FCXクラリティ・レポート 久々に心底欲しいホンダ
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:編集部、ホンダ技研工業
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:編集部、ホンダ技研工業
ならば走りはいかに? イグニッションをひねってスタートボタンで「起動」する。するとメーターが青と緑の光で輝き出した。
既にこれまでに試乗したFCXや他の燃料電池車、電気自動車と同じで、FCXクラリティはわずかなモーター音とともにスウッと至極滑らかに発進する。だからこの感覚自体にはさして驚きは感じない。だが完全に新設計のためか、音に対しても対策がなされるようで以前のFCXよりも静粛性が高い。事実エアコンのファンの音が気になるくらいに。
乗り心地はマイルドなセダン系のそれで、段差乗り越えでバネ下が若干揺すられる辺りはアメ車的感覚。総じて穏やかな印象だ。
スペックはモーターの最高出力が100kW(136ps)、最大トルクが256Nm(26.1kgm)。車両重量は1635kgだから、数値上ではクルマの重さに対してアンダーパワーに思える。しかし実際の体感加速は全く異なる。
FCスタックの高出力とリアに積まれたリチウムイオンバッテリーのパワーアシストによって瞬時にモーターの力が立ち上がる上にギアによる変速がない。このため全開では加速時の最初に身体に来る「グッ」というGの立ち上がりの感触が最大トルク値の2倍はあるように感じる。しかもそこで得られた力がどこまでも伸びて行く加速フィールとなるため、思わず「おおっ」と声をあげたくなる。
さらに凄いのは巡航からの再加速で、実際にこの日後ろに従えた動画のカメラ車(2.0リッタークラスのワゴンだ)は、FCXクラリティが再加速するとみるみる離れ、その加速には全くついてこられなかったほど。しかもこの時、FCXクラリティは当然CO2も排気ガスも発せず水を吐き出すだけ。そう思うと気持ちはさらに軽くなり、加速にホレボレできる。実に爽やかで伸びやかな加速…それはまるで未来をたぐり寄せるような、と評してイイ。
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