「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、トラストとテインが手がけた、スズキ スイフトスポーツだ。
スイフトスポーツ by トラスト(2012年:チューニングカー)
チューニングベースとしての人気も高い、スズキ スイフトスポーツ。新車が出たばかり(編集部註:2012年初め)で、まだ時期尚早か?と思いきや、早くもデモカーが2台も登場した。とはいえ開発に着手したばかりで暫定仕様的なところもあるが、そんな2台に速攻試乗することができた。
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まずトラストからは、サスペンションキットとマフラーを装着したデモカーが登場した。先代の31S型ではスプリングレートを2種類用意していたが、この新型では硬いほうを装着していた。タイヤは215/35R18へとインチアップされている。
今回の試乗ステージとなったワインディングロードは路面が荒れていて凹凸が多く、硬すぎるのではと想像しながら走り出したが、意外なほどスムーズ。大きな段差ではそれなりに衝撃があるが、跳ねてしまうようなことはなく、安心してハイペースを保つことができる。ショックアブソーバーもツンツンとした突き上げ感がなく、路面の荒れをしなやかに吸収してくれる。
じつは試乗車のタイヤは暫定的にブリヂストン プレイズを装着していたのだが、あまりスポーティではない特性がしなやかさにも貢献していたようだ。タイヤ的にはステアリングを切り込んだときの切れの良さが足りないが、その他の部分ではストリート用としては悪くない。
スプリングレートに関しては新型のシャシの進化を確認したため、最初から硬めを選択。それをストリート用とし、今後はサーキット用にさらにハイレートを用意するという。その目論見は正解で、現状でワインディングロードを走るには最適に近いところにあると思え、またサーキットでも十分に楽しめそうだ。マフラーは低回転域では静かなものの、4000rpmあたりからはじつに心地良いサウンドを発していた。抜けがいいため、高回転にいくほど加速感も活気づいていく印象だ。
スイフトスポーツ by テイン(2012年:チューニングカー)
そしてもう1台は、テインの車高調整式キットを装着したデモカー。テインでは新型の32S型用に4種類のキットを用意しているが、今回試乗したのはもっとも硬派な「モノ フレックス」だ。
スポーツ走行を中心にストリートでの使い勝手も考えたこのキットは、さすがにハードな一面も見せる。普通に街乗りで使うレベルならばそれほど硬いという印象を受けないが、ワインディングロードでペースを上げていくと路面の凹凸を正直に拾ってボディが上下動する。それでも、EDFC(エレクトロニック ダンピング フォース コントローラー)が装着されていて、車内からショックアブソーバーの減衰力を調整することが可能なので、ある程度は好みに近づけることもできた。減衰を一番弱い前後16にセットすると入力感が抑えられていいが、バネ下の動きの収まり感がやや悪い。真ん中の8か10あたりがちょうどいいところだろう。
このEDFCは、前後を別々に調整することも可能だ。曲率のゆるいコーナーが続く今回の試乗ステージでは、前後フラットな荷重状態で進入していくところがほとんどだったが、そこではほんの少し、2段階ぐらいフロントを緩めておくと気持ち良くノーズをラインに乗せていくことができた。ブレーキングとともにステアリングを切り込んでいくようなコーナーになるとまた話は別だが、状況に応じて即座に減衰を変えられることは、走りを突き詰めることへの探求心をくすぐられて大いに楽しめる。
ここで紹介した2社以外にも、フジツボからは新規制適合マフラー、クスコからは足まわり&駆動系パーツがリリースされた。新型スイフトスポーツのチューニングはまだまだ始まったばかりだが、今回の2台を見ればベースモデルの素性の良さが本当に良くわかる。先代の31S型以上に、盛り上がっていくことは確実だろう。
スズキ スイフトスポーツ(ベース車両) 主要諸元
●全長×全幅×全高:3890×1695×1510mm
●ホイールベース:2430mm
●車両重量:1050kg<1070>
●エンジン:直4 DOHC
●総排気量:1586cc
●最高出力:100kW(136ps)/6900rpm
●最大トルク:160Nm(16.3kgm)/4400rpm
●トランスミッション:6速MT<CVT>
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・42L
●JC08モード燃費:14.8km/L<15.6>
●タイヤサイズ:195/45R17
●当時の車両価格(税込):168万円<174万8250円>
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