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歴史的瞬間に立ち会えるかも!! 全長約2.5kmなのにコーナーは20も!! 東京初開催のフォーミュラE波乱の予感!?

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歴史的瞬間に立ち会えるかも!! 全長約2.5kmなのにコーナーは20も!! 東京初開催のフォーミュラE波乱の予感!?

 EVのフォーミュラカーの世界最高峰に君臨するフォーミュラEは、2014年に初開催され、2023-2024年シーズンが10シーズン目となる。そして2024年3月29日(金)~30日(土)に待望のフォーミュラEの東京E-Prix(イープリ)が開催される。フォーミュラEについて何も知らずに見るよりも、マシン、参戦チーム、ドライバー、レギュレーションなどを知っておけば、より楽しめること請け合いだ!!

文:ベストカーWeb編集部/写真:NISSAN、FORMULA-E、Red Bull Racing

歴史的瞬間に立ち会えるかも!! 全長約2.5kmなのにコーナーは20も!! 東京初開催のフォーミュラE波乱の予感!?

日本初の公道で開催される世界選手権レース

 日本ではWRC(世界ラリー選手権)が公道を使用して開催されているが、フォーミュラEの東京E-Prixは日本で初めて公道で開催される世界選手権レースとなる。会場となるのは、東京江東区の東京ビッグサイト周辺の一般道を含む特設コースの東京ストリートサーキットだ。

 コースは全長2.585kmでコーナーの数は20。高速コーナーとタイトコーナーを3本のストレートでつないだ国際レーシングコースとなっている。注目の東京E-Prixのスケジュールは以下のとおり。

【東京E-Prixタイムスケジュール】
■3月29日(金)16:25~17:15 フリープラクティス1
■3月30日(土)7:55~8:45 フリープラクティス2:
■3月30日(土)10:20~11:43 予選
■3月30日(土)15:03~16:30 レース

 初開催のコースゆえ、各チームともデータがないため番狂わせも充分にあるので楽しみ。では、フォーミュラEがどんなレースなのかについて具体的に解説していく。

フォーミュラEって何?

 化石燃料を一切使用しない電気自動車(BEV)のフォーミュラカーによって争われる。FIA管轄の世界選手権はフォーミュラワン世界選手権、WRC(世界ラリー選手権)、WEC(世界耐久選手権)など合計7つ存在しているが、フォーミュラEもそのひとつで、世界各国を転戦する。

年間のレース数は?

 2023-2024年シーズンは第1戦のメキシコ(メキシコシティ)を皮切りに全16戦(10カ国)がスケジュールされている。東京大会はその第5戦に組み込まれている。メキシコ(メキシコシティ)、ブラジル(サンパウロ)、日本(東京)、モナコ(モンテカルロ)が1戦開催で、サウジアラビア(ディルイーヤ)、イタリア(ミサノ)、ドイツ(ベルリン)、中国(上海)、アメリカ(ポートランド)、イギリス(ロンドン)の6カ国は2連戦での開催だ。

 開催されるほとんどが市街地コースというのも特徴。あとF1ではレース名にグランプリ(Grand Prix:略してGP)が使われるが、フォーミュラEではGPではなくe-Prixと表記し、イープリと読む。すなわち東京大会はTOKYO e-Prix(トーキョー・イープリ)が正式名称となる。

フォーミュラEはほとんどが市街地コースで開催されるのでスリリング。写真は第4戦のブラジル(サンパウロ)

どんなマシンが走っている?

フォーミュラEのGEN3は戦闘機のエアロダイナミクスから着想を得たという独特のボディデザインを採用

 2023-2024年シーズンで使用されるマシンは、GEN3と呼ばれる第3世代モデルで、2023-2024年シーズンが2年目となる。戦闘機のエアロダイナミクスから着想を得たというデザインを纏っている。車体(スパーク・レーシング・テクノロジーズ製)、バッテリー(ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリング製)、タイヤ(ハンコック製)は全チーム共通となっていて、駆動モーター、インバーター、ソフトウェアは参戦メーカーが独自に開発し、プライベーターは提携メーカーからそれらの供給を受けて参戦している。

タイヤはハンコック製の18インチ全天候型(スリックではなく溝付き)で、各ドライバーは1レースで前後4本ずつの新品タイヤが使用できる

マシンの性能は?

 フォーミュラEマシンのGEN3は、通常時は300kW(MAX 350kW)のモーターで後輪を駆動し、バッテリー容量は47kWhと小さい。320km/hと言われている最高速を実現するためにはバッテリーの小型軽量化が必須だからだ。しかし走行距離が100km程度に設定されているレースでは全速、全開だと最後まで走り切ることができない。

 フォーミュラE初期段階のシーズン1~4で使用されたGEN1では各ドライバーは2台のマシンをレース中に乗り換えていたが、GEN3ではフロントに250kWの発電専用モーターを搭載して、ブレーキング時に発電してバッテリーにチャージ。駆動用のリアモーターもブレーキングで回生するため、前後最大600kWのモーターで充電する。このエネルギー効率のよさはGEN3の特徴で、レースで使用する電気の40%を回生している。

トップスピードは320km前後で、特筆は前後モーターによる回生性能で、レースで使用する電力の約40%をカバー

どんなチームが参戦している?

