WEC第6戦ローンスター・ル・マンの決勝レースがサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行なわれ、AFコルセの83号車フェラーリ499P(ロバート・クビサ/ロバート・シュバルツマン/イフェイ・イェ)が優勝した。
6時間のレースがスタートすると、ポールシッターの51号車フェラーリ499Pがホールショットを奪い、2番グリッドのフェラーリ83号車がそれに続いた。さらにはフェラーリ50号車も3番手に浮上し、フェラーリ勢がトップ3を独占した。
■WECオースティンの性能調整が発表。トヨタとポルシェはパワーダウンと重量増のダブルパンチ
今回7号車が9番手、8号車が12番手と苦しい位置からのスタートとなったトヨタ勢は、マイク・コンウェイが駆る7号車が序盤から順調にポジションを上げ、レース開始から15分ほどで6番手につけた。
スタートから30分が過ぎると、クビサがドライブする83号車が首位に接近。51号車のアントニオ・ジョビナッツィは、ストレートであっさりとオーバーテイクを許し、首位が交代した。
フェラーリ51号車は、最初のルーティンピット作業を終えた後も2番手を守っていたが、スタートから1時間45分のところで周回遅れのプジョー94号車との接触を避けようとスピンを喫した。さらにこれがきっかけとなったか、コース上でマシンを停めた51号車は力なくピットに戻り、ガレージにマシンを収めてレースを終えている。
またレース開始から2時間が経過しようというところでは、2番手のフェラーリ50号車がBMW M ハイブリッド V8の20号車にオーバーテイクを許すなど、フェラーリの強さに陰りが見え始めた。
路面温度が50度に達する暑さの中、速さを見せたのがトヨタの7号車。ピット作業で20号車をアンダーカットする形となり、2番手まで浮上したのだ。
83号車と17秒あったギャップを、レース折り返しの時点で10秒以下まで削った7号車は、その後も快調に追い上げを続けると、残り2時間を切ろうかという頃には完全に83号車をロックオン。テール・トゥ・ノーズの状態でプレッシャーをかけている中で先にピットに入り、翌周にピットインした83号車をアンダーカットし、ついに首位に立った。
小林可夢偉にバトンタッチした7号車はその後も好ペースを維持し、首位を快走したものの、各車が最後のピット作業を終えた終盤、残り45分というところでにまさかのドライブスルーペナルティが科せられた。
これはプジョー94号車がコースサイドにストップしていた残り2時間ほどのところで振られていたイエローフラッグを無視したとされたためであり、他にも5番手を走っていたプジョー6号車にも同様のペナルティが科された。
ペナルティを消化した7号車がコースに復帰した頃には、83号車が9秒先行。ペナルティに納得できない様子の小林は、フィニッシュまで諦めずに83号車を追い、残り4分で2秒差まで迫ったが、1コーナーでコースオフするなど余力は残されていなかった。
結局、83号車が今季初勝利。7号車は見事な追い上げを見せるも大逆転優勝ならず2位となった。3位には、フェラーリの50号車が入っている。
ランキングトップのポルシェ6号車はペナルティを受けたこともあり、6位フィニッシュ。この結果、6号車のドライバーたち(アンドレ・ロッテラー/ケビン・エストレ/ローレンス・バンスール)がポイントリーダーなのは変わらないが、トヨタ7号車の小林およびデ・フリーズとの差は12ポイントまで縮まった。なお、フェラーリ50号車のアントニオ・フオコ、ミゲル・モリーナ、ニクラス・ニールセンも小林やデ・フリーズと同ポイントのランキング3番手となっている。
トヨタ8号車は、ポルシェ6号車の目の前でピットアウトした際、ポルシェ6号車をコース外に追いやるようにマシンを寄せていき、2台が接触。これで8号車は左リヤタイヤにダメージを受け、スロー走行でピットに戻らざるを得なかった。さらには接触の責任を問われ30秒のストップペナルティが与えられ、15位でレースを終えている。
なお、LMGT3クラスはハート・オブ・レーシング27号車アストンマーティンが快勝。佐藤万璃音がフィニッシュを担当したユナイテッド・オートスポーツ95号車マクラーレンは7位となった。
小泉洋史がスタートスティントを担当したTFスポーツの82号車シボレーが8位、木村武史がスタートを担当したアコーディスASPの87号車レクサスは11位、Dステーション・レーシングの777号車アストンマーティンはリタイアとなった。
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