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ニューモデル 2018.8.4

セルジオ・マルキオンネ、何を残した? 功績/名言を回顧 英編集主任のコメントも

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もくじ

ー 稀代の経営者 躍進の原動力
ー CEO就任 そしてFCA誕生
ー 強力なリーダーシップ 必要なのは音楽の即興性
ー マルキオンネ名言集
ー マルキオンネの後継者
ー クロプリーが知るマルキオンネ 唯一無二の存在

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稀代の経営者 躍進の原動力

長くFCAトップに君臨し、先週手術後の合併症によりこの世を去ったセルジオ・マルキオンネのもとには、その死を悼む多くの声が寄せられている。

イタリアとカナダ、ふたつの国籍をもつ66歳のマルキオンネは、2004年以降フィアットのボスとして、クライスラーとの合併、さらには、それに続くフェラーリ分離・独立の原動力となった。

イタリアのセルジョ・マッタレッラ大統領は、「マルキオンネはイタリア産業界に偉大な足跡を残しました」と評価しつつ、「フィアットのリーダーとして、彼は市場、生産システム、財務戦略、そして労使関係の抜本的な見直しを行ったのです」と語っている。


来年4月でFCAトップを退任する意向を示していたマルキオンネだが、この6月にはFCAグループの新5カ年計画発表の場の中心にいた。

マルキオンネ死去の直前には、英国出身でジープとラム・ブランドのトップを務めるマイク・マンリーが、新たなFCAグループCEOに指名されている。

「セルジオは真に傑出した人物であり、彼の死は大変大きな痛手です」とマンリーは話す。

当時苦境にあえいでいたフィアットの取締役にマルキオンネが就任したのは2003年のことであり、自動車業界での経験はなかったものの、赤字体質の企業を変革する手腕を買われてのものだった。

CEO就任 そしてFCA誕生

ウンベルト・アニェッリ会長の死を受け、マルキオンネは翌年CEOに就任している。当時フェラーリのトップを務めていたルカ・ディ・モンテゼモロがフィアット会長の座に就いたものの、この人事を不服としたフィアットCEOのジュゼッペ・モルキオが辞表を提出したため、モンテゼモロがマルキオンネに白羽の矢を立てたのだ。

2009年、マルキオンネは、失敗に終わったダイムラーとの提携の後遺症と、2008年の金融危機の影響に苦しむクライスラーの株式取得によって、フィアット成長の機会を掴もうと考えた。

2009年にクライスラー株の20%を取得したフィアットだが、2012年にはさらに58.5%まで追加取得している。そして、その2年後、残りの株式すべてを買い取ることで、フィアット・クライスラー・オートモビルズが誕生した。この買収劇によって、FCAは北米市場へのアクセスを確保すると共に、グローバル市場で戦う規模を身に着けることができたのだ。

同時に、マルキオンネはフェラーリを分離・独立させたが、独立後も自身は以前と同じ地位に留まっていた。

マルキオンネ主導のもと、FCAは近年成長著しいジープやアルファ・ロメオ、マセラティといった自身が持つプレミアムブランドに注力すべく、SUVなどの新型モデルを開発している。一方、フィアットの苦境は続いており、欧州市場では電動シティカーに特化することになりそうだ。

強力なリーダーシップ 必要なのは音楽の即興性

マルキオンネは、その率直かつ強力なリーダーシップで知られており、新たな買収を模索していることも隠そうとはしなかった。

6月にマルキオンネがFCAの次の5カ年計画を公表した際、彼はこの計画について、ジープ、アルファ・ロメオとマセラティの更なる成長と、電動化技術への重点的な投資を行うものだと説明している。

この際、金融アナリストからの、なぜ計画実行段階にはすでに退任を予定しているにもかかわらず、計画の立案を自ら行ったのかとの質問にもマルキオンネは回答している。

FCAのリーダーたちを、フィアットとクライスラー合併前には、仕事を失う瀬戸際に追い込まれていた「サバイバー(生存者)」だと表現しつつ、マルキオンネは、彼がグループに残せるものは、彼が植え付けた企業文化だろうと話した。

自動車業界ほど手続きとプロセスが重視されるところはないが、マルキオンネはもちろんそうした点を重要だと認めつつ、「FCAは音楽の即興性を求めているのです」と語っている。

さらに、「わたしの後任には台本や指示書はありません。いかなる指示書もつまらない、その場しのぎのものでしかないのです。FCAには逆境から生まれたリーダーと従業員によって形作られた文化があり、われわれは譜面通りに演奏したりはしないのです」

マルキオンネ名言集

・ 「街中でレンジローバーを目にするたびに、わたしの血は沸き立ちます。まさにわれわれが創り出すべきクルマであり、それができると信じているからです」

・ 「人間は自分が知る範囲でしか世界を見ようとはしません。だからこそ、未知の世界へ飛び込むべきなのです。新しいもので心を満たし、新たな興味を育てるのです。そして、何事に対してもオープンであらねばなりません。自分の殻に閉じこもったまま世界を眺めていられるほど、人生に与えられた時間は長くはないのです」

