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マツダ「SKYACTIV-X」なぜ注目? 新プラットフォームも検証 試乗記

掲載 更新
マツダ「SKYACTIV-X」なぜ注目? 新プラットフォームも検証 試乗記

もくじ

どんなクルマ?
ー スカイアクティブX いったい何物か
ー 2.0ℓで190ps/23.5kg-mめざす

トヨタ、なぜEVではなくハイブリッドにこだわる? マツダ資本提携で変化も

どんな感じ?
ー まだまだ開発「進行中」 ポテンシャルあり

どんなクルマ?

スカイアクティブX いったい何物か

このマットグレーのマツダは外観こそ見慣れたアクセラそのものだが、その中身はエンジン、プラットフォームとも、2019年の発売を目指して開発中の新世代Cセグメント(おそらく次期アクセラ)のプロトタイプなのだという。同プロトタイプの初乗りレポートはすでに欧州からお送りしているが、今回は日本国内のテストコースでの試乗である。

次世代マツダ最大のトピックといえば、世界初の実用化となりそうな自己着火(圧縮着火)ガソリンエンジンの「スカイアクティブX」である。

自己着火ガソリンエンジンは一般的に「HCCI(Homogeneous-Charge Compression Ignition)」と呼ばれている。その名のとおり、通常のガソリンエンジンと同じように、あらかじめ燃料と空気を混ぜ合わせた混合気を吸い込ませる点が、同じ自己着火エンジンでも、空気だけを吸って筒内に燃料を噴射する直噴ディーゼルとのちがいだ。

HCCIの術内容はそれこそ本の1冊も書けるほど複雑&高度なものだが、その利点をおおざっぱにいうと、空燃比30以上(理論空燃比は14.7)という超希薄燃焼が可能になることと、均等な混合気を燃やすために燃焼室内で同時多発的に着火して一気に急速燃焼するところにある。

希薄燃焼だから燃費がよく、急速燃焼なので燃焼温度が低い。燃焼温度が低いと、NOxは発生しにくくなる。この燃費と排ガス浄化という一石二鳥の利点をもつところが、HCCIが究極の内燃機関といわれている理由だ。

ただ、自己着火……しかも同時多発急速燃焼とは、いわば「ノッキング」と同じ現象であり、それを思いどおりに制御するのは非常にむずかしい。そこがHCCIの実用化を妨げてきた最大の要因である。

マツダのスカイアクティブXは点火用のスパークプラグをもつ。つまり、純粋なHCCIではない。自己着火なのに……とお思いだろうが、このスパークプラグを使った「SPCCI(SPark-Controlled Compression Ignition)」をモノにしたところが、マツダが早期に自己着火ガソリンエンジンを実用化できた最大のキモである。

スカイアクティブXでのスパークプラグはたしかに燃焼のキッカケとなるが、そこを唯一の着火点として燃え広がるのではない。その火炎球によって燃焼室内の圧力をコントロールして、多発燃焼を誘発することに重きが置かれている。

2.0ℓで190ps/23.5kg-mめざす

機械的な圧縮比は16.0だそうだが、筒内圧センサーとスパークプラグ制御を組み合わせることで、事実上の圧縮比を緻密に制御することで、自己着火をコントロールするのだという。

さらにスカイアクティブXには大量の吸入空気を確保するために小型のコンプレッサーが備わる。つまり、全体像としてはスーパーチャージャーエンジンである。

とにもかくにも、世界初の自己着火ガソリンエンジンをカタチにしつつあるマツダのスカイアクティブXは、2.0ℓの排気量で190ps/23.5kg-mを達成するべく開発中である。

燃費は現行スカイアクティブGに対して15%以上の改善を目指しているというから、従来型エンジンだと2.3~2.4ℓクラスの性能で、プリウスに大きく引けを取らない燃費……といったところか。なるほど、純エンジン車としてはアタマひとつ抜けた性能と燃費になる。

今回のプロトタイプは、そんなスカイアクティブXを、それと同時デビューとなる次世代プラットフォームに搭載したクルマである。

現時点では「スカイアクティブ・ビークルアーキテクチャ」と呼ばれているマツダ次世代プラットフォームは「バネ上の動きをいかに連続的に滑らかにするか=走行中に乗っている人間の頭部をいかにピタリと動かさないか」が最大のテーマだそうである。核となるボディ構造では、対角線上の剛性確保にとくに留意しているのが特徴である。

注目すべきは次期アクセラを想定していると思しき新世代プラットフォームのリアサスペンションが、現行のマルチリンクから、よりシンプルなトーションビームに変わっていることだ。

上級モデル用にはマルチリンクの可能性もあるようだが、アクセラにかぎっていえば、現行より若干の後退感があるのは否定できない。

ただ、担当エンジニアは「連続性という意味ではトーションビームにメリットがあり、またトーションビームの乗り心地や路面追従性の弱点を補うために、コイルスプリングに秘密があるんです」と語っていた。

また、今回は開発初期段階からタイヤやシートも同時開発しているのが新しい。

どんな感じ?

まだまだ開発「進行中」 ポテンシャルあり

今回はマツダ所有の「美祢自動車試験場(旧MINEサーキット)」内の特設コースでのチョイ乗り試乗にとどまったが、エンジンの感触はなるほど2.0ℓガソリンとしては低速トルクが太い感じはあった。

加速時の音質にわずかにディーゼル感があったのは事実だが、音量や振動の絶対値は普通のガソリンエンジンに遜色ない。

ただ、エンジン単体での震動騒音はやはり通常のガソリンエンジンよりは確実に大きいのだそうで、このプロトタイプの静粛性は、新世代プラットフォームによるところが大きいらしい。

新世代プラットフォームは、スカイアクティブXを前提にエンジンルームをカプセル化しており、エンジンノイズを封じ込めるとともに、スカイアクティブXに不可欠な緻密なエンジン温度管理を助けるのだとか。

面白いのは、回転の途中にいくつかのステップで、レスポンスや震動に「段付き」の変化があったことだ。昔のホンダVTECというか、なにかのスイッチが切り替わったかのような感触だ。

聞けば、それは負荷や走行状態に応じて、自己着火と通常着火が切り替わっている瞬間らしい。もちろん、このまま市場に出すつもりはなく、この段付きは商品に向けて解消されるべき課題だそうだ。

レブリミットは現行2.0ℓと同じく6500rpmほどだが、高回転域での伸びがあまり芳しくなかった。ただ、それは自己着火由来のものではなく、現状ではプロトタイプゆえの安全策の側面が大きい。

商品化のあかつきには「自己着火だからといって、高回転域が普通のガソリンエンジンに劣るわけではありません」という。

シャシーの感触もまだまだプロトタイプの未完成な部分が多かった。ただ、ステアリングの利きは現行アクセラよりさらに強力になっていた点と、上屋の動きは徹頭徹尾フラットに安定していた点に、次世代マツダのポテンシャルが現われていた気がする。

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