択するとともに、変速時間をこれまでより10%短縮。さらにパドルシフトも新設定している。
エンジンはターボRSに採用されている吸気VVT付きのR06A改型エンジンをベースにさらにチューニング。アクセルペダルに対してよりダイレクトに反応するように制御を変更し、さらに最大トルクは98Nm/3000rpmから100Nm/3000rpmへと向上させている。このため加速性能とフィーリングは一段と高められているのだ。
これらを実現するため、冷却水を制御するサーモスタット作動温度を88度Cから82度Cに下げ、燃焼室周りの温度を低めることで、ノッキングを抑え充填効率を向上。またフロントバンパー右のワークスのエンブレム部に外気導入口を設置し、エンジンルーム内の通気を促進させ冷却性能を高めている。では次にシャシーを見てみよう。
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