もくじ
どんなクルマ?
ー 新開発CMPプラットフォームを採用
ー 2019年9月には純EVも登場予定
どんな感じ?
ー 期待通りのアバンギャルドなデザイン
ー 必要充分のパフォーマンスと実用性
「買い」か?
ー ベストは半年後の純EVモデルでは
スペック
ー DS3クロスバック BlueHDi 100プレステージのスペック
試乗 トヨタRAV4新型(日本仕様) ガソリン/ハイブリッドを公道・ラフロードで評価
どんなクルマ?
新開発CMPプラットフォームを採用
DS3ハッチバックが登場してさほど時間は経過していないものの、初期のようなDSとシトロエンとの物理的な結びつきはもはやなくなった。ブランドとして初めての独立したモデルは、先行して登場したDS7クロスバック。プレミアムブランドとして、ラグジュアリーな魅力は備えていたけれど、室内の質感や目を引きすぎるエクステリアデザインが仇となり、やや失速してしまった感がある。
そんな状況を塗り替えるべく、今回登場したのが、DS3クロスバック。まだターゲットは少数になりそうだが、7よりは明らかに購入を検討してくれる層は広がってはいるはず。だがコンパクトなプレミアム・クロスオーバーというセグメント自体はそれほど大きいパイではないにも関わらず、明確なツートップが存在している。ミニ・カントリーマン(日本ではクロスオーバー)とアウディQ2だ。そしてそこに3番目の強敵、フォルクスワーゲンTロックも参戦しようとしている。
そこへ加わることになる今回の3クロスバックは、もちろんDSブランドとして重要な位置にあるクルマだが、PSAグループが生み出した新しいCMPプラットフォームを採用した、初のモデルでもある。プジョー208やオペル・コルサなども採用予定だから、PSA全体としてもこれからを率いる大切なクルマだといえるだろう。
2019年9月には純EVも登場予定
パワートレインは従来通りの、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンが搭載されるだけでなく、E-テンスと呼ばれる純EV仕様も2019年9月に追加される予定となっている。3クロスバックにかけるDSの意気込みが見えてくる。
それまでの半年間は、ピュアテックと名前が付けられた1.2ℓの3気筒ガソリンエンジンと1.5ℓの4気筒ディーゼルエンジンが選択肢となる。ガソリンエンジン仕様では最高出力が101psと129ps、155psの3段階のグレードが設定され、いずれも8速ATが標準装備。ディーゼルエンジンは102psの一択で、6速マニュアルが組み合わされる。
仕様が異なるグレードとしては、エレガンスとパフォーマンスライン、プレステージの他に、最上級となるウルトラ・プレステージという4段階が設定された。また新モデル登場の記念仕様となるラ・プリミエでは、専用デザインのほか、いくつかのオプションが盛り込まれる。今回の試乗車はディーゼルモデル。CMPプラットフォームの第1段を、さっそく確かめてみよう。
どんな感じ?