・ 工場従業員に対する自動賃金アップについて:「会社レベルで収益が上がっている時には、従業員にも還元したいと思っています。つまり、賃金アップです。一方で、これまでのような権利意識も無くしてしまうべきでしょう」

・ FCAの5カ年計画達成に際して:「これ以上のことをするつもりはありません。わたしがやるべきことはやり終えました。次は若手の番です」

マルキオンネの後継者

イタリアに拠点をおく巨大自動車メーカーのCEOに、英国人のマイク・マンリーが就任することは驚きをもって迎えられているかも知れないが、ジープとラムで長期にトップを務めたことで、彼はフィアット・クライスラー・オートモービルズのなかでも、最も高い収益性を誇る成功したブランドの舵取りを行ってきた。

エデンブリッジ出身の54歳になるマンリーは、スワン・ナショナルで複数のディーラーを経験することで自動車業界でのキャリアをスタートさせた。その後、レックス・オートセールスへと移ったが、2002年に当時のダイムラー・クライスラーがこの会社を買収したことで、彼はディーラーネットワーク開発の責任者に就任している。

2003年には米国へと移り、2009年にジープのトップとなった彼は、フィアットによるクライスラー買収後もその地位に留まり、2015年にはラム・ブランドの責任者にも就任した。

マンリーのもと、ジープは近年飛躍的な成長を遂げている。セールスは2009年の32万台から、今年は190万台に達する見込みだ。


マンリーが主役となるだろうFCAの次期5カ年計画は既に公表済みだが、彼はその実行にも責任をもつ立場となる。最初の任務は、FCAグループの動揺を抑えることになりそうだ。ジープ欧州部門のトップを務め、マルキオンネ後継の座を争ったアルフレッド・アルタヴィラがその地位を去ったからだ。

ジープも欧州市場では苦戦しており、マルキオンネは昨年この状況を「不十分」だと表現していた。さらに、グループとしては、ハイブリッドやEV、自律運転技術の開発も進めなければならない。そして、グローバル展開を進めるなか、FCAも大西洋を挟んだ貿易戦争とは無関係ではいられないだろう。

マルキオンネはフェラーリCEOと会長も兼務しており、今後5年間はその地位に留まるつもりだった。

63歳のルイ・カミレリが既に新たなCEOに任命されている。カミレリは既にフェラーリの取締役であり、長くフェラーリF1チームのスポンサーを努めているタバコメーカー、フィリップ・モリスの会長でもあった。

FCAの新会長には、ジャンニ・アニェッリの孫であり、アニェッリ家が保有する投資会社のトップを務めるジョン・エルカーンが指名されている。

クロプリーが知るマルキオンネ 唯一無二の存在

マルキオンネは親しみやすさと冷静さを併せ持つリーダーだった。プライベートな会話での人間的な温かみと、質疑応答での彼が力強さとともに見せていた驚くべき冷静さを忘れないだろう。


彼がありきたりで型にはまった振る舞いをしようとしたことなど一度としてなかった。組織人としては信じられない。彼が残したものとは、長く続いた苦境からのフィアット、クライスラーとアルファ・ロメオの救済であり、大胆だが成功するとは思えないGMとの合併構想のもととなった、自動車業界におけるさらなる巨大合併が必要だとの信念、そして、なぜか常に誰よりも自信に満ち溢れていると感じさせたその変わらぬ印象だ。

彼の記者会見は非常に有益だったが、それはマルキオンネが即座に質問の意図を理解し、当意即妙ともいえる回答をしていたからだ。

時には驚くような場面に出くわすこともあった。彼はとりわけドイツ人の金融ジャーナリストと、彼らの財務や年金に関する面倒な質問を嫌っていたようで、大企業のトップとも思えない、マルキオンネ流の対応を見せていた。

仕事人間だったマルキオンネに、ようやくしばしの休息が与えられたのだと考えれば、少しは慰めになるだろう。一方で、彼の膨大な仕事量と、赤字体質の混乱のなかから創り上げた秩序を考えれば、マルキオンネが最後まで全速力で走り続けたことの恩恵を、多くが受けているに違いない。

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(AUTOCAR JAPAN 編集部)

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みんなのコメント

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  • fxh*****|2018/08/04 11:45

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    ともかくこの人が経営を建て直していなければ、フィアットは自動車業界から撤退してヨーロッパの産業界に大打撃を与えていたと思う。だから、ここまでその死が延々と大きく扱われるのもわかる。

    でもマルキオンネは憧れのレンジローバーのような利幅のとれる「プレミアム」な車にはご執心でも、フィアットの本領である大衆車の市場での復活にまでは手が回らなかったようだ。日本でフィアットというとチンクェチェントや124スパイダーといったキャラクター商品なのでピンと来ないかも知れないが。結果、FCAの現状は即興的というよりは、力の入っているところとそうでないところのムラが大きないびつなラインアップになっていると思う。すでにランチァは事実上消滅し、恐らくダッジやクライスラーがそれに続くだろう。今年もダッジはチャージャーやチャレンジャーなどの限定マッスル仕様を出したが、将来の展望はまったく見えていない。

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