現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 最新BMW Z4 高剛性と低重心を実現した筋肉質なコーナリングマシン

ここから本文です

最新BMW Z4 高剛性と低重心を実現した筋肉質なコーナリングマシン

掲載 更新
最新BMW Z4 高剛性と低重心を実現した筋肉質なコーナリングマシン

もくじ

どんなクルマ?
ー 原点回帰のソフトトップ採用で低重心を実現
ー 日本仕様のパワーユニットは2ℓと3ℓの2種

BMW Z4 M40iの画像をすべて見る

どんな感じ?
ー 高剛性のボディ&シャシー
ー 引き締まったドライビングパフォーマンス
ー コーナリング能力は高いが軽快感がやや不足

「買い」か?
ー 存在の新鮮さではライバルを上回る

どんなクルマ?

原点回帰のソフトトップ採用で低重心を実現

BMWの2シーターロードスターの最新モデル、Z4。これを近年のBMWロードスターの何代目のモデルとするかは、他のモデルをどう考えるかによって変わる。大型のZ8もすべて含めれば6代目になるが、Z8を別枠として外せば5代目。さらに、少量生産だったZ1も別枠とすると、Z3と先々代+先代Z4に続く4代目、ということになる。

新型Z4像を明確にするには、年代的にもっとも近い先代Z4と比べるのが適切だと思う。そこでまずディメンション的には、先代より85mm長く、75mm幅広く、15mm高くなっているが、逆にホイールベースは25mm短縮された、というのが特徴的なポイントだろう。その一方で、トレッドは前後とも先代モデルより確実に広がっている。

もうひとつ、ボディに関する先代との大きな違いは、トップが先代の電動開閉式ハードトップから、同じく電動開閉式のソフトトップに変わったことだ。これは、Z3以来のロードスターの基本に戻ると同時に、ダイナミックな性能の領域に関していえば、トップが軽くなったことでクルマ全体の重心の低下に寄与するという効果も生んでいる。

スタイリングは最近のBMWデザインの傾向に沿って、これまでのZ4よりも面の抑揚がはっきりした筋肉質なものになった印象をうける。フロントフェンダーから後方に伸びるボディサイドの抉りや、張り出したリアフェンダーなどがそういう要素だが、結果としてスポーツカーらしさが強調されていると思う。ソフトトップの形状も良好だし。

日本仕様のパワーユニットは2ℓと3ℓの2種



一方、当日の試乗車はすべて同じやや茶色味掛かったサンフランシスコレッドという赤だったが、そのためもあってか対向車線を走ってくるZ4を見ると、一瞬、マツダNDロードスターベースのアバルト124のように見えることがあった。前から見たボディの縦横比、ヘッドライトの位置などが似ているからだろう。

それはさておき、搭載されるパワーユニットは2ℓ直4ターボと、3ℓ直6ターボで、前者には本国では197㎰仕様と258ps仕様の2種類があるが、当面日本仕様に積まれるのは2ℓ直4が197ps仕様のみ、それに340ps の3ℓ直6となる。

結果、日本仕様の新型Z4ラインナップは、sDrive20i=566万円、sDrive20i Sport Line=615万円、sDrive20i M Sport=665万円、 M40i=835万円の4モデルになる。今回、箱根ターンパイクをベースとした試乗会で乗ったのは、最上級のZ4 M40iだった。

どんな感じ?

高剛性のボディ&シャシー

大抵のクルマでそうするように、シートをもっとも低い位置にセットすると、着座位置はかなり低くなって、コクピットに潜り込んだ感じになる。そうなるのは、フェンダーラインが深く、ウエストラインが高い今風のスタイリングのためも大いにあると思う。そこで充分な前方視界を得るために、Mスポーツシートを少し上げて対応する。

ちなみにソフトトップは、50km/h以下なら、コクピットのスイッチを押すだけでたった10秒で開閉できるが、試乗日は好天だったので、オープンのまま走り出す。少し走っただけで感じた第一印象は、ボディとシャシーの剛性が高い、という実感だった。

もちろん昨今のオープンスポーツ、ボディの緩いクルマになどまず遭遇しないが、Z4のそれはなかでも飛び切りの部類に思えた。多くのBMWと違って、Z4のタイヤはランフラットではないのでショックが少ないことも、その印象に効果を発揮しているはずだ。

しかも、今どきのオープン2シーターは大抵そうだが、オープン走行時のコクピットの風仕舞もいい。リアにメッシュ式のディフレクターが装着してあった試乗車では、サイドウインドーを上げておけば、被ったキャップが飛ぶ心配などまったくなかった。

引き締まったドライビングパフォーマンス

しかも直6のM40iは、アダプティブMスポーツサスペンションを標準装備するから、脚も硬い。ドライビングパフォーマンスコントロールのモードをスポーツはもちろん、ダンピング可変のアダプティブにセットしておいても、ボディは余計な上下動を見せず、常に引き締まった感触を実感させる。コンフォートを選べばさすがに柔らかさを感じさせるが、クルマのキャラクターに合っている普段使いはアダプティブだろうと思った。

