もくじ
ー ディフェンダーの正常進化版が誕生?
ー 本家のディフェンダー後継よりシンプルに
ー 現代版ディフェンダー開発のカギは3つ
ー ジェームズ・ラトクリフとは何者か?
ディフェンダーの正常進化版が誕生?
2010年代における、もっとも興味深いニッチモデルのひとつになりそうなイネオス・グレネーディアー。その中心人物は、オフロード好きの意見を広く求めている。
イネオスは1998年の設立以来、急成長を遂げている化学製品メーカー。そんな彼らが、本格的なオフロード走行を好むひとびとのアイデアや意見、経験を募集している。とくに、ランドローバー・ディフェンダーに関するものなら大歓迎、といったところだ。さらには、その手のクルマに関する従業員も募集することになりそうだ。
化学系エンジニアと招集された自動車業界のスペシャリストで構成される少数精鋭のティームが、先頃開設されたウェブサイト(www.projektgrenadier.com)やプロジェクトのSNSを通じて模索しているのは、ランドローバーはこうあるべきだという姿。そして彼らは、初代ランドローバーの精神を受け継ぐ、世界レベルの、妥協なき、しかし手頃な価格のオフローダーを創り上げようとしている。
イネオスのジム・ラトクリフ会長と数人の仲間は、とある水曜日の晩、ナイツブリッジの本社近くにあるパブ・グレネーディアーにいた。そこでラトクリフが捻り出したのが、現在のイネオス・オートモーティブが達成しようとしているミッションだ。彼らが完成を目指すクルマは、来年にはスケッチを公開し、2019年に先行生産を開始、2020年には完成型を発表することが予定されている。
本家のディフェンダー後継よりシンプルに
彼らが公言する意図は、2016年に生産終了したランドローバー・ディスカバリーの復活。このプロジェクトに対するランドローバーの態度は、はっきりしていないという。いまのところ、ゲイドンでは最終案に辿り着いていないが、2019年にはディフェンダー後継を完成させるとしている。そのため「まるでモダンな新型車であるかのような進化版ディフェンダー」というイネオスのそれは、慎重に進める必要がある。
ただしイネオスは、いまや年間£40億近い利益を上げる世界屈指の私企業であるだけに、JLRの顧問弁護士たちを恐れてはいないだろう。訴状を送り付けられることになっても、それでプロジェクトをあきらめたりはしないはずだ。
しかし、イネオスはJLRとの法的な衝突は避けられるだろうという自信を持っている。グレネーディアーの立ち位置と、伝えられるランドローバーのディフェンダー後継とはまったく正反対だからだ。たしかに、どちらも世界レベルの高性能四駆というマーケットこそ共通するが、次期ディフェンダーはアルミモノコックに移行し、複雑なテクノロジーが導入されると噂される。
ラトクリフが標榜するのは、もっとシンプルで、伝統的で、頑丈であり、安価なクルマだ。グレネーディアーもボディはアルミだが、ラダーフレームのセパレートシャシーで、適切なサスペンションにスティールのスプリングを組み合わせる。パワートレインはガソリンとディーゼルのほか、ハイブリッドも設定される。
現代版ディフェンダー開発のカギは3つ
「グレネーディアーには、念頭に置くべき3つのカギとなる長所があります。それはデザインと性能、そして信頼性です」とラトクリフは述べる。
「わたしたちは、オフロード性能の面でディフェンダーを超える必要はありません。なぜなら、そんなことはするまでもないですから。これ以上、改善するところはありません。わたしたちのチャレンジは、ディフェンダーの能力を、現代が求める安全性やエミッションなど各種法規制に適合するクルマで再現することです。何より、オンロード向けに和らげてはいけません。オフローダーと呼ばれるものの多くがそれをしていますが、そうした妥協を受け入れてはいけないのです」。
ラトクリフが言うには、イネオスは極めて綿密なドイツ式のクルマ造りを適用し、一流の部品サプライヤーと密接に連動して、卓越した頑丈さをもたらす既成品のシステムを改修しているのだとか。また、彼らにはオリジナルのディフェンダーの造り方をなぞったうえで、それを改良できると信じるに足るアイデアがあるという。
「ランドローバーはなぜ、腐食対策を手のかかるアルミボディーに求め、オリジナルの亜鉛メッキスティールシャシーを捨てたのか、理解できません。英国では20世紀に入る頃、すでにガルバリウム鋼材の街灯を実用化しているというのに」。
「ランドローバーのオーナーのほとんどは、シャシーを水にさらせば腐食するとわかっていますが、それはまた、ラダーフレームが泥や湿気を取り込みやすいからでもあります。わたしたちは、そうした問題を避ける設計ができます。また、それをしながら、ディフェンダーより快適で、静かで、レイアウトや気密性もよりよくすることが可能です。かつてのクルマの、すべての問題を処理できるのです」。
しかしながら、彼はこう付け加えた。「ただし、デザインは多大な努力が要求されるであろう領域です」。ラトクリフはモダンなカーデザインの多くを軽蔑的に見ており、彼に言わせれば、多くのクルマはゼリー型から出てきたようなものだということになる。
ジェームズ・ラトクリフとは何者か?
ジェームズ・アーサー・ラトクリフは、戦後の英国でも、もっとも裕福で成功した実業家のうちのひとりだ。
1974年に化学工学を修了し、エンジニアとして働く傍らビジネスやファイナンスについて学んだ彼は、1995年にBPからEO事業を買収。これで成功を収めると、1998年に共同出資者から全権を譲り受けてイネオスを設立し、その後もICIやBASFなどからの事業買収を続け、いまや化学エンジニアリングの企業グループを形成している。
ラトクリフは、このグループの大株主であり、2007年にはサンデー・タイムズ紙の長者番付で、ヴァージン・グループ会長のリチャード・ブランソンを抜き全英10位にランクインした。
エクストリームスポーツと地球規模の冒険を愛するラトクリフは、マラソンに参加するほか、バイクで両極点到達やアフリカ横断に挑んで脚の3か所を骨折したことも。彼がそうした極限状態で冒険をするということは、どこでも走破できる乗り物の価値を知っているということでもある。
現在はスイス在住の彼は、英国のEU離脱の熱心な支持者で、また英国でのフラッキングによる安価なエネルギー供給の熱烈な擁護派でもある。
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