■トヨタ新型マシン投入へ スバル新型マシンは梅雨が明けた頃に登場?
4年ぶりの有観客ラリーが開催された全日本ラリー第2戦の「新城ラリー2023」。
サービスパークなどが展開される愛知県新城市の新城総合公園には多くのラリーファンが集結しました。
【画像】目の前で迫力ある走りを体感! 新城ラリー2023の様子を画像で見る!(86枚)
メインステージではTOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)/SUBARU/STIの開発担当者が登壇してクロストークを行いました。
そこでは、TGRが新城ラリー2023にて競技仕様として世界初披露されたRally2の開発秘話や、2023年内にスバルが予定している新型マシンの登場時期についてもポロリと話したりと、ここでしか聞けない話が盛りだくさんでした。
スバルから登場したのは、SUBARU RALLY CHALLENGE責任者の嶋村氏とSTIプロジェクトジェネラルマネージャーの篠田氏。
TGRから登場したのは全日本ラリーチーム監督の豊岡氏とGRヤリス開発担当主査の斎藤氏の計4名です
SUBARUの2人はTGRの旗を、TGRの2人はスバルの旗を持って登場するなど、お互いにリスペクトしているのが見てとれます。
東京オートサロン2023の会場でSUBARUは、前述のSUBARU RALLY CHALLENGEを立ち上げ、「WRX S4」をベースとした新型マシンを用意して、今シーズン中にはラリーに登場させると発表を行っていました。
今回の新城ラリー2023では以前から戦っている「WRX STI」を、今シーズンのレギュレーションあわせるようにリファインしたマシンとなっています。
全日本ラリー第1戦では鎌田選手が優勝をしてまだまだ戦闘力が高いことを証明しました。
しかし今シーズンはレギュレーションも大きく変更となったことと、2022年から引き続き純ラリーカーの参戦もあることで、SUBARUとしてもWRX STIからWRX S4へのチェンジを決断。
30年戦ってきたEJ20エンジンからFA24エンジンへチェンジ。SGP(スバルグローバルプラットフォーム)で飛躍的に進化したボディを使うことで、全体的な戦闘力をアップさせることを決意しました。
一方のTGRもGRヤリスの戦闘力アップをより進化させていくことをラリージャパン2022で示しました。
WRCで戦っているGRヤリスラリー1ハイブリッドはトップチームのごくごく限られたドライバーとメカニックしか操ることができません。
それではラリーの裾野を広げることには繋がらないということから、GRヤリスラリー2を登場させ、より多くのカスタマーチームに供給していくことが、ラリーの裾野を広げるのに役立つと考えています。
今回の新城ラリーでは勝田選手がGRヤリスラリー2を操り参戦し、トップクラスのJN1ではなくJN1オープン参加となっています。
SS1こそマシンを確かめるようにタイムは中盤になりましたが、SS2以降はトップ2のタイム連発して叩き出し、初日が終わった段階では総合2位に位置しています。総合的な速さがあるのを証明しました。
トークショーではTGRの豊岡・斎藤両氏が、ラリーについて次のように語っていました。
「以前トヨタもラリーに参戦していたが、参戦をやめてしまってから4WD技術の継承が止まり、今までの経験が全て無くなってしまった。
それは非常に残念なことで、横をみるとスバルさんはずっとラリーに参戦していて技術を磨いていた。
モリゾウ選手がWRX STIを使ってラリーの練習をしているのを見てとても悔しかった。
なので必死にAWD、ターボの研究を行い、その結果がGRヤリスに繋がりました。
そして、GRヤリスラリー1ハイブリッド、ラリー2と開発を行い、WRC、全日本ラリー、国内のTGRラリーチャレンジと軸をもってラリーの裾野を広げていきたいと考えています」
一方SUBARUの嶋村氏はラリーについて、次のように語っていました。
「多くのレギュレーションなどが変更があった2023年こそ新しいチャレンジを行うにはちょうど良いのではないか。
EJ20というエンジンを30年使い長年の経験と積み重ねにより熟成してきている。それをFA24エンジンという直噴エンジンに切り替える。
SUBARUとしては初めて直噴エンジンをレースシーンに投入する予定となっている。
初めてのチャレンジにドキドキしているけれど、今までのエンジン以上のものになるのではないかと思ってワクワクもして開発を行っています。
30年愛されてきたエンジンから切り替えて愛されるエンジンにしていきたい。できれば梅雨が明ける頃には投入できれば」
30年愛されたエンジンから、新しいエンジンに切り替える技術的な話しをしているなかでポロッと新型マシンの登場時期を話してしまいました。これには隣にいたPGMの篠田氏も慌てた様子。
2023年シリーズの後半になるかもと言われていた新型マシンですが、意外に早いタイミングで登場するかもしれません。
自動車産業が100年に1度の変革期と言われて久しいですが、TGRとSUBARUはラリーやモータースポーツを通じて新型マシンの開発を行い、人材育成を行っていき、次世代に技術を継承していきたいと考えているのは共通です。
次世代がガソリンエンジンなのかハイブリッドなのか、はたまたモーターなのかは関係なく、競い合って技術を磨く楽しさが大切だといいます。
両者の登壇者は、「モータースポーツはチャレンジしていく場なので、今後の自動車開発に繋げていき、ラリーやモータースポーツを盛り上げていきたい」と語ってトークショーは終了しました。
熱い開発者の想いを感じながらラリーで走るマシンや、短い時間で整備を行うサービスなどを見ると、モータースポーツの楽しさを発見できるかもしれません。
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みんなのコメント
スバルの公道向けモデルにもMTターボを期待したいけどまあ無理だろうしさ。