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トヨタ「GR86」VSマツダ「ロードスター 990S」ニッポンが誇る最新スポーツカー対決

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トヨタ「GR86」VSマツダ「ロードスター 990S」ニッポンが誇る最新スポーツカー対決

スポーツカーの影が年々薄くなっているように感じている人も多いかもしれないが、ファンの心をがっちりつかむ国産のライトウエートスポーツカーが注目を集めている。今回は、日本が誇る最新の傑作を比較試乗した。

 手頃な価格で買えるコンパクトなスポーツカーで、走りを楽しみたいと思っている人は今でも多く存在する。マツダは1989年に2人乗りオープンカー『ロードスター』を発売。その人気は国内だけでなく北米や欧州にも広がった。フルモデルチェンジを繰り返し、現行型は2015年に発売された4代目となる。累計生産台数は110万台を突破し、量産スポーツカーのギネス記録に認定されるほどの大ヒットとなっている。

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 そんな4代目『ロードスター』だが、「2代目、3代目より売れている」(広報担当)のだという。台数は少ないがユーザーからは評価されているのだ。マツダのクルマ造りは真摯だとよく言われるのは、毎年のように商品を改良しているところにある。たとえ、販売台数が少ないモデルでも手を抜かない。直近の商品改良は昨年の12月。この時登場したのが『990S』だ。

車重を990kgまでそぎ落とし、コーナリング性能が向上した。その効果は明らかで、高速道路の出入り口のようなカーブでも体感できる。もちろん、峠道ではハンドルを切り込むのが楽しくなるほどドライビングプレジャーを堪能させてくれる。販売台数のうちMT車の比率が80%近いというのも、走りを楽しみたい人が購入している証拠だ。ちなみに購入者の年代は50代が34%で30代以下が28%だそうだ。

 一方の『86(ハチロク)』は、2012年にFRスポーツカー『トヨタ86』として登場。SUBARUとの共同開発車だ。2代目は2021年10月に発売されたが、今回からGAZOOレーシングカンパニーが開発を担当したことで車名も『GR86』になった。今回もパワーユニット、シャーシなどはSUBARUが主導し、味つけはそれぞれが受け持った。ところが、発売1年前になってトヨタは大幅な性格変更を申し出る。

「もっと走りを強調したクルマに」という豊田章男社長の提案で足回りに大幅な変更を施し、SUBARU『BRZ』とは性格が異なる、よりスポーツ走行向けのセッティングに仕上がったのだ。確かに、このクルマに乗るとドライバーをかき立てる魂のようなものが感じられる。ちなみに『GR86』購入者のMT比率は約70%に上るそうだ。

 存分に走りを堪能できるライトウエートスポーツカーが2車種もある国は世界に類を見ない。日本は、クルマ好きな人たちにとって憧れの国でもあるのだ。

レーシングカンパニーが磨き上げた2代目

トヨタ『GR86』

Specification
■全長×全幅×全高:4265×1775×1310mm
■ホイールベース:2575mm
■車両重量:1290kg
■排気量:2387cc
■エンジン型式:水平対向4気筒DOHC
■最高出力:235PS/7000rpm
■最大トルク:250Nm/3700rpm
■変速機:6速AT
■燃費:11.7km/L(WLTCモード)
■車両本体価格:315万2000円
※RZ

旧型のイメージを残しつつ、新しいGRブランドの顔に。全幅は旧型と同じだが、全高は10mm低い。ボンネット、アンダーカバー、フロントフェンダー、ルーフはアルミ素材を採用。

全長は旧型より25mm長くなったが、ホイールベースは同じ2575mm。車両重量は1290kg。サイドシルのスポイラーやダックテールなどのデザインはモータースポーツ車両を踏襲。

マフラーは左右1本ずつのデュアルマフラー。トランクリッドの右下にもGR86のエムブレムが入る。今回のモデルチェンジで空力性能が大幅に向上した。

人馬一体の走りを象徴するスポーツカー

マツダ『ロードスター 990S』

Specification
■全長×全幅×全高:3915×1735×1235mm
■ホイールベース:2310mm
■車両重量:990kg
■排気量:1496cc
■エンジン型式:直列4気筒DOHC
■最高出力:132PS/7000rpm
■最大トルク:152Nm/4500rpm
■変速機:6速MT
■燃費:16.8km/L(WLTCモード)
■車両本体価格:289万3000円
※990S

ヘッドライトの形状など変化しているが、フロントマスクの基本的なイメージは初代からのデザインを踏襲。全幅は1735mmで『86』より40mm狭いが、全高は1235mmで『86』より75mm低い。

ホロはワンタッチで開閉し、ボディーにサッと収まる。オープンにした時の後方視界も良好。『990S』以外に、ルーフが開いてリアピラー/ウインドウが残る『RF』がある。

リアのスタイルも初代のイメージをリスペクトしたデザイン。ボディーは軽量化のために様々な工夫が施されているが、外観はノーマル車と同じ。ボディーは7色から選べる。

クルマそのものの魅力や楽しさを感じさせてくれる2台

トヨタ『GR86』

エンジンルーム

SUBARU製の水平対向4気筒DOHCエンジンを搭載。排気量は先代の2Lから2.4Lへとアップ。出力は28PS、トルクは37Nmアップした。

運転席と各種装備

インパネとスイッチは水平基調で扱いやすい。メーターは7インチのLCD液晶パネルで走行モード別に変わる。オーディオレス。

シートスペース

前席は低めの着座位置。シートは横方向のホールド性に優れている。後席は着座位置が低いがバケット形状でかなり狭い。

ラゲージスペース

トランクの開口部は高さ700mm。後席の背もたれを前に倒せばゴルフバッグが2セット、サーキット走行用タイヤなら4本収納できる。

【 ココがポイント!】サーキット走行用のTRACKモードに注目!

