日産GT-R 2014年モデルが見せた新たな地平
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:中野 英幸
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:中野 英幸
まずは標準モデルの印象から記していこう。乗り込んだブラックボディのGT-Rは、新採用のベージュのシートが今までにない上質な雰囲気を醸し出している。メーターパネルがカーボン調の意匠となったのも、新鮮というほどではないが、今までの無味乾燥な感じを和らげている。
発進させて、まず気付くのはステアリングの軽さだ。個人的には、もうほんの少しだけ反力感があった方が好みではあるけれど、おかげでクルマの動き自体が軽快に感じられるのは確か。従来の異様なまでの威圧感のようなものが、これだけでだいぶ薄れたという感じだ。
エンジンの吹け上がりも、やはり軽やかになった気がする。実際、2007年のデビュー当初に較べれば今までもフィーリングは洗練されてきていたのだが、2014年モデルでは、余計なノイズが消えて、サウンドの気持ち良い部分が随分クリアになった感がある。やや負荷がかかった状況で低回転域からアクセルを踏んでいった時のクゥーンという"泣き"を耳にしたら、「何だ、実は結構いい音してたんだ」と嬉しくなってしまった。
しかし何より特筆するべきは、その快適性の向上ぶりを置いて他にはない。乗り心地、俄然しなやかになっているのだ。ソフトになったというよりは、サスペンションがよく動いて、路面に追従してくれる感が増したという印象。荒れた路面でも目線がブレないのは、つまり足だけがきれいに動いて、車体がやたらと上下動しなくなったおかげである。
とは言え、サルーンのように快適というわけではない。フロントのワンダリング傾向は強く、進路がちょろちょろ乱されるのは、タイヤの太さを考えれば致し方ないとは言え、もう少しなんとかならないかというところ。もちろん、今までだってあったそんなことが殊更気になるようになったのは、乗り味の方向が変わってきたからこその前向きな話だ。
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