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エンジンは720S譲り ラゲッジスペースは570L マクラーレンGTに試乗

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エンジンは720S譲り ラゲッジスペースは570L マクラーレンGTに試乗

570GTに置き換わるグランドツアラー

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)マクラーレンによれば、ニューモデルの「GT」は、軽量でダイナミックで、マクラーレンらしい新種のグランドツアラーだという。良質でも、最高という領域までには届いていなかった570GTに置き換わるモデル。しかも570Sよりも豪華で俊足で実用的。顧客からの要望を受けて誕生したのが、マクラーレンGTとなる。

【画像】新GTと570GT、コンチGT 全145枚

570GTよりも柔らかくなり、デザインが新しくなり、名前が変わっただけではない。独自のカーボンファイバー・モノセルを採用し、ボディ自体が専用となったほか、エンジンは720Sにも採用されている4.0LのV8ターボを搭載。ターボは小径なものになり、ピストンは高圧縮化されている。

サスペンションも、720Sに開発されたプロアクティブ・シャシー・コントロールと呼ばれる電子制御の油圧システムを導入。ステアリングやブレーキ、スタビリティ・コントロールも専用セッティングとなったほか、タイヤも濡れた路面でのグリップ力を高めた、新コンパウンドのピレリPゼロを装着する。

エンジンの搭載位置は、ラゲッジスペースを広くする目的もあってさらに低くなり、段差を超えるときなどに有用なノーズリフト機能も付く。メルセデス・ベンツCクラスと変わらない素振りで、スピードバンプ(速度抑制用のコブ)を超えることができる。車内には先代よりも5倍も高速化された、新しいデジタルインスツルメントとナビゲーションも装備された。

60%に及ぶ新設計部品と720S譲りのエンジン

この内容ながら、価格はマクラーレンとしては控えめな、16万3000ポンド(2119万円)。マクラーレンは全体の販売台数の25%を占めると予想している。GTはいまのところ2023年まで生産される予定となっているが、スパイダーの登場はなく、クーペのみとなるようだ。

GTを構成するの約60%の部品は新しく設計された専用品とのことだが、雰囲気はあくまでもマクラーレン。新種のマクラーレンでも、新種のグランドツアラーという印象でもないのだが、それで問題ないといえる。

インテリアの質感は570GTと比較すると大きく進化しているが、車内空間が大きくなったわけではない。ラゲッジスペースは570Lに大きくなり、2+2のリアシートを荷室に利用できるクルマを除けば、クラスではトップの容量だといえる。

インテリアの仕立ては細部まで手が施され、居心地はとても良い。アストン マーティンDB11やベントレー・コンチネンタルGTなど、伝統に裏付けられたグランドツアラーほどに豪華絢爛というわけでもない。

エンジンは720Sから静かになったわけではないが、防音材が追加され、排気音も調律された。それでも、まだシャープに迫ってくる音響は生きている。もし従来的な雷鳴のような唸りを響かせるグランドツアラーを狙ったのなら、エンジンにはクロスプレーン・クランクシャフトを採用して、不等間隔での燃焼にすることもできただろう。スロットルを全開にせずとも、V8エンジンらしいサウンドが味わえることになるはず。

スーパーカーのように身軽なコーナリング

マクラーレンGTを運転した感覚は、やはりマクラーレンらしい。720Sのようなトップエンドでの鋭さは削がれているとはいえ、トルクカーブはフラットで、パワーは早々に湧出する。ライバルに搭載されているエンジンとは対象的な、研ぎ澄まされたユニットだ。

重たいエンジンがフロントに搭載されたグランドツアラーのように、しっかり減速してコーナーへ侵入し、コーナー出口で一気に加速していく「スローイン・ファストアウト」のマナーも必要ない。高い速度を保ったまま、コーナーを抜けていくことができる。

稀にコーナー中程で修正を加える必要もあるが、スロットルペダルへの力加減の調整か、感覚豊かな油圧ステアリングの微調整だけで、クルマの向きを整えていける。身軽さで劣るアストン マーティンやベントレーには真似ができないはず。

スーパーカーと呼ばれるクルマにグランドツアラーとしての要素を求めると、グリップや落ち着き、感触、トラクションなどのパフォーマンスで犠牲になることが多い。しかしエレガントなボディをまとったGTの内側には、才能溢れる素性が宿っている。ライバルに出くわしても、空いた郊外の道で、圧倒的なスピードの差で引き離すことも造作ないだろう。

このクルマで疑問に思えてしまうのは、GTという名前くらいかもしれない。ラゲッジスペースは大型化され、知的な電子制御サスペンションは素晴らしい乗り心地を提供してくれる。一方でアピアランスはスーパーカー然としており、実際、スーパーカーのように走る。日常的に乗りやすいクルマというわけではない。

2+2のマクラーレンに向けた一歩

ベントレー・コンチネンタルの顧客を奪い取ることは難しくても、マクラーレン570GTよりもラグジュアリーで実用的で、快適なクルマを欲していた顧客にとっては、GTは歓迎されるモデルとなると思う。ニーズをしっかりマクラーレンはカタチにしたのだ。22万ポンド(2860万円)ほどの720Sに興味を示していた顧客も、身近な価格のGTには強く惹かれるのではないだろうか。

マクラーレンは恐らく、グランドツアラーとして快適な次のクルマの開発を進める前に、GTのフィードバックを充分に聞くはず。マクラーレンに対する2+2の要望も高まっており、恐らくマクラーレンとして初めてとなる真のグランドツアラーは、そのモデルになるだろう。

それまでは、名前はさておき、新しいマクラーレンの非常に優れた走行性能と快適性に浸るのが良い。マクラーレン・プラグマティック(実際的な)・スーパーカー(マクラーレンPS)という名前でも良いと思ったが、ちょっと聞こえが悪いから、選ばれそうにないけれど。

マクラーレンGTのスペック

価格:16万3000ポンド(2119万円)
全長:4683mm
全幅:2045mm
全高:1213mm
最高速度:326km/h
0-100km/h加速:3.2秒
燃費:8.3km/L(WLTP)
CO2排出量:270g/km(WLTP)
乾燥重量:1530kg
パワートレイン:V型8気筒3994ccツインターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:620ps/7500rpm
最大トルク:64.1kg-m/5500rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック

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