走行制御モード(スポーツ/ノーマル/スノー)はAT車だけの設定。サーキット走行用のTRACKモードはAT、MT車ともに装備されている。パドルシフトもAT車のみの装備。

【 ココがポイント!】足回りはSUBARU『BRZ』とは異なる独自仕様

サスペンションの構造も『BRZ』とは異なる。ブレーキはフロントにハイスペックディスクを装着。タイヤもミシュランの『パイロットスポーツ4』というハイエンドモデルを標準装備する。

マツダ『ロードスター 990S』

エンジンルーム

エンジンは直列4気筒DOHCの1.5L。1500回転からアクセルレスポンスが生じて7000回転まで上昇する。MTとのマッチングもいい。

運転席と各種装備

走ることだけを考えて設計されたインパネ。Apple CarPlayやAndroid Autoは非搭載。オーディオレスだが4スピーカーを装備。

シートスペース

着座位置の低いシートは高さの調整はなくスライドのみ。前フェンダーの峰は見えるので運転しやすい。『990S』はMT車だけの設定。

ラゲージスペース

トランクの開口部は路面から810mmと高く、中は狭い。内部の幅は約1080mmだが奥行きは約560mm、深さは400~460mm。

【 ココがポイント!】片手で簡単に開閉できるホロが便利!

ホロは『990S』専用にダークブルーが用意された。フロントウインドフレームのレバーを外すとワンタッチで開き、座席後方のレバーを引けば片手で閉じることができる。

【 ココがポイント!】大径のブレーキローターを搭載

よりスポーティーな走りでもリニアなコントロール性と確かな制動力を発揮する大径のブレーキローターを前後のタイヤに装備している。

「楽しさ」を追求した両社の開発姿勢はあっぱれ!

トヨタ『GR86』

[運転性能]2.4Lに排気量がアップしたことでAT車のスポーツ性能が向上。SPORTモードを選ぶと楽しさ倍増。19点

[居住性]前席は圧迫感もなく前方、後方の視界も良好。後席は足元も頭上も狭く、身長150cmが限界。18点

[装備の充実度]オーディオレスが標準だが、AT車はアイサイトコアテクノロジーを標準で装備している。18点

[デザイン]先代からのキープコンセプトだが随所にレースからのフィードバックがありアグレッシブな印象。18点

[爽快感]サスペンションのセッティングのせいか、速く走れと言われているような気持ちになってくる。19点

[評価点数]92点

マツダ『ロードスター 990S』

[運転性能]軽量化と足回りの強化、そしてMTによる走りでライトウエートスポーツの本領を発揮する。19点

[居住性]2人乗りオープンカーはホロを閉じると閉所感が生じる。小物を置くスペースも少ない。17点

[装備の充実度]ブレーキやパーキングセンサーなど最低限の安全装備は標準。センターディスプレイは設定なし。17点

[デザイン]初代からのイメージを踏襲して30年以上、キープし続けているのはまさにデザインの力。19点

[爽快感]コーナリングの楽しさと安定感を追求した技術陣に拍手。ライトウエートスポーツのお手本。19点

[評価点数]91点

【OTHER CHOICE】車種数は減り続けても根強い人気を誇るMT車

「スポーツカーならATよりMT」という人は意外と多い。今回紹介した『GR86』と『ロードスター』はいずれも購入者の約7割がMT車を選択しているという。

 では、この2台のほかにMTを用意しているスポーツカーはどれくらいあるのか? 調べてみると、トヨタは『GRヤリス』と『カローラスポーツ』『GRコペン』にもMT車をラインアップしている。ホンダは『S660』が生産中止になったので『N‐ONE』のRSモデルのみ。スズキには『スイフトスポーツ』がある。

 マツダは『ロードスター』のほかに、リアルスポーツではないが『Mazda 2』『Mazda 3』『Mazda 6』にそれぞれMT車を用意している。

 手足を使いながら、マニュアルトランスミッションを操作して運転することはある意味、知的な作業だといえるのではないだろうか。それにエンジンからのダイレクトな呼びかけに対し、細やかに応じられるというのもMT車を操る魅力なのだ。

日産『フェアレディZ』

696万6300円(プロトスペック)6月下旬発売

スズキ『スイフトスポーツ』

201万7400円~

取材・文/石川真禧照 撮影/望月浩彦

本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2022年3月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。

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みんなのコメント

2件
  • この2台は求めるものが違う。
    対決させるものではない。
    どちらも素晴らしい車だから、乗る人の好みによって選べば良いだけの話。
  • GR86の運動性能と爽快感の評価は逆なのか?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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