現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【究極のセナ】マクラーレン・セナGTRに試乗 825ps ダウンフォース1000kg

ここから本文です

【究極のセナ】マクラーレン・セナGTRに試乗 825ps ダウンフォース1000kg

掲載 更新
【究極のセナ】マクラーレン・セナGTRに試乗 825ps ダウンフォース1000kg

交通法規やレギュレーション無視の究極のセナ

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)

【画像】マクラーレン・セナGTR 全90枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


一言でいうなら、マクラーレン最速のルーフ付きモデル。これより速いマクラーレンが欲しいなら、F-1チームに相談しなければならない。

一般道での法規制や、レースでのレギュレーションを無視してデザインされた、公道は走れない究極のセナだ。マクラーレンが本来セナをどのようなクルマにしたかったのか、明確に示されているともいえる。

ロードカーの通常のセナと共有する部分は多い。カーボン製のタブシャシーにエンジン、トランスミッションなど。しかし実際はかなりの部分で異なっている。

ボディには新設計のフロントスプリッターとリアデュフューザーを備え、フロントバンパー両脇には大きなダイブプレーンを装備。ボルテックス・ジェネレーターも付く。

ボディ後端から遥か後方へと飛び出た巨大なリアウィングは、特に目に付く部分だろう。一般道では違法なアイテムだが、サーキット上ではディフューザーと合わせて優れた空力効果を生み出す。

車高は通常のセナより34mmより低く、タイヤ部分のボディ幅は、フロントで77mm、リアで68mm広げられている。これらの変更によって、セナGTR通常のセナよりも低い速度域で、セナに匹敵するダウンフォースを生み出すという。しかも空気抵抗は少ない。

249km/hで1tのダウンフォースを発生

実際、249km/hで1tのダウンフォースを生み出すとのこと。ロードカーの新境地を拓いたセナより、200kgも強い力で地面に押さえつけられることになる。

マクラーレン・セナGTRはサーキットでしか走れない。通常のセナで採用されていた、知的ながらも車重のかさむ、複雑な車高調整式サスペンションは採用されていない。そのかわり、マクラーレン720S GT3レースカーのものをベースにした、軽量で一般的なサスペンションが搭載される。

エンジンには二次触媒は付かず、制御マッピングもGTR独自のもの。最高出力は825psで、通常のセナの25ps増し。1.0L当たりの出力は200psを軽く超えることになる。

インテリアは純粋なレーシングカーそのもの。骨格がむき出しとなり、主要なコントロールスイッチは上下が切り取られたステアリングホイールにレイアウトされている。運転中も手を伸ばす必要がなく、レーシンググローブをはめたままでも操作しやすい。

もっとも、6点ハーネスでシートに固定されると、手を伸ばすことすら不可能だけれど。

車重は通常のセナより10kgだけ軽量だという。サスペンションをシンプルなものにし、エアバックや触媒、インテリアのパネル類を取り外して軽くなったぶんは、追加となったボディキットにデーターログ・システム、エアジャッキと消化器で相殺されているためだ。

825psを恐れる必要がない異次元の走り

それでも、セナGTRの乾燥重量は1188kgに収まり、マクラーレンF1を除く、現代のマクラーレンの中では最も軽量なクーペとなる。英国での金額は、税抜で110万ポンド(1億5400万円)なり。

通常のセナはもちろん素晴らしいクルマだが、公道用のタイヤを履く都合上、その性能は限定されている。たとえ特注で柔らかいコンパウンドのピレリ・トロフェオRを持ってしても。

一切の縛りから解き放たれたセナには、完全なレース仕様のサスペンションと特製のエアロキットが追加され、真の実力が引き出されている。セナGTRで走り出すと、絶妙に制御されつつ常軌を逸したと思えるほどの、まったくの別次元が待っていた。

試乗日のスネッタートン・サーキットは路面がかなり湿った状態だった。スーパーソフトのレインタイヤを履いていても、160km/hに届く速度でもホイールスピンを誘発する。

しかし、トラクションコントロールは極めて優秀で、825psを恐れる必要はない。利用可能な最大の馬力を、クルマが考えて与えてくれる。加えてGTRは、クルマ1台が乗っかっているほどのダウンフォースで路面へ押さえつけられているから、高速域でハードブレーキングをしても問題ない。

サスペンションはドライコンディション用の設定だったため、今回の路面には少し硬すぎた。ダウンフォースの効かない低速コーナーでのグリップレベルは限定的だったものの、ただ恐怖感を感じるだけではない。コーナー出口めがけてドリフトさせる楽しさも味わえる。

身体の一部がクルマと一体になる

マクラーレンによれば、セナGTRはレースカーの720S GT3より3秒から5秒ほど速いラップタイムでサーキットを周回できるという。プロのドライバー向けのハードタイヤではなく、アマチュアも受け入れてくれるソフトタイヤなら、更にラップタイムは早くなるそうだ。

興味を持っていただいた読者には申し訳ないが、限定75台のセナGTRは、受注開始と同時にすべてが売約済みとなったとのこと。

セナGTRで最も注目するべき能力は、圧倒的な直線加速でも、ウェットでも凄まじい高速域でのグリップ力でもない。それらが高次元で組み合わされたバランスの秀逸さにある。濡れた路面では絶妙なスリルを残しつつ、恐怖を感じさせない奥行きがある。

セナGTRを運転していると、自分の身体の一部がクルマと一体になっている感覚がある。相当な値段だったことには違いないが、マクラーレン・セナGTRは、その価値に見合うモデルだと断言したい。