期待通りのアバンギャルドなデザイン
エクステリアデザインはひと回り大きな兄、7よりも大胆なものが与えられ、第一印象はかなり強いインパクトがある。左右のヘッドライトが離れ、頬の大きいふくよかなフロントマスクは、DS7クロスバック譲り。そのままボディサイドへデザインテーマは受け継がれ、キャラクターラインの切られたサイドへ流れる。ウェストラインはサイドウィンドウでフリックし、そのまま同じデザインテーマ性を感じられる肉付きの良いリアフェンダーへと続く。
ボディサイズはコンパクトとはいい難く、もしかすると潜在的な購買層の選択肢からは外れてしまうかもしれない。しかし現代的なデザインで、鮮烈で明快なまとまりというものは感じられると思う。広告展開にはアバンギャルド、前衛的な、といった表現は見られないが、あえて用いていないのだろう。3クロスバックを見て、退屈なクルマだと感じる人はいないはずだ。
車内に入ると、コスト管理の担当者の苦渋の決断すら感じ取れそうな、大胆な空間が広がっている。インテリアデザインのテーマはトライアングル。丸みを帯びたディティールはなく、すべてのボタンやディスプレイは、直線が交差する造形でまとめられている。
インテリアカラーの選択肢は黒と黒の組み合わせか、ダークカラーの組み合わせのみ。加えて窓も小さく、外光も遮られているから、晴れていても明るい雰囲気は感じにくい。インテリアに使われている素材には、上部と下部とで質感に差が設けてある。感じの良い素材が腰のあたりまで用いられている半面、足元の収納などには安価で丈夫そうな素材が用いられている。
必要充分のパフォーマンスと実用性
実用的な面でいうと、車内空間は前席・後席ともに十分な空間があり、ラゲッジスペースや小物入れなどの量もライバルに劣らない内容で、大人4名での移動にもまったく問題は感じられないだろう。ただし、グローブボックスの容量は左ハンドルから右ハンドル仕様に変更したことで、容量が削られているようだ。
1.5ℓのディーゼルターボエンジンは、おそらく3クロスバックのラインナップの中での洗練度は一番ではないだろう。しかし、遮音性が高く気になるエンジンノイズは上手に遮断してくれているから、特に急いでいない限り、うるさく感じる場面はなさそうだ。
パフォーマンスとしては必要にして充分で、0-100km/h加速は11.4秒。フルスロットルでの加速なら、先行車を抜くことはできないとしても、大きく引き離されることもないと思う。そのかわり良好な燃費がトレードオフで得られており、WLTP複合値で22.2km/ℓとなっている。常識的な範囲で走らせたいと思っている限り、DS3クロスバックは快適なクルージングを味わわせてくれる。
DS3のダイナミクス性能は、17インチのアルミホイールを履いているプレステージ・グレードの場合、意外にも楽しめるドライビングを実現しているものの、少しどっちつかずな印象がある。ステアリングは正確ながら中心付近の重み付けに不自然さがあり、コミュニケーション量も不足気味。反面サスペンションの設定は、このセグメントの中では硬めの設定が与えられている。
コーナーを速いペースで走らせれば僅かにボディーロールが発生するが、許容範囲。それよりも、車内へ伝わる細かな荒れた路面の質感やアスファルトの剥がれた箇所の細かな振動は、指摘しておくべき点かもしれない。
「買い」か?
ベストは半年後の純EVモデルでは
DS3クロスバックは、ドライビングの面でコンパクト・クロスオーバーというセグメントをリードできる才能を得てはいない。しかし、購入にあたってはスタイリングやイメージが重視されるセグメントでもあり、3クロスバックならではの独自性の高い訴求力を備えている。ライバルモデルと直接比較しない限り、心地よくドライブを終え車庫にクルマを入れるまで、乗り心地や走行性能には充分満足できるだろう。
しかし3クロスバックで悩ましいのが価格設定。アウディQ2やミニ・カントリーマン(日本ではクロスオーバー)の方が、価値の面では優勢に思えてしまうのが本音。近似するグレードとなるQ2との価格差は1000ポンド(15万円)もなく、2.0ℓディーゼルエンジンのクワトロ仕様で、Sトロニック・トランスミッションが装備されたモデルなら、今回の試乗車と500ポンド(7万円)程度の差でしかない。
おそらく新しいDS3クロスバックのベストは、これから登場する純EVモデルのEテンスとなるのではないだろうか。高速距離は289kmで30分の充電時間でバッテリーの80%を満たすことができる。モーターの出力は135psで、価格はプレステージ・グレードで3万2850ポンド(476万円)になる見込み。アバンギャルドなスタイリングとのマッチングも良いに違いない。
DS3クロスバック BlueHDi 100プレステージのスペック
■価格 2万7105ポンド(393万円)
■全長×全幅×全高 4118×1791×1534mm
■最高速度 180km/h
0-100km/h加速 11.4秒
■燃費 19.2~22.2km/ℓ(WLTP複合)
■CO2排出量 97~102g/km
■乾燥重量 1205kg
■パワートレイン 直列4気筒1499ccターボ
■使用燃料 軽油
■最高出力 101ps/3500rpm
■最大トルク 25.5kg-m/1750rpm
■ギアボックス 6速マニュアル
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