しかもそれに加えてZ4、ステアリングの感触もかなり締まっていて、その操舵力も今どきのクルマとしては明らかに重い部類ときている。さらにバリアブルレシオを採用していることもあって、切り込んだときのレスポンスも全般にクィックだから、そこからもBMWが想定するスポーツカー像が感じ取れるような気がする。

一方、340㎰と51.0kg-mを発生する3ℓ直6ツインパワーターボエンジンと、変速の滑らかな8段ATの組み合わせは、スタイリングのイメージからすると重い1570kgの車重を、スムーズに、しかも充分な勢いで気持ちよく加速させる。

このエンジン、ストレート6らしい滑らかな回転感と音を味わわせてくれる他、実用域から充分なトルクを生み出しながら、6500rpmのレッドゾーンに至るまで回転上昇の勢いを鈍らせずに吹け上がっていく、ターボらしからぬ高回転域のレスポンスに感心させられた。さすがBMW=バイエルンのエンジン工場の製品である。

コーナリング能力は高いが軽快感がやや不足

では、ある意味でスポーツカーの命といえるワインディングでの印象はどうだったか。ショートホイールベース、ワイドトレッド、低重心、それに50:50の前後重量配分と、四拍子そろったシャシーを持つZ4だけに、コーナリングは得意中の得意という印象で、手応え充分なステアリングを切り込むと、すぐさま身を翻してコーナーに飛び込んでいく。

コーナーの連続を縫って走る際のハンドリングはまさにオンザレールという印象で、アンダーステアをほとんど感じさせず、19インチのミシュラン パイロットスーパースポーツがガッチリと路面を捉えたまま、狙ったラインをハイペースでトレースしていく。

M40iはMスポーツディファレンシャルを標準で備えているからその効果を試すべく、スポーツモードで上りのタイトベンドを攻めたら、テールがツツッとスライドしつつもボディが前に押し出されるのを感じ取れた。その効果を明確に味わうには公道上ではなく、サーキットに持ち込む必要があるだろう。

—–

というわけでZ4 M40i、すこぶるコーナリング能力の高いクルマという印象を得たが、ひとつだけ物足りなく感じたのは、僕がスポーツカーに求める軽快さを明確に実感できなかったことだ。ライトウェイトスポーツのようなヒラリヒラリとした軽快感が、BMWが重視していると思われるスタビリティと両立し難いものなのは理解しているが、できればもう少しその感覚が欲しかったと思うのは、贅沢だろうか。



そういう意味では、車重1490kgと6気筒モデルより90kg軽く、しかも軽くなる部分の大半が前輪荷重にあると思われる4気筒搭載モデルの方が、挙動が軽快である可能性は大いにある。できれば近いうちに、4気筒のZ4に乗ってみたいものだと思う。

「買い」か?

存在の新鮮さではライバルを上回る

当方はまだ新しいGRスープラを走らせた経験がないので、敢えて触れなかったが、スープラはこのZ4と基本的に同じシャシー+パワートレインで成り立っている。だからその乗り味が互いにどう異なるのかという点には興味はあるが、購買者がZ4かスープラかを迷うケースはかなり稀だろうと思う。オープンとクーペというボディ形態の違い、それにブランドキャラクターの違いが、はっきりしているからだ。

それよりもむしろ、スポーツカーとしての形態から考えると、マツダベースのアバルト124スパイダーの方が、Z4の特に4気筒モデルのライバルになり得る気がするが、しかしこの両車には、プライスに大きな違いがある。124スパイダーが400万円前後なのに対して、Z4のプライスは4気筒モデルでも566~665万円の間にあるからだ。

となると6気筒M40iのライバルは、巷間よくいわれるポルシェボクスターになるのだろうか。あちらはミドエンジンだが、エンジンそのものは水平対向4気筒ターボ。ボディサイズはZ4がボクスターに対して50mm短く、65mm幅広く、25mm高く、車重は160~180kg重い。で、835万円というプライスは、ボクスターとSの中間に位置している。

スポーツカーとしてのピュアさではボクスターがやや上回る気はするが、すでに街の景色と化しているボクスターに対して、存在の新鮮さではニューZ4が明らかに上回る、といっていいだろう。そういった諸々の条件を含んで、Z4に対する最終結論は4気筒モデルに乗ってから出したい、というのが僕の正直な見解である。

BMW Z4のスペック

BMW Z4 M40i

■価格 835万円
■全長×全幅×全高 4335×1865×1305mm
■最高速度 –
■0-100km/h加速 4.5秒
■燃費(WLTCモード) 12.2km/ℓ
■CO2排出量 –
■車両重量 1570kg
■エンジン 直列6気筒2997ccターボ
■最高出力 340ps/5000rpm
■最大トルク 51.0kg-m/1600-4500rpm
■ギアボックス 8速オートマティック

【キャンペーン】マイカー・車検月の登録でガソリン・軽油7円/L引きクーポンが全員貰える!

