ハッチバックの147とサルーンの156がベース
多くの場合、新モデルは市場のニーズやギャップを埋める目的で誕生する。しかし、タイプ937のコードネームを持つアルファ・ロメオGTは、生産工場のギャップを埋めるために開発された変わりモノだ。
【画像】世界一美しいクーペ アルファ・ロメオGT 156と147、GTV ブレラと最新ジュリアも 全121枚
その工場とは、トリノのコーチビルダー、ベルトーネが有する施設だった。フィアット・プント・カブリオレの生産が終わり、労働力維持のため新たな仕事が必要になっていた。
そこでベルトーネは、ハッチバックの147とサルーンの156をベースにした、実用的な4シータークーペをデザイン。アルファ・ロメオへ提案したのだ。
ただし、アルファ・ロメオは既にクーペのGTVを提供していた。その後継モデルとして、ブレラの開発も進められていた。ベルトーネのクーペとコンセプトは似ていたが、その工場での生産は想定されていなかった。
他方、アルファ・ロメオは品質向上を目的に、ベルトーネへ多額の投資も行っていた。最終的には、147と並行するカタチで新たなクーペの生産が決定した。
かくして、GTは2003年に発表。しかし147や156の方が価格は安く、より速く、販売は芳しくなかった。2005年には、コンセプトカーの見た目そのままでブレラも登場。2004年に世界で最も美しいクーペの称号を得るが、生産は2010年に終了した。
2024年に見るGTは、147や156に劣らず魅力的。英国市場では、1.8Lと2.0Lの直4に3.2L V6のガソリンのほか、1.9L直4ディーゼルターボと、4種類のエンジンから選べる。ディーゼルターボなら、英国では1500ポンド(約29万円)から探せる。
3.2L V6ブッソ・ユニットも搭載 生産数は少ない
荷室容量は320Lで、リアシートは折りたたみ可能。実用的なスポーツカーとしてディーラーへ並んだが、アルファ・ロメオ・マニアは内装や部品を147と共有することを批判した。ところが今では、スペアパーツが入手しやすいというメリットになっている。
人気が高いのは、2.0LガソリンのJTS。165psの最高出力を発揮する。伝説の技術者の名を受け継ぐブッソ・ユニット、 3.2L V6エンジンも支持は高い。24バルブで、240psを発揮する。
AUTOCARでは、V6エンジンの排気音へ聴き惚れ、パワフルさを好み、滑らかなMTへ夢中になった。ところが本領を発揮させると、前輪駆動のシャシーが受け止めきれないことも発見した。トルクステアも酷かった。
ディーゼルは、150psの1.9L JTDmでスタート。リミテッドスリップ・デフが組まれたクアドリフォリオQ2には、170ps仕様が載っている。
インテリアは、アルカンターラかレザー。エアコンにパーキングセンサーなど、装備は充実している。アルミホイールは、16インチから18インチまで用意された。
英国では、豪華装備のルッソも登場。18インチ・ホイールにブラックの塗装、ブラック・レザーの内装などでコーディネートされていた。クアドリフォリオは、V6エンジン以外に設定。エンツォを名乗る18インチ・ホイールなど、人気アイテムも存在する。
現役時代は人気を集められず、少数の生産で終わったGT。しかし、アルファ・ロメオ好きなら気に入る要素は少なくない。多くの人が魅力へ気付く前に、状態の良い1台を探してみてはいかがだろう。
新車時代のAUTOCARの評価は
GTは、ボディのねじり剛性が15%向上。サスペンションに改良を受け、乗り心地は向上し、ロードノイズなどが軽減されている。操縦性も147より良くなった。
滑らかなコーナリングという点ではBMW 3シリーズへ匹敵しないものの、バランスはぐっと良くなっている。(2003年11月18日)
オーナーの意見を聞いてみる
コリン・クラウザー氏
「2007年式で1.9LディーゼルのGT ルッソを、3年前に購入しました。走行距離は12万kmを過ぎましたが、1つを除いて目立った不具合は起きていません。その1つが、ボディ・コントロール・モジュールの故障です」
