高くなった新型Cクラスに試乗。ステアリングは気になるが、これ買っときゃ間違いない
掲載 carview! 文:塩見 智/写真:篠原 晃一 113
掲載 carview! 文:塩見 智/写真:篠原 晃一 113
サイズ以外はAクラスと変わらない、と決して思われない努力が随所に見られる。もちろんエンジン縦置きシリーズのC、E、S間でもそうした差別化は図られているが、昔よりは差をつけにくくなっているのだろうなと感じさせる。Cクラスが出た直後はいつも上級モデルを脅かし、上級モデルが次期モデルで引き離す。この繰り返しがメルセデスの歴史だ。
上級モデル同様、センターパネルに11.9インチの縦長ディスプレイが採用された。ステアリングホイールの奥、ドライバーの真ん前には12.3インチのワイドディスプレイがあり、それぞれが一部重なる情報を表示させ、ドライバーは必要な情報を好みによってどちらかに表示させることができる。どちらのディスプレイもかなり高輝度、高精度で、光が当たっても見やすい。大画面は表示項目を増やすこと以上に一つひとつの項目を大きく表示するために使われている印象だ。若返りを図りつつ老眼その他のおじさんたちを見捨てない姿勢は素晴らしい。
人に話しかけるような表現で、目的地入力、電話の発受、音楽選択、エアコン温度調整などを命じることができる対話型インフォテインメントシステムのMBUXは、相変わらず素晴らしい認識能力でドライバーに恥をかかせない。他の乗員の前で自分の音声を認識してもらえず、スイッチ操作に切り替える時の恥ずかしさといったらない。表向きは笑ってごまかすものの、内心は結構ダメージを受ける。
AR(拡張現実)を駆使したカーナビも使いやすい。ディスプレイに前面カメラによる映像が出て、例えば曲がるべき交差点の映像に重ねるように指示が出る。とてもわかりやすい。これはおじさん、おばさんのみならず、若者にもありがたいはずだ。また声もしくは指紋を使った生体認証が可能となった。認証されるとシート、ステアリング、サイドミラーのポジションに加え、ディスプレイの表示スタイルなどを一気に読み込むことができる。一日に何度もスマホに認証を求められ、Cクラスにも認証を求められる時代。そのうち認証疲れという現代病ができるかもしれない。
新型Cクラスはクルマのアナログな部分、すなわち走る、曲がる、止まるの基本的な性能は相変わらず一級品で、デジタルな部分も乗用車として最先端をいく。これ買っときゃ間違いないの最右翼だ。Cクラスは健在だった。一点のみAMGスポーツステアリングは、スポークに配置されたスイッチが多く、それぞれが小さく、またスイッチの角度にも馴染めず、試乗の最後まで操作しづらさを感じた。
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