マセラティ100周年イベント。歴史的名車が続々登場
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:マセラティ ジャパン
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:マセラティ ジャパン
それとは別に僕自身が魅了されたのは、コンコルソ参加車のなかで最も旧い、ピニンファリーナボディの1954年A6GCSベルリネッタだった。レーシングスポーツカーのシャシーをベースに使って4台だけ製造されたこのクルマのボディは、今日のグラントゥーリズモに応用されているグリル内側の凹面処理など、特徴的なデザイン要素を数多く持っているが、実はこの日、これをデザインした人物に遭うことができたのは大きな悦びだった。
その人物の名はアルド・ブロヴァローネさん、トリノ在住、御年88歳。チーフデザイナーの座にあった時期を含めて、1953年から80年代末までピニンファリーナに在籍した人で、このマセラティは彼のピニンファリーナにおける最初の作品だという。ちなみにピニンにおける最後の仕事は1987年のF40だというから、驚くほど息の長いデザイナーである。
ブロヴァローネさんと握手を交わしてお別れし、彼がピアッツァ・サンカルロの角に消えていくのを視線の端で見送った頃に、コンコルソ・デレガンツァも終わった。あとはトリノ市内で夕食に集まれば、僕らのマセラティ創立100周年記念イベントもすべて終了する。マセラティが数奇な運命を辿った末に現在の繁栄があるのと同様、いくつかハプニングもあったイベントだが、終わってみれば妙に懐かしい、初秋の北イタリアの3日間だった
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