「ECUと一緒に交換し、コンポーネントを同期させる必要がありました。かなり深刻なものでしたね。去年の冬には、舗装の剥がれた穴にタイヤを落としてしまい、サスペンションを修理しています。これは、クルマのせいではありませんが」
「ボディに目立った錆はありません。燃費は18km/Lくらい。リアシートの乗降性が多少悪いことは事実ですが、それ以外、手放すような理由は全然ありません」
購入時に気をつけたいポイント
ボディ
サイドシルに凹みがないか観察する。パネル類の隙間がきれいに揃っているか、ゴムモールをめくって、再塗装の跡がないか確かめる。フロントフェンダーを固定するパネルのボルトが、オリジナル塗装のままか、色が一致するかもチェックポイント。
可能なら、下回りに深刻なサビがないかも確かめたい。サイドシルやリアのドレインホール付近が錆びやすい。
エンジン
2.0Lの直4ガソリンは、5万8000km毎のタイミングベルト交換が英国では指定されている。ウォーターポンプも一緒に交換したい。点火不良は、コイルパックの不調が原因のことが多い。
V6 3.2Lガソリンとディーゼルターボのタイミングベルト交換は、9万6000km毎か5年毎と間隔が長い。エアフローメーターの故障で、パワーが鈍る場合がある。
ディーゼルエンジンは基本的にタフ。だが、ウォーターポンプとオイルポンプ、ターボパイプ、パティキュレートフィルターの目詰まりなど、不具合が連続する場合はある。
トランスミッション
マニュアルと、セレスピードと呼ばれたセミ・オートマティックは、いずれも滑らかに変速できるのが正解。調子が悪いようなら、別の車両を探したい。
マニュアルでシフトレバーが硬い場合は、ブッシュ交換で改善可能。クラッチペダルのストロークが長過ぎないかも確かめる。交換には700ポンド(約13万円)ほど必要。
サスペンションとブレーキ
フロントのアッパーウィッシュボーンと、アンチロールバーがカタカタと音を立てないか、試運転で確かめる。リアタイヤの内側が不自然に摩耗している場合は、リアのハブブッシュとラジアスアームの交換が必要かもしれない。
ブレーキは、パッドとディスクの厚みを確かめる。
インテリア
すべての車載機能が正常に動くか、順番にボタンを操作してみる。警告灯がエンジン始動後に消えるかも確認したい。シートは正常にスライド/リクライニングできるか試す。ケーブルが破断することは珍しくない。
荷室のフロアに、水漏れの跡がないか調べる。修理痕の有無もチェックポイント。
知っておくべきこと
アルファ・ロメオのV6ブッソ・ユニットは、1979年に生産が始まり、改良を続けながら2005年まで現役だった。排気量は複数あり、GTだけでなく同時期の147 GTAにも3.2L仕様が搭載されている。英国での中古車価格は、147 GTAの方が高いようだ。
ブッソユニットの特徴となるのが、クロームメッキされた美しいインテークパイプ。英国の専門ショップは、インターバル通りのタイミングベルト交換を強く推奨する。ウォーターポンプの交換も忘れないでおきたい。
英国ではいくら払うべき?
1500ポンド(約29万円)~3999ポンド(約76万円)
2007年までのディーゼルターボが、英国では見つかる価格帯。2.0Lガソリンも、14万km前後の走行距離の例が出てくる。
4000ポンド(約77万円)~8999ポンド(約172万円)
走行距離の短いGTを探すなら、この価格帯から。最終の2010年式まで選択肢は幅広い。走行距離の伸びた3.2L V6も含まれる。
9000ポンド(約173万円)以上
状態の良い3.2L V6をお探しなら、英国ではこの価格帯から。
英国で掘り出し物を発見
アルファ・ロメオGT 2.0JTS ブラックライン 登録:2007年 走行距離:9万9800km 価格:4450ポンド(約85万円)
正規ディーラーとアルファ・ロメオの専門ショップでメンテナンスを受けてきた、状態の良いGT。インジェクターとタイミングベルト、ウォーターポンプ、クラッチ、ドライブシャフトが最近交換されている。
トランスミッションはリビルド済み。アップグレードされたブレーキが組まれている。
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