トヨタ ピクシスバン 「シンプルに徹したプロツール」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

工藤 貴宏
工藤 貴宏(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
2
走行性能
2
乗り心地
2
積載性
5
燃費
5
価格
4

シンプルに徹したプロツール

2022.6.21

年式
2021年12月〜モデル
総評
まさに道具としての機能を追求したクルマ。いうなれば軽自動車界のハイエースです。快適に乗ろうと思うと気になる部分はいくつもありますが、そういう使い方はそもそも想定ターゲット外なので、ユーザーもそこを理解して選ぶ必要があるでしょう。
満足している点
広い荷室スペース。後席に人が座っていてもたっぷり荷物が積めるのがこのクルマの魅力。ライバルに先駆けてトランスミッションをCVTとし、加速が滑らかになったのも大きな特徴です。
不満な点
快適に使おうと思った場合には装備が質素だし、日常的に後席を活用するユーザーにとってはリヤシートの座り心地が悪いこともネガティブなポイントかもしれません。ただ、それらは仕事で使う貨物車としてのコンセプトを突き詰めた結果なので、快適性を前提に話をするのはこのクルマの本質とずれてしまいます。
デザイン

2

華美な装飾をそぎ落とし、シンプルに徹した質実剛健なクルマ作りを感じさせるデザインです。新型はボディ側面を垂直に近づけています(いわゆる“上部の絞り込み”をなくしている)が、それは荷室を広げるためのデザイン。そんなエクステリアからも、実用重視のクルマであることが伝わってきます。機能性を重視したカタチゆえに上級感はありませんが、それがまた潔いです。
走行性能

2

新型はトランスミッションが新開発のCVTになったことで、シフトショックが消えて加速がスムーズになりました(自然吸気エンジン車はMTも選べます)。CVTの採用はトルクバンド(エンジンの効率がいい回転域)を有効に使えるようになったことで、加速性能がアップしたところも見逃せないポイント。ただ、車両重量がやや重めなこともあって自然吸気エンジンは力不足が否めないので、オススメはターボエンジン搭載車です。
乗り心地

2

荷物積載を前提に作られた商用バンで、サスペンションなどもそれに対応する設計になっています。乗り心地はその影響を受けて、一般的な乗用車に比べると硬めの印象。またリヤシートは構造がシンプルでクッションも厚くないので、一般的な乗用車と同じ快適性は期待できません。そのあたりは、商用車というクルマの狙いに従ったものですが、乗用車として使うには理解しておきたい部分と言えるでしょう。
積載性

5

積載性こそ、このクルマの特徴です。後席を畳まなくとも1005mmと大型SUV並みの荷室長を確保し、後席を畳めば奥行きは1915mmまで増し、床面もフラットなので大人2人がゆったり寝ころべます。先代モデルに比べると天井付近の左右幅が広がっているほか、できるだけフラットにシートベルト巻き取り部をはじめ、荷室壁面をできるだけ平らにしているのも注目ポイント。開発者の執念を感じます。
燃費

5

2WDにCVTを組み合わせたモデルのWLTCモード燃費は20.5km/L。キャブオーバーボディの商用バンとしては望外の燃費といっていいのではないでしょうか。エンジンの高効率化と合わせ、CVTの採用が大きく効いています。
価格

4

ベーシックグレードは徹底的に装備を簡略化していますが、104万5000円という価格を知ればそれも納得。ビジネスパートナーとして、できるだけ安くユーザーへ届けたいという意気込みが伝わってきます。装備を追加して一般ユーザーに向けたタイプはトヨタには設定がないので、それを求めるならダイハツ「アトレー」を購入しましょう。
工藤 貴宏
工藤 貴宏
自動車ジャーナリスト
1976年生まれ。クルマ好きが高じ、大学在学中に自動車雑誌の編集部でアルバイトしたことをきっかけに、そのまま就職。そして編集プロダクションを経てフリーランスの自動車ライターに。日々新車を試乗し、日夜レポートを書く日々も気がつけば10年以上。そろそろ、家族に内緒でスポーツカーを買う癖はなんとかしないと。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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