マクラーレン・セナGTRのスペック

価格:110万ポンド(1億5400万円)
全長:4744mm(標準セナ)
全幅:2153mm(標準セナ)
全高:1195mm(標準セナ)
最高速度:329km/h(予想)
0-96km/h加速:2.8秒(予想)
燃費:-
CO2排出量:-
乾燥重量:1188kg
パワートレイン:V型8気筒3994ccツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:825ps/7250rpm
最大トルク:81.4kg-m/5500rpm
ギアボックス:7速オートマティック

こんな記事も読まれています

国産車初の電動メタルトップは駄作? なんで窓枠が残るのよ! 世にも不思議な[ソアラエアロキャビン]は今が底値!
国産車初の電動メタルトップは駄作? なんで窓枠が残るのよ! 世にも不思議な[ソアラエアロキャビン]は今が底値!
ベストカーWeb
ヒョンデの高性能EV『アイオニック5N』が日本上陸! 特別仕様車の予約開始
ヒョンデの高性能EV『アイオニック5N』が日本上陸! 特別仕様車の予約開始
レスポンス
「えっ?」メルセデス・ベンツの最新「Gクラス」は4モーターで“戦車みたいな旋回”を実現!? 実車との初対面で実感!「G580EQ」はすべてが驚異的
「えっ?」メルセデス・ベンツの最新「Gクラス」は4モーターで“戦車みたいな旋回”を実現!? 実車との初対面で実感!「G580EQ」はすべてが驚異的
VAGUE
ホンダが「新型SUV」正式発売! “SUV×セダン”融合させたデザイン採用!? ヴェゼルと違う「e:N」、中国に
ホンダが「新型SUV」正式発売! “SUV×セダン”融合させたデザイン採用!? ヴェゼルと違う「e:N」、中国に
くるまのニュース
三菱 ASX 改良新型…デザイン刷新&機能強化
三菱 ASX 改良新型…デザイン刷新&機能強化
レスポンス
ジャガー・ランドローバーは使用済みバッテリの二次利用システムBESSを開発し、循環型エネルギーシステムとして設置
ジャガー・ランドローバーは使用済みバッテリの二次利用システムBESSを開発し、循環型エネルギーシステムとして設置
Auto Prove
パナソニックHD、オートモーティブシステムズ譲渡で600億円の損失
パナソニックHD、オートモーティブシステムズ譲渡で600億円の損失
日刊自動車新聞
アルファロメオ、ジュリア/ステルヴィオの限定車 「Veloce Superiore」を発売開始
アルファロメオ、ジュリア/ステルヴィオの限定車 「Veloce Superiore」を発売開始
月刊自家用車WEB
日産が「新型セダン」を世界初公開! 2台の「ゴツSUV」も登場! 26年度までに投入の「新型モデル」4台を北京ショーで披露
日産が「新型セダン」を世界初公開! 2台の「ゴツSUV」も登場! 26年度までに投入の「新型モデル」4台を北京ショーで披露
くるまのニュース
メルセデスF1の作戦は“ガンガン行こうぜ”! マシンバランス改善する新パーツ開発中。次戦マイアミGPでもアップデート投入へ
メルセデスF1の作戦は“ガンガン行こうぜ”! マシンバランス改善する新パーツ開発中。次戦マイアミGPでもアップデート投入へ
motorsport.com 日本版
1台……超頑張っても2台しか曲がれないって短すぎん!? 極端に点灯時間が短い「右折の矢印信号」はどうすれば改善される?
1台……超頑張っても2台しか曲がれないって短すぎん!? 極端に点灯時間が短い「右折の矢印信号」はどうすれば改善される?
WEB CARTOP
【MotoGP】ド級のライバル、ロレンソ&ペドロサが今度はリングで対決!? ボクシング勝負が実現か
【MotoGP】ド級のライバル、ロレンソ&ペドロサが今度はリングで対決!? ボクシング勝負が実現か
motorsport.com 日本版
【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
レスポンス
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「量子コンピュータ×自動車分野での活用メソッド」
【セミナー見逃し配信】※プレミアム会員限定「量子コンピュータ×自動車分野での活用メソッド」
レスポンス
GW渋滞、本四高速・松山道のピークはいつ? 5月3日に神戸淡路鳴門道で最大55km級の渋滞が発生!【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
GW渋滞、本四高速・松山道のピークはいつ? 5月3日に神戸淡路鳴門道で最大55km級の渋滞が発生!【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】
くるくら
【MotoGP】ワイルドカード参戦のダニ・ペドロサ、2年連続の母国戦参加は「予想外」KTMのスピード向上に今回も尽力へ
【MotoGP】ワイルドカード参戦のダニ・ペドロサ、2年連続の母国戦参加は「予想外」KTMのスピード向上に今回も尽力へ
motorsport.com 日本版
ホンダ、ヴェゼルを一部改良 意匠変更やHVにアウトドアテイストの新パッケージ
ホンダ、ヴェゼルを一部改良 意匠変更やHVにアウトドアテイストの新パッケージ
日刊自動車新聞
トーヨータイヤが“低電費”と耐摩耗性能を両立した小型EVトラック用リブタイヤ「ナノエナジー M151 EV」を発売
トーヨータイヤが“低電費”と耐摩耗性能を両立した小型EVトラック用リブタイヤ「ナノエナジー M151 EV」を発売
レスポンス

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

-万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索
セナの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

-万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村