現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > メルセデス・ベンツSクラス 2017年版へモデルチェンジ 「S400d」に試乗

ここから本文です

メルセデス・ベンツSクラス 2017年版へモデルチェンジ 「S400d」に試乗

掲載 更新
メルセデス・ベンツSクラス 2017年版へモデルチェンジ 「S400d」に試乗

■どんなクルマ?

「最も広範囲にわたる変更を実施したマイチェン」

新型アウディA8 自動運転レベル3に? メルセデスSクラスと異なる点をおさらい

スイス・チューリッヒでのプレスカンファレンスで語られた、改良版Sクラスの概要を聞けば、これがほぼ完全にニューモデルだと考えるかもしれない。

変更したコンポーネンツは6000点以上。エンジンは3機種を新規設定するが、うちふたつはこれまでのSクラスになかったタイプ。

たとえば直6ガソリンに電気モーターと48V電源を組み合わせたマイルドハイブリッドである。インフォテインメントシステムはアップグレードされ、半自動運転システムは加減速が可能に、ラウンドアバウトの進入と脱出も行える。

と、進化の度合いは極めて大きい。とはいえ、あくまでもこれは、W222型Sクラスのマイナーチェンジ版である。

R&D部門を率いるオーラ・カレニウスは、これはメルセデスの長い歴史の中でも、最も広範囲にわたる変更を実施したマイナーチェンジだと表現する。

実際、2014年に登場したモデルでありながら、この最新バージョンは技術面で、最新世代のBMW7シリーズやアウディA8に肩を並べるものとなった。


Sクラス、エクステリアはどう変わった?

ボディサイズは、従来と大きく変わるところはない。全長は、標準ボディが5125mm、ロング版が5255mmとなっている。

エクステリアのデザインも見慣れたものだが、ディテールには手が入っている。

クロームが目を引くグリルや形状の変わったバンパー、LEDを用いた前後ランプの新たなグラフィックにより、ルックスはフレッシュな印象を得た。

プラットフォームは既存品、すなわちCクラスやEクラスにも使用するMRAプラットフォームをベースにSクラス独自の後部構造を組み合わせたもののアップデート版。

「エア・ボディ・コントロール」ことエア・サスペンションは、最新のEクラスが用いる3チャンバー式ではなく、従来通りのシンプルなシングルチャンバー式だ。

電装系もアップグレードし、当然ながらメルセデス全ラインナップ中で最も広範囲にわたるドライバーアシストを備える。


■どんな感じ?

S400d、3.0ℓV6から2.9ℓ直6ディーゼルへ

試乗車は、400dグレードのロング版だ。標準仕様は後輪駆動だが、今回は4WD仕様をテストした。

大きく変わったのはエンジンだ。Sクラスでは2005年以来、3.0ℓV6ターボだったディーゼルユニットが、2.9ℓ直6ターボに換装されたのである。

出力は340psで、BMW 730Ldの3.0直6比で20ps、アウディA8 3.0 TDIの3.0 V6比で72ps、それぞれ上回る。ステップド・ボウル燃焼システムや多チャンネルEGRに加え、可変バルブリフト制御を新採用した。

新たな直列ユニットは、これまでのV6以上にスムーズで洗練されたエンジン。アイドリングではほとんど音も聞こえず、そこから回転が素早くスムーズに、そしてリニアに上がっていく。

これに新型の9Gトロニックと2.47:1のファイナルを組み合わせ、トルク優位の特性を引き出すようセッティングされている。

ガソリン版の2.9ℓ直6と異なりアシスト用モーターは備えないが、それでも加速はクイック。それでも、遮音の利いたキャビンでは、エンジン音が遠くかすかに聞こえるのみだ。

71.3kg-mのトルクはほんの1200rpmで発生し、2000kgのS400d 4マチックは、アイドリングからトルク発生のピークとなる3200rpmまで、どこからでも素晴らしくパンチの利いた加速を見せる。

