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【バッテリー技術を自社開発】ボルボ EV航続距離1000km目指す 今後10年以内に実現

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【バッテリー技術を自社開発】ボルボ EV航続距離1000km目指す 今後10年以内に実現

高級EV市場のリーダーに

text:James Attwood(ジェームズ・アトウッド)

【画像】スウェーデンメーカーの電動化【ボルボとポールスターのEVを写真で見る】 全100枚

translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)

ボルボのCEOであるホーカン・サミュエルソンは、新技術の採用によりEVの航続距離、安全性、機能性を向上させ、高級EV市場のリーダーになる計画を発表した。

この計画は、同社が主催するイベント「Tech Moment」で明らかにされた。サミュエルソンは、2030年にEVだけのブランドになることを目指しているボルボが、新しいシステム開発に取り組むことで、高級EV市場でのシェアをさらに拡大すると述べた。

「電動化のためには、バッテリーなどの新技術を自社で開発する必要があります。内燃機関を理解するのと同じように、バッテリーを深く理解する必要があるのです。充電や陽極、陰極などを理解しなければなりません」

「もちろん、ソフトウェアも必要です。将来的には、多くの機能がソフトウェアで実現されることになります。必要なものをサプライヤーから提供してもらうのは、時間がかかりすぎて非効率的です。これでは、ボルボが必要とする機能は得られません」

「セントラル・コンピューティング・プラットフォームと自社製ソフトウェアに頼る必要があります。これは、電動化と同様に、業界における大きな変化です」

「3つ目は、安全性です。わたし達は、新しい技術によってこのポジションを強化し、まったく新しいレベルの安全性を実現します。これはトレードマークになるでしょう。クルマにLiDarが搭載され、安全なクルマであることがわかります」

リアルタイム情報を利用して安全性向上

ボルボは、次世代モデルの安全性を高め、自動運転技術の開発を加速するために、顧客のクルマから得られるリアルタイムデータを利用して迅速な改良を行う計画を明らかにした。

同社は以前から安全システムに力を入れており、これまでも交通データを利用してシステムを改良・強化してきた。しかし、次世代のEVにおいては、顧客の同意を得た上で、リアルタイムにデータを収集することで、さらなる発展を目指している。

収集されるデータには、次世代のボルボ車に搭載される高解像度のLiDARセンサーから得られる情報も含まれる。従来、LiDarレーダーは主に自動運転システムに使用されてきたが、ボルボはすべてのEVに採用することで、あらゆる運転用途での安全性を高めることができるとしている。また、この新しいソフトウェアおよびハードウェア技術によって提供される半自動運転システムの開発も進めている。

実世界のデータを利用することで、クローズドコースでテスト車両を使用するよりも早く、システムを磨くことができる。

また、ボルボは無線アップデートを利用して、ニュースシステムや新機能を追加し、安全システムのアップグレードも行う予定だ。この技術を採用するのは、電動SUVとなる次期XC90が最初だ。

LiDarシステムを全車に標準装備するための追加コストについて質問されたサミュエルソンは、コストが高いことを認めた上で、次のように述べた。

「利用可能なすべての技術を駆使して、可能な限りの安全なクルマを作ることに価値があります。LiDar搭載車は、カメラだけを搭載したクルマよりも安全です。ボルボはあらゆる技術を使用する必要があります。準備が整ったら、ボルボにLiDarを搭載しないわけにはいきません」

将来的には、ルミナー社が開発したLiDarシステムや、Nvidia社の自動運転コンピューターなど、最新の安全システムやセンサーが多数搭載される。ボルボは、これらの先進的なハードウェアとソフトウェアを組み合わせることで、安全性を大幅に向上させ、事故や死亡事故を減らすことができると主張している。

ボルボは、自動運転ソフトウェアを手がけるZenseact社と協力して、200ペビバイト(2億2500万ギガバイト)以上のデータを保存できるデータファクトリーを開発している。

ソフトウェア開発を内製化

ボルボは、ソフトウェア開発を内製化し、次世代EVに独自の新OS「ボルボ・カーズOS」を採用する。

フォルクスワーゲン・グループなどと同様に、ソフトウェア・スタックの開発を完全に内製化するが、この動きは将来の自動車開発におけるシステムとソフトウェアの重要性を反映している。

2022年に発表予定のEV専用の次期SUVから、全モデルにボルボ・カーズOSが採用される。同OSは、アンドロイド・オートモーティブ、QNX、オートカー、Linuxなどで構築される。各システムは、集中型のコアシステムを中心に構成され、ボルボはこれにより車両の複雑さを大幅に軽減できるという。

ボルボはこの新しいシステムにより、車両のセンサーデータを含む車内機能、新しいユーザー・インターフェース、クラウドベースの機能の強化などを実現できるとしている。

また、このOSはサードパーティベースで他のメーカーに提供される予定だ。

ボルボはバッテリー技術の大幅な改善を計画

ボルボは、従来のものより50%高い密度のバッテリー開発に取り組んでおり、これにより今後10年以内に1000kmの走行距離を実現できるようになるとしている。

来年発売予定の次期XC90をはじめとする第2世代のEVに、改良型リチウムイオン技術を搭載する予定だ。

2025年頃に予定されている第3世代のEVでは、航続距離をさらに向上させ、バッテリーをクルマのフロアに統合し、セル構造を利用して車両全体の剛性を高めることができるようになるという。

ボルボはスウェーデンのノースボルト社と共同でこの技術を開発しており、「約10年後」に体積エネルギー密度1000Wh/lの突破を目指しているという。またボルボは、ノースボルト社と共同で製造予定のバッテリーセルは、すべて再生可能エネルギーで製造されると述べている。

グーグルとの提携拡大

ボルボは、グーグルとのパートナーシップを拡大し、アンドロイド・オートモーティブをベースにコネクティビティを強化したインフォテインメント・システムの開発を進めている。

このアンドロイドベースのインフォテインメント・システムは、将来の全ボルボ車に搭載される「大型の集中型タッチスクリーン」を中心に構築され、「必要な情報だけを適切なタイミングで提供する」という「ミニマリストでコンテキストに応じたアプローチ」を採用した操作システムを特徴としている。

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みんなのコメント

4件
  • EV化してかなりスタイリッシュになりましたね。
    コンセプトと言えど、ボルボはあまり変えずに出すからこの路線でしょうね。
    先進的で私は好きです。
  • LiDAR搭載か。どんな世界か楽しみ。
    一気に未来を先取りするね。
    10年後に1000キロ走れるEV!
    ボルボはこれからも目が離せないメーカーだね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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