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パヴァロッティに捧ぐ、マセラティGTの本命!

刺激と快適さと乗り易さの絶妙なバランス

試乗当日はGTS ATを駆って、モデナ市内からエミリアの山間部まで、アウトストラーダとコーナーが連続する一般道を辿ってのテストルートに躍り出た。ZF6段ATによる発進と変速はもちろんスムーズに決まるが、ATに仕事を任せるのが退屈だったら、ステアリングコラム固定式の歯切れのいいパドルを叩いて、マニュアルシフトすればいい。街を外れてアウトストラーダに入るところでスポーツボタンをプッシュすると、“パッフォーン”という胸に沁みる排気音を高らかに奏でながら、GTS ATは豪快にスピードを上げていく。北イタリアのアウトストラーダはいつも込んでいるから、アウトバーンほどスピードを上げられないが、クルマ自体の直進性のよさを実感しながらのリラックスした、しかも快音を耳にしながらの高速クルージングは、なんだか申し訳ないほど気持ちいい。

 アウトストラーダを下りてしばらく走ると、アルプスほど険しくはないけれど、イタリア半島の背骨の部分に相当する山間部に入る。そのあたりの道は、その幅、コーナーの曲率ともGTS ATの巨体にはタイトだが、そんなセクションでも手に余る印象を与えないところが、このクルマの美点のひとつだといえる。ATをフロントに搭載するにもかかわらず、49/51という前の軽い前後重量配分を実現しているだけあって、タイトベンドでも気になるアンダーステアを示すことはなく、ボディサイズと車重を忘れさせる俊敏さでコーナーの連続を抜けていく。47/53というテールヘビーな重量配分による、後輪に荷重が存分に掛かった刺激的なコーナリングを味わいたい硬派はATでないGTSを選ぶべきだが、GTS ATのフットワークもドライバーを充分満ち足りた気分にしてくれる。

 それに加えてGTS ATには、もうひとつ大きな美点があった。標準装備のスカイフックダンパーが、グラントゥーリズモシリーズのなかでもとりわけ快適な乗り心地を実現しているのだ。高性能なスポーツGTの脚に相応しい腰の強さを持ちながらも、素晴らしくスムーズでフラットなそのライドは、硬めだけれども身体をよく支えるシートとの相性のよさとあいまって、なんとも安らぎに満ちた乗り心地を振る舞ってくれる。

 つまりGTS ATは、3モデルが揃ったグラントゥーリズモシリーズのなかで、刺激の強さではGTSに若干及ばないもののGTより確実に享楽的であり、しかも快適さではGTSはおろかGTさえ上回るという、絶妙なポジションに仕上げられたモデルだった。そういう意味ではGTS ATこそ、マセラティ・グラントゥーリズモの本命なのかもしれない。

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