こんな記事も読まれています

アロンソのペナルティに関する再審査請求をスチュワードが却下。アストンマーティンF1の新証拠には重要性が認められず
アロンソのペナルティに関する再審査請求をスチュワードが却下。アストンマーティンF1の新証拠には重要性が認められず
AUTOSPORT web
6.5リッターV12搭載のフェラーリ新型モデル『12チリンドリ』登場。スパイダーも同時デビュー
6.5リッターV12搭載のフェラーリ新型モデル『12チリンドリ』登場。スパイダーも同時デビュー
AUTOSPORT web
ベースは極上2002 クーペ BMWガルミッシュ(2) 現代のカロッツエリアが見事に再現
ベースは極上2002 クーペ BMWガルミッシュ(2) 現代のカロッツエリアが見事に再現
AUTOCAR JAPAN
BMWガルミッシュ(1) 巨匠ガンディーニによる先取り3シリーズ 同意を得ず「密かに」製作!
BMWガルミッシュ(1) 巨匠ガンディーニによる先取り3シリーズ 同意を得ず「密かに」製作!
AUTOCAR JAPAN
充電環境もプレミアムブランドにふさわしく
充電環境もプレミアムブランドにふさわしく
グーネット
ルクレール予選2番手「マシンは良い状態で、大きな修正は必要なかった。明日は優勝を狙う」フェラーリ/F1第6戦
ルクレール予選2番手「マシンは良い状態で、大きな修正は必要なかった。明日は優勝を狙う」フェラーリ/F1第6戦
AUTOSPORT web
GW明けだけど渋滞あり! 中央道の東京区間で交通規制 NEXCO中日本が迂回呼び掛け
GW明けだけど渋滞あり! 中央道の東京区間で交通規制 NEXCO中日本が迂回呼び掛け
乗りものニュース
「信号待ち」はフットブレーキを踏む? それともギアを「Pレンジ」に入れる? どっちがクルマに優しく安全なのか
「信号待ち」はフットブレーキを踏む? それともギアを「Pレンジ」に入れる? どっちがクルマに優しく安全なのか
くるまのニュース
プラモ作りにデコチャリからデコトラ運転手という王道コース! 一時落ち着くもSNSを通じてデコトラ熱が再燃したアラフィフの日常
プラモ作りにデコチャリからデコトラ運転手という王道コース! 一時落ち着くもSNSを通じてデコトラ熱が再燃したアラフィフの日常
WEB CARTOP
“63”だからこそ得られる快感──新型メルセデスAMG GLE63 S 4MATIC+クーペ試乗記
“63”だからこそ得られる快感──新型メルセデスAMG GLE63 S 4MATIC+クーペ試乗記
GQ JAPAN
MotoGPの新レギュレーションが発表。2027年からエンジンが850cc化、エアロダイナミクスも規制強化
MotoGPの新レギュレーションが発表。2027年からエンジンが850cc化、エアロダイナミクスも規制強化
motorsport.com 日本版
[VW ゴルフ 50周年]第6世代は安全性とハイテクが売りだった
[VW ゴルフ 50周年]第6世代は安全性とハイテクが売りだった
レスポンス
レッドブル&HRC密着:タイヤや路面に苦戦しつつもポール獲得記録を伸ばしたフェルスタッペン。スプリント後の変更も奏功
レッドブル&HRC密着:タイヤや路面に苦戦しつつもポール獲得記録を伸ばしたフェルスタッペン。スプリント後の変更も奏功
AUTOSPORT web
右折待ちで「お先にどうぞ」 大型が譲ってくれるワケ 単なる優しさだけにあらず
右折待ちで「お先にどうぞ」 大型が譲ってくれるワケ 単なる優しさだけにあらず
乗りものニュース
ドライブすると「ついケンカ」になる人は要注意! 無自覚なままドライバーを不快に!? 「イラっ!」とさせる「助手席の言動」とは
ドライブすると「ついケンカ」になる人は要注意! 無自覚なままドライバーを不快に!? 「イラっ!」とさせる「助手席の言動」とは
くるまのニュース
ノリスのF1初優勝、大先輩アロンソも賞賛「良い子だし才能がある。彼のことはよく知っているんだ」2018年デイトナでは共闘
ノリスのF1初優勝、大先輩アロンソも賞賛「良い子だし才能がある。彼のことはよく知っているんだ」2018年デイトナでは共闘
motorsport.com 日本版
7月にワールドプレミア!ランドローバーがハイパフォーマンス仕様「ディフェンダー・オクタ」のテスト動画を公開
7月にワールドプレミア!ランドローバーがハイパフォーマンス仕様「ディフェンダー・オクタ」のテスト動画を公開
@DIME
⽇本⾃動⾞⼤学校がスーパー耐久富士24時間の参戦体制を発表。6名のドライバーと新パーツで挑む
⽇本⾃動⾞⼤学校がスーパー耐久富士24時間の参戦体制を発表。6名のドライバーと新パーツで挑む
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村