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ダイソンは本当にクルマを作るのか EV研究施設公開 独占取材

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ダイソンは本当にクルマを作るのか EV研究施設公開 独占取材

もくじ

ー 研究開発施設に巨額の投資 空軍跡地を改修
ー 家電大手が自動車産業に参入
ー 3車種を計画 まずは少量生産のプレミアムモデルを
ー 革新的なバッテリーを搭載
ー プレミアムセグメントを目指す
ー 大気汚染の軽減が目的

アストン マーティンCEO、ダイソンのEV計画に懐疑的 「甘くみてはいけない」

研究開発施設に巨額の投資 空軍跡地を改修

ダイソンの公道車プロジェクトは順調に量産段階に近づいており、今回はイギリス、ウィルトシャー州ヒュラヴィントン空軍跡地に確保された試験場が公開された。これにはテストトラックや高速道路を模した路面、高速試験用の直線道路やオフロードコースも含まれている。

ダイソンはさまざまな種類のEVの発売を計画しており、われわれはすでに3モデルの存在を把握している。ほぼ確実にSUVが登場するのはもちろん、フラッグシップとなるハイエンドモデルもすでに話題に上がっている。スポーツモデルはラインナップに含まれていないが、モデルによっては最高速は160km/h以上になるという。

ヒュラヴィントンの格納庫の修復にはすでに8500万ポンド(122億円)が投資されている。最終的なダイソンの投資額は2億ポンド(288億円)に上る見込みで、さらに施設の建設と運営に5億5000万ポンド(793億円)が投資される。オフロードや農道を模したコースでハンドリングの試験が行われているほか、低ミュー路や160km/h以上の高速試験コースでの試験も行われている。

ダイソンCEOのジム・ローワンは次のように語る。「ダイソンの自動車開発チームはヒュラヴィントン空軍跡で、最先端の施設を用いて開発を進めており、投じられる資金は総額5億5000万ポンド(793億円)に上る見込みです。ここはすぐに世界クラスの自動車研究キャンパスとなり、英国にとっても高度なスキルを要求される職が増えていくことでしょう」

家電大手が自動車産業に参入

ダイソンによると今後数カ月でさらに3つの施設が完成するというが、研究員はすでにリノベーションが終了したH86格納庫での作業を始めている。

ダイソンは最近、「デジタルモーター」という用語を自動車に対して使用している。「デジタルモーター」とは以前は家庭用品に対してのみ使われていた用語で、ブラシのない永久磁石を使った同期モーターのことを指し、現在市販されている多くのEVで使用されている。

ダイソンは最近この用語を欧州市場向けに商標登録したが、同社がこれを自動車に用いるのは初めてのことだ。ダイソン初の自動車は来年発売予定だが、それに先立ってEVプログラムの開発スピードを高めるべく、さらに300人の従業員を採用したいと考えている。

ダイソンは掃除機やドライヤー産業で先端を走っており、EVプロジェクトの従業員も400人を超えているが、ヒュラヴィントンへの移転に際して「さらに300人の従業員を探している」という。ヒュラヴィントン・キャンパスの面積は303ヘクタールに達し、いずれ英国で2番目に大きなダイソンの研究開発施設となるだろう。

3車種を計画 まずは少量生産のプレミアムモデルを

EVプロジェクトは3年以上をかけ、3モデルの開発を続けている。ひとつ目は1万台以下の少量生産モデルとなる。創業者のジェームズ・ダイソンによると、このモデルはプレミアムな価格だが、スポーツカーではないという。

ダイソンはまずはこのモデルを使って、サプライヤーとの関係を築きあげるつもりだ。将来の大量生産車を製造する際に、すでに製造プロセスを確立しておくためである。

ダイソンは少量生産モデルの後、さらにふたつの量販モデルの発売を予定している。これらがすべて軌道に乗れば、ダイソンはさらなるモデルの開発に取り組んでいくだろう。

革新的なバッテリーを搭載

ダイソンは全固体電池技術の使用を目指している。従来のリチウムイオン電池よりも高密度なセルを用いて、より高速でより多く蓄電できる技術で、ふたつ目のモデルの登場と合わせて2020年ごろまでに市場に投入する可能性が高い。

これが実現すれば、ダイソンは全固体電池の実用化で業界の最先端に躍り出ることになる。既存のメーカーでは、トヨタがもっとも実用化を明言しており、2020年以降に導入を予定していた。BMWも開発は順調だと発表し、ポルシェも全固体電池は将来の生産計画に含まれているという。

バッテリーを専門とするアン・マリー・サストリーが2017年末に会社を去って以来、ダイソンの全固体電池開発は滞っているように見える。この際、ダイソンはAUTOCARに対し、「個人的な事情に言及することはしない」と述べた。

ダイソンは人工知能やロボット、機械学習といった多くの先端デジタル技術への投資も進めている。公式には自動車産業との連携は発表されていないものの、今後ダイソンがこれらを自動運転技術へと統合していくことは明らかで、初期に発売されるモデルにも組み込まれていくはずだ。

プレミアムセグメントを目指す

ダイソンは最初のモデルに20億ポンド(2876億円)を投資しており、このプロジェクトは英国政府の支援を受けている。

ダイソンはパフォーマンスや航続距離を公表していないが、最初のモデルはルノー・ゾエや日産リーフのような大衆車ではなく、技術指向の強いマーケットに向けたモデルとなる。ダイソンの家電は、競合よりも高価になる傾向があり、EVの市場ポジションも、テスラのようなプレミアムセグメントを目指したものとなるだろう。

まだ製造場所については決定されていないが、ジェイムスは昨年、ロイター通信に次のように明かした。「バッテリーを製造するところで、車両の製造も行うでしょう。それが合理的ですから。われわれはサプライヤーの近くにいたいのです。求めているのはわれわれを歓迎し、われわれにとって合理的な場所です。そして、極東はこのモデルにとって非常に大きな市場となるでしょう」

ダイソンは極東に巨大マーケットを持っており、中国での生産も現実的ではある。それでも、開発が行われているのはイギリスだ。

大気汚染の軽減が目的

ジェームズはEV計画について述べる際、政府のディーゼル推進政策とディーゼル・ゲート問題に言及した。「世界各国の政府は補助金や助成金を使って、矛盾した『クリーンディーゼルエンジン』の採用を奨励しています。大手自動車メーカーは排出ガス規制をうまく回避しています。その結果、先進国や発展途上の都市では有害ガスを吐き出す自動車で満ちあふれていますが、この問題は他社は見て見ぬ振りをしているのです」

彼の最大の目的は、化石燃料を使ったクルマによる大気汚染を減らすことだ。「ダイソンは新しいバッテリー技術の開発に取り組んでいます。われわれはイノベーションを重ねてきましたが、ここにきて積み重ねた技術をすべてひとつの製品に活用し、世に送り出す機会を得ることができました」

「われわれはダイソンのトップエンジニアと才能ある自動車産業の人材を集めて特別チームを作り上げました。このチームはすでに400人強になり、さらに積極的にリクルートを重ねています。わたしはこの事業に20億ポンド(2876億円)を投資しているのです」

登場するEVはダイソンのバッジを掲げる。これはグーグルのウェイモプロジェクトやアップルの自動運転車のような、技術を他社に提供するような形式とは対照的だ。ダイソンは生産に際して、他のメーカーからサポートを受けることは考えていないという。

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