カタログ値では0-100km/hが5.2秒、最高速度はリミッターが作動する250km/h。燃費は17.9km/ℓで、CO2排出量は147g/kmだ。


Sクラスの伝統受け継ぐ「滑るような走り」

新型Sクラスの乗り心地はこの上ないもので、競合する高級車に差をつけるほど。スムーズな路面では、素晴らしき歴代Sクラスの伝統そのままに、滑るように走っていく。

電子制御のエアスプリングは、プリセットされた車高を常に維持し、威厳をもって舗装の傷を拭い去るようだ。深い轍を横切るときでさえ、このクルマは穏やかながらも一貫して平静を保つ独自の乗り味を示す。740dやA8 3.0TDIとは異なるものだ。

「ダイナミック・セレクト」をスポーツモードに切り替えると、秀でたロードホールディングでそれと明確に知らせ、今回のロング版Sクラスに装備されていたオプションの「エア・ボディ・コントロール・サスペンション」は、巨体に非凡なボディ・コントロールを与える。

ステアリングのセンターから数°の範囲は、相変わらず非常に軽く、やや曖昧だが、90°ばかり回すと程よく重さが増し、十分に正確でドライバーを引き付ける。

4WDシステムを持つS400d 4マチックは、並外れたグリップとコーナリングでの粘りを持ち、トラクション/スタビリティコントロールの介入なしに、チャレンジングな道を速く活発に駆け抜ける。

インテリア、ドライバー・アシストは?

内装に目を向けると、フロントシートは長距離走行でも秀逸な快適性を提供する。

キャビンのデザインはわずかにリファインされ、上質な素材で覆われたダッシュボードには、計器盤とインフォテインメントシステム用の高精細ディスプレイ2基が設置される。

後席は、ロングホイールベースにより広大なレッグスペースを得ている。おそらく、それこそ高級車として最も重要な要素だろう。

また、ドライバーアシストから最新の半自動運転まで、驚くほど多くの先進技術も搭載する。

それは30秒以上の自動操舵を行わない一方、加速やブレーキングはクルーズコントロールの一部に組み込まれ、今後3年以内に次期Sクラスでの実現をメルセデス・ベンツが確約する、全自動運転への明確な一歩だ。


■「買い」か?

Sクラスより特別なものを求めるひとは、いつでもいるだろう。

しかし、ロールス・ロイス・ゴーストやベントレー・フライングスパーに乗っていたとしても、この最新のSクラス・ロング・ホイールベースが与えてくれるような幸福感を得られているかどうかは疑わしいところだ。

