マツダ最後のロータリーRX-8をいま一度味わい、未来へ想いを馳せた
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:篠原 晃一
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:篠原 晃一
2008年のマイナーチェンジでクロスメンバーが補強され、ジオメトリーはより穏やかな味付けとなったようだが、スピリットアールにもその面影は残っていた。19インチの鍛造ホイールを履き、ビルシュタインダンパーでその足下を固めようとも、その余裕は安定感よりも“曲がる”ことにより多く費やされている。
ハンドルを切るとレスポンスに優れるモノチューブダンパーが素早く反応し、支持剛性の高いダブルウィッシュボーンへと入力を伝える。タイヤも素早くグリップを立ち上げ、高い旋回Gを発生させる。へなちょこな走りはポーン! と跳ね返してしまう反発感。普通に走っている限りはオンザレールだけれど、接地感は決して高いとは言えない。かといってしっかりと荷重をかけて行っても、底が見えない。これがターボじゃなくて、本当にヨカッタよ……と思う。
言い換えればボクはこのロータリーユニット(の気質)が、エイトのシャシーキャラクターをも決めてしまったのではないか? と思う。誰もが手に入れられる価格帯を実現するために、ボディ剛性の向上や車幅の拡大によるアーム長の確保を断念せざるを得なかった、という考え方もできるけれど、やっぱりそれだけじゃない。ヒリヒリとした緊張感を持って、どこまでも突き抜けるように回って行回転上昇感が、まったりどっしりとしたシャシー性能ではなく、キレッキレの走りを選ばせたのではないか。そしてこれこそが、当時まだ今のように洗練されていなかったマツダの“広島気質”なのだと。
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