 フォーミュラEに参戦している自動車メーカーは、日産、ポルシェ、ジャガー、ステランティス、マヒンドラが顔を揃えていて、ステランティスはDSとマセラティの2ブランドで参戦。あと、中国メーカーのNIOは2023-2024年からチーム名称をERTフォーミュラEチームに変更したが、合計7つの自動車メーカー&ブランドが参戦していることになる。

名門ポルシェは自らのチームのほかアンドレッティにモーターなどを供給している

 一方プライベーターは、ABT(マヒンドラ)、アンドレッティ(ポルシェ)、ENVISION RACING(ジャガー)、マクラーレン(日産)が参戦していて、カッコ内のメーカーがモーターなどを供給している。メーカー系チーム、プライベーターを合わせて11チーム、各チーム2台体制なので22台で争われる。

 東京e-Prixでは日本初開催でチームの士気も高まっている日産に注目だ。

日産は東京E-Prixの前に開催された第4戦サンパウロでオリバー・ローランドが3位表彰台を獲得して好調

注目のドライバーは?

 若手からベテランまで22人の現役ドライバーでチャンピオン経験者は、ABTのベテランドライバーのルーカス・ディ・グラッシ(2016-2017年)、唯一2回チャンピオンを獲得しているジャン・エリック・ベルニュ(2017-18年、2018-2019年)、2023年はF1アルファタウリで角田裕毅のチームメイトだったニック・デ・フリース(2020-2021年)の3人。

ニック・デ・フリースは2020-2021年のチャンピオン。2023年のF1アルファタウリで角田のチームメイトとして日本でもなじみがある

 そのほか2023-2024年シーズンの東京までの4戦終えた時点でのポイント上位は、トップがニック・キャシディ(ジャガー・57点)、2位がパスカル・ウェーレイン(ポルシェ・53点)、ミッチ・エバンス(ジャガー・39点)となっている。 

 注目の日産のドライバーは、オリバー・ローランド(33点・7位)、サッシャ・フェネストラズ(8点・14位)で、東京e-Prixでの躍進に期待したい。

ポイントシステムはどうなっている?

 フォーミュラEのポイントは10位までのドライバーにポイントが与えられ、そのポイント配分はF1とまったく同じ。優勝が25点、2位が18点、3位が15点で、4位以下は順に10点、8点、6点、4点、3点、2点、1点が与えられる。

 そのほかでは、ポールポジション獲得者に3点、レース中のファステストラップ(最速タイム)をマークすると1点が付与される。ただ、ファステストラップは、レースを10位以内でフィニッシュすることが条件となる。

日産のドライバーはローランド(写真右)とサッシャ・フェネストラス(写真左)のコンビで東京での優勝を目指す

ユニークな独自の予選システム

 F1は20人のドライバーが全車走行してQ1、Q2でそれぞれ5台が脱落し、Q3に残った10台がタイム順に予選順位が決まる方式だ。

 それに対してフォーミュラEは、22人が11人ずつA、Bの2グループに分かれて12分間でラップライムを競う。A、Bそれぞれの組の上位4台がデュエルステージと呼ばれるトーナメントで準々決勝、準決勝が行われ、それを勝ち抜いた各組のトップが決勝デュエルで雌雄を決す。モーターパワーはグループ走行は300kWだが、デュエルステージからは350kWとなる。

 最終的に勝ったほうがポールポジションを獲得し、負けたほうが2位となる。ラップタイム順に準決勝の敗者が3位&4位、準々決勝の敗者が5~8位となるという独自のユニークな予選方式を採用している。

トーナメントの準々決勝、準決勝、決勝はMAXパワーの350kWで1対1のデッドヒートが繰り広げられる

レースのカギを握るアタックモード

 前述のとおり、フォーミュラEでは通常時のモーターパワーはMAX300kWに制限されているが、アタックモードでは一定時間350kWでの走行が可能となる。アタックモード使用するためには、コースのレーシングラインを外れたところにあるアクティベーションゾーンを走行しなければいけないため、他車にオーバーテイクされる危険性が高い。

 使える時間は1分、2分、3分などレースによって違い、FIAがレース前に発表する。各ドライバーは1レースにつき1回アタックモードが使える。それをどのタイミングで使用するかが、各チームのレース戦略のカギを握っている。

アタックモードに入るために必須のアクティベーションゾーンポイントはウォールにも明記されている

★    ★    ★

 まだ日本ではF1ほどの認知度のないフォーミュラEは言い換えれば未体験ゾーン!! フォーミュラE初開催となる東京E-Prixが日本のレースに新たな歴史を刻む!! 生観戦できる人もできない人も、その歴史の証言者となる。

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