高温多湿のコンディションの中、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで開催された3日間のMotoGPプレシーズンテストでは、2024年シーズンに向けて誰が大きな飛躍を遂げたのか、誰が後塵を拝する可能性があるのか、多くの指標が示された。
今季3連覇に挑むフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)が1分56秒682をマーク。朝の少し涼しいコンディションでのアタックだったこともあり、ラップレコードを上回る速さだった。
■エンジンの確かな進歩を感じたヤマハのクアルタラロ。しかし一発の速さ改善が依然として課題に「メカニカルグリップは2019年から足りていない」
2番手には、昨年バニャイヤとタイトルを争ったホルヘ・マルティン(プラマック)が0.172秒差で続き、ドゥカティのエネア・バスティアニーニも0.233秒差の3番手に続いた。
このビッグ3の共通点は、同じバイクを走らせていたということだ。最新仕様であるドゥカティ・デスモセディチGP24には、新しいエンジンと新しい空力パッケージが搭載されていた。
同じバイクを使用できる4人目のライダーであるプラマックのフランコ・モルビデリはプライベートテストでのクラッシュにより頭部を強打し、開幕戦カタールGPまで休養を余儀なくされている。
このビッグ3以外では、グレシーニのアレックス・マルケスが1分56秒の壁を破っている。その兄であり、レプソル・ホンダを離れ今季からドゥカティのバイクを駆るマルク・マルケス(グレシーニ)はバニャイヤとは0.588秒差の6番手となっている。
MotoGPには昨年からスプリントが導入され、予選がスプリントレースと決勝レースのグリッドを決めるフォーマットとなっているため、1周アタックのペースが最終的な結果に及ぼす影響はますます大きくなっているとはいえ、ロングランのペースは依然として重要だ。
テスト最終日には、多くのライダーがセパンで10周のスプリント・シミュレーションを行なったため、開幕時のパフォーマンスの序列がどのようになるか、おおよその見当をつけられる。
マルク・マルケスは、まだ他のドゥカティ勢のようなレベルには達していないとコメントしていたが、ロングランではリズムを掴むことができたようだ。
ロングランで1分57秒台に入った唯一のライダーはマルティンで、1分58秒台前半のラップも6周にわたって記録するなど安定した速さを見せた。
バスティアニーニもそれに近いタイムを記録したが、ファステストラップは1分58秒019。58秒台前半を6周、58秒台中盤を2周、58秒台後半を1周記録した。
マルク・マルケスは58秒台前半を3周、58秒台中盤を5周、58秒台後半を2周記録したのだ。やはりわずかに遅れているとは言えるものの、すでに上位を争えるペースを発揮しているのだ。
ロングランでは、ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(VR46)やアレイシ・エスパルガロ(アプリリア)、ペドロ・アコスタ(GASGAS)など、他のライダーも速さを見せ、表彰台争いに加わってくる予感を感じさせた。
マルク・マルケス自身はまだドゥカティのバイクから完全にパフォーマンスを引き出せていないと感じているようだが、このロングランのペースは、ライバルたちに不吉な警告を発しているに違いない。
2月19~20日には、開幕戦カタールGPの舞台であるルサイル・インターナショナル・サーキットでプレシーズンテストが予定されている。3月8~10日の開幕戦までに、マルク・マルケスはドゥカティでのスキルをさらに磨くことができるはずだ。
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