自分で運転するにせよ、後席に座るにせよ、このSクラスを購入したなら、目の肥えたマーケットの要求へ完璧に応える、他に代わるもののないクルマを体験できるだろう。

メルセデス・ベンツS400d 4MATIC

文:AUTOCAR JAPAN グレッグ・ケーブル
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

小林利徠斗がCERUMOからデビュー。トヨタGRが2026年スーパーGT GT500参戦体制を発表
小林利徠斗がCERUMOからデビュー。トヨタGRが2026年スーパーGT GT500参戦体制を発表
AUTOSPORT web
小林利徠斗がCERUMOからGT500ステップアップ! GRスープラの4連覇なるか|トヨタ2026年スーパーGT体制発表
小林利徠斗がCERUMOからGT500ステップアップ! GRスープラの4連覇なるか|トヨタ2026年スーパーGT体制発表
motorsport.com 日本版
6年ぶり全面刷新! 日産“新型”「4ドアセダン」がスゴイ! 約350万円の”全長4.6m級”「ちょうどいいモデル」! スポーティな「SR」もある米国「セントラ」とは
6年ぶり全面刷新! 日産“新型”「4ドアセダン」がスゴイ! 約350万円の”全長4.6m級”「ちょうどいいモデル」! スポーティな「SR」もある米国「セントラ」とは
くるまのニュース
「東北道からコッチ行きたい、でも有料なんだよな…」解消! 宇都宮の便利道路「さつきロード」3月に無料化
「東北道からコッチ行きたい、でも有料なんだよな…」解消! 宇都宮の便利道路「さつきロード」3月に無料化
乗りものニュース
「うわ、懐かしっ!」米国オークションで半世紀前のマツダ「カペラ」を発見 48年間ワンオーナーで走行4.5万キロ 大切に扱われた米国名「626クーペ」とは
「うわ、懐かしっ!」米国オークションで半世紀前のマツダ「カペラ」を発見 48年間ワンオーナーで走行4.5万キロ 大切に扱われた米国名「626クーペ」とは
VAGUE
可夢偉移籍など大きくシャッフル! テストでドゥーハン&ブラウニング起用のKONDOは後日アナウンスに|トヨタ2026年スーパーフォーミュラ体制発表
可夢偉移籍など大きくシャッフル! テストでドゥーハン&ブラウニング起用のKONDOは後日アナウンスに|トヨタ2026年スーパーフォーミュラ体制発表
motorsport.com 日本版
スーパーフォーミュラ、トヨタ陣営が2026年体制を発表。大シャッフルで山下&ロバンペラ組、“ダブル小林”組が誕生
スーパーフォーミュラ、トヨタ陣営が2026年体制を発表。大シャッフルで山下&ロバンペラ組、“ダブル小林”組が誕生
AUTOSPORT web
【連載:清水草一の自動車ラスト・ロマン】#25 ベタベタ病はネチャネチャ病!
【連載:清水草一の自動車ラスト・ロマン】#25 ベタベタ病はネチャネチャ病!
AUTOCAR JAPAN
<新連載>[DSPって何?]DSPを使えば、リスニングポジションを擬似的に変更可能!
<新連載>[DSPって何?]DSPを使えば、リスニングポジションを擬似的に変更可能!
レスポンス
ザガートの血を引くアルファ ロメオの異端児「SZ」が約1300万円で落札!
ザガートの血を引くアルファ ロメオの異端児「SZ」が約1300万円で落札!
Auto Messe Web
フェルスタッペン、2025年ランキング2位は”幸運”だった? 2ポイント差で5連覇を”逃した”とは考えず……「僕らは本当の意味でタイトルを争っていたわけじゃない」
フェルスタッペン、2025年ランキング2位は”幸運”だった? 2ポイント差で5連覇を”逃した”とは考えず……「僕らは本当の意味でタイトルを争っていたわけじゃない」
motorsport.com 日本版
フロントガラス真っ白を秒速で解決!! 冬の曇り&凍結に効くエアコンとデフロスターの正しい使い方
フロントガラス真っ白を秒速で解決!! 冬の曇り&凍結に効くエアコンとデフロスターの正しい使い方
ベストカーWeb
トヨタ次期型「ハイエース」!? ながーーい“ロングボディ”仕様! ガソリンエンジン搭載ももちろん想定の新コンセプトとは
トヨタ次期型「ハイエース」!? ながーーい“ロングボディ”仕様! ガソリンエンジン搭載ももちろん想定の新コンセプトとは
くるまのニュース
メルセデスAMG CLA 45 S「最後の限定車」が登場。クーペとシューティングブレークに「ファイナルエディション」
メルセデスAMG CLA 45 S「最後の限定車」が登場。クーペとシューティングブレークに「ファイナルエディション」
Webモーターマガジン
BMW、バッテリー原材料のダイレクトリサイクル施設を稼働…年間数十トン規模めざす
BMW、バッテリー原材料のダイレクトリサイクル施設を稼働…年間数十トン規模めざす
レスポンス
「コレはカッコいい」「こんなクルマあったんだ…」日本人が知らない、世界に誇る日産車。1986年から累計販売台数50万台の名車の新型が発表!
「コレはカッコいい」「こんなクルマあったんだ…」日本人が知らない、世界に誇る日産車。1986年から累計販売台数50万台の名車の新型が発表!
月刊自家用車WEB
ホンダ新型「CB1000F」で再注目!? シュッと伸びた「テールカウル」 いつ登場した?
ホンダ新型「CB1000F」で再注目!? シュッと伸びた「テールカウル」 いつ登場した?
バイクのニュース
トヨタ、米国生産車を「逆輸入」 タンドラ・ハイランダー・カムリを2026年度から
トヨタ、米国生産車を「逆輸入」 タンドラ・ハイランダー・カムリを2026年度から
日刊自動車新聞

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1575 . 0万円 2359 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

49 . 9万円 1858 . 0万円

中古車を検索
メルセデス・ベンツ Sクラスの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1575 . 0万円 2359 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

49 . 9万円 1858 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村