ポルシェ のみんなの質問

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狂人フェルディナンド・ポルシェ博士は
マッドサイエンティストですか?

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回答一覧 (1件)

  • 欧州では、技術史・産業史の研究が学問として確立しており、自動車産業史の研究も盛んに行われています。
    そういう学問の分野では、確かに、フェルディナント・ポルシェを『マッドサイエンティスト』とする見方もあります。

    ポルシェを『マッドサイエンティスト』というのは。
    第二次大戦中に色々な兵器を設計したポルシェが、戦後『ヒトラーの協力者』としてB級戦犯(=非人道的兵器の開発や使用に対する罪)となったことを指しています。(ポルシェはこの罪状でフランスに幽閉され、莫大な保釈金を用意するために、息子のフェリー・ポルシェが自動車メーカー、ポルシェ社を設立しました。現在のスポーツカーメーカー『ポルシェ』は、フェルディナント・ポルシェ本人が作った会社ではありません。)

    しかし真相は・・・と言っても本人にインタビュー出来ず、あくまでも想像の域を出ませんが。

    ダイムラー・ベンツ(現在のメルセデス・ベンツ)で名車SSK(ルパンがTVシリーズの第一期で乗っていた、五右衛門に真っ二つにされたクルマ)を作りながら、経営陣とケンカして会社を飛び出したポルシェは、同郷の友人ハンス・レドヴィンカの代打としてチェコのタトラ社の設計部長となりましたが、レドヴィンカがすぐに復帰してまた失業。(全くの余談ですが、このレドヴィンカというのがまた自動車史に名を残す超越した設計者で、ポルシェぐらいしか代打が務まらなかったでしょう。)

    その後オーストリアのシュタイア社(現在のシュタイア・プフ社)に招かれ設計主任となりますが、すぐにシュタイアの経営が傾き、ダイムラーに吸収されることとなりました。
    しかしかつてケンカ別れした経営陣の元で働くことがガマン出来なかったポルシェはシュタイアを退職、56歳にして、2人の子供を抱えて独立する以外ありませんでした。
    しかし資本金などロクに無いポルシェは、クルマの自社製造を断念、とりあえず設計だけ請け負う『ポルシェ設計事務所』を開設しました。

    いくら天才設計者でも、後のコーリン・チャップマン(一代でロータス社を築いたヒト)やエンツォ・フェラーリ(アルファロメオのレース部門をウマウマと個人のものとし、自分の会社にしたヒト)ほどは商才に長けていなかったポルシェは、当初経営にかなり苦労しましたが・・・アウトウニオン(現在のアウディ)の設計で名が売れ、ナチス党の『国民車構想』の主任設計者の座を勝ち取りました。(VW・タイプ1=通称ビートルは設計コンペが行われ、ポルシェの設計がベンツやアウディの設計に勝ちました。)

    要するに。
    やっと軌道に乗って『食っていける』様になったポルシェ設計事務所の、最大のクライアントがナチス党だったんですよ。

    その後すぐに世界大戦が始まるワケですが、当然ドイツ国内では市販車やレーシングカーの設計仕事が無くなり、しかし製造設備を持たないポルシェ社は軍事物資の生産で食いつなぐことも出来ず、仕事を選んでいる余裕はありません。
    渋々ナチス党の言いなりになって『画期的超兵器』を設計する以外に、食っていく道がありませんでした。

    幸か不幸かというか、ヒトラーはポルシェに直接会って『タダモノでない』『戦局を覆すチカラがある人物』と見抜き、ポルシェに対して便宜を図る様に指示を出しており、戦時下にも関わらず、ポルシェ設計事務所の経営状況は向上していきます。(『おべんちゃら』が大好きなヒトラーは、周囲の者にヒューラー=総統と呼ばせていましたが、クルマバカで空気が読めないポルシェが『ヒトラーさん』と呼ぶのに対し、側近に『彼にはそのまま呼ばせておく様に』と注意しています。ヒトラー自身も、ポルシェの機嫌を損ねない様に気を遣っていたことが判りますが、この親しげな付き合いも、後に『ヒトラーの協力者』とされる原因の一つとなりました。)

    ・・・っというワケで。
    ポルシェの生涯には、マッドサイエンティストというより、激動の時代に翻弄されながら『食っていくために何でもやった』必死の生き様が見られます。戦争の悲しい側面が、現代ではスポーツカーの代表格の様に言われているメーカーにもあったわけです。

    現在ではポルシェの評価は非常に高く、SAE(米国自動車工学会)が実施した『20世紀最高の自動車技術者』の投票で、フェルディナント・ポルシェが1位に選出されました。(学会がやった投票です。投票するのは一般のオーナーや単なるマニア、ジャーナリストなど『外のヒト』ではなく、学会員の自動車技術者、つまり『中のヒト』でありポルシェの同業者です。ちなみに学会員であるワタシも、ポルシェに投票しました。)

    もっとも。
    御質問の貼付画像の『マウス』に関しては。
    取り巻きに大反対されたヒトラーの『超重戦車』構想に対し、話を聞いてノリノリで手を上げたのがポルシェだけだったとか、反対に、仕事が途切れたポルシェにカネを払う口実として発注した仕事で、誰も実現するとは思っていなかった、などという話もあって、開発の真相はよく判っていません。

    きっとポルシェって、異世界冒険もののアニメに出てくるドワーフの鍛冶屋の様に、何かを作ってれば幸せな『メカヲタク』だったんじゃないかと思います。(ポルシェが20世紀最高の自動車技術者に選ばれたのも、発明の多さや世の中を変えた技術ではなく、『圧倒的に多作』だったことが主な理由でした。彼の活動期間に対して明らかに作品が多過ぎ、ポルシェ設計事務所が凄まじい『ブラック企業』だったことが伺えます。まぁ、いかにも同業者が『マネの出来ないスゴいヤツ』として認めそうな働きぶりです。)

    尚、最後に余談ですが。

    >狂人フェルディナンド・ポルシェ博士は

    Ferdinand Porscheは、日本ではドイツ語発音をカタカナ表記するのがデファクトスタンダードとなっており、ドイツ語ではFerdinandは『フェルディナント』と発音します。(最後のdを『ド』と発音するのは英語読みで、そうなると『ファーディナンド・ポーシェ』という表記になります。)

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