雪が降ると路面が滑りやすくなり、自動車も走りにくくなる。特に気を付けたいのが坂道だ。坂道ではクルマの荷重がタイヤにかかりにくくなるので、たとえ冬用タイヤであってもスリップの可能性が高まる。過去のアクシデントを見ても雪による立ち往生は上り坂で多く発生しており、十二分な注意が必要なのだ。
そんな時の啓発になればと、JAF(日本自動車連盟)が、さまざまなタイヤを履いて雪道の登坂テストを行ったデータがある。はたしてクルマはどれだけ坂道に強いのか、結果を見てみよう。
夏タイヤの無力さよ…… 雪の坂道をどんなタイヤなら上れるか試してみた!
文/ベストカーWeb編集部、写真/JAF、AdobeStock(トップ画像=FRANK@AdobeStock)
■改めてスタッドレスタイヤのありがたさを実感!
テストは6種類のタイヤを使って実施(画像=JAF)
テストでは以下のような6種類のタイヤ(チェーンを含む)を用意した。テスト車両はFFのコンパクトカー、タイヤやチェーンはすべて新品だ。
・夏タイヤ
・スタッドレスタイヤ
・オールシーズンタイヤ
・夏タイヤ+非金属チェーン
・夏タイヤ+オートソック(特殊繊維をタイヤに被せて使う緊急用滑り止め)
・夏タイヤ+スプレーチェーン
試験に使われた登坂は以下の3種類。ちなみに一般的な立体交差点の勾配が8%前後といわれるから12%はややきつい上り、20%はかなりの急坂と考えてよい。
・勾配12%の圧雪路(踏み固めた雪道)
・勾配20%の圧雪路
・勾配9%の氷盤路(アイスバーン)
試験方法だが、まずは12%と20%の圧雪路で「平たん路からスタートするパターン」と、「坂の途中からスタートするパターン」を行い、坂を上り切れるかを試した。
結果だが、夏タイヤだとすべて全滅、坂道ではまるで歯が立たなかった。スタッドレスは平たん路スタートなら勾配20%でもクリアしたが、坂の途中スタートでは勾配20%がクリアできなかった。
タイヤチェーンとオートソックは勾配12%ならば坂の途中スタートでもOKだったが、勾配20%では平たん路スタートでも上り切れなかった。
では勾配9%のアイスバーンはどうか。こちらは夏タイヤはもちろん、スタッドレスやタイヤチェーンですら上り切れなかった。唯一上れたのが、今回のメニューにはなかったスタッドレスタイヤ+タイヤチェーンという組み合わせ。
駆動輪にタイヤチェーンを履くことはタイヤチェーン単独の場合と違いはないが、駆動輪でない後輪がスタッドレス化したことで4輪トータルのグリップ力が増したためと思われる。
さていかがだったろうか。特にめったに雪が降らない地域に住む人は気を付けたいのだが、タイヤチェーンやスタッドレスを持っていないからといって、夏タイヤのまま雪道で繰り出すことは絶対に避けよう。
ここまでの実験でも分かったとおり、夏タイヤは坂道ではまったくグリップしないので、思わぬところで立ち往生し、交通をせき止める原因ともなりかねない。夏タイヤしか持ち合わせていない人は、「雪が降ったらクルマには乗らない」を改めて肝に銘じておきたい。
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みんなのコメント
普通の人は、動けなくなる前に、気付く。
危機意識の高い人は、事前に冬タイヤに交換する。
既に12/15時点で山梨県の北杜市長坂・清里の一部や笛吹市の御坂峠等は凍結してます。
観光で域外から来られる方も多い地域ですが、ノーマルタイヤは危険な状況です。