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[スローニュース]プジョー/シトロエンがGMからオペル/ボグソールを買収 両ブランドは存続

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[スローニュース]プジョー/シトロエンがGMからオペル/ボグソールを買収 両ブランドは存続

2017年3月6日、デトロイトのGM本社とパリのPSAグループは、PSAクループがGMからヨーロッパ事業、つまりオペル/ボグソール・ブランドを買収したと発表した。買収金額は22億ユーロ(約2650億円)。オペル/ボグソール・ブランドの買収金額は13億ユーロ(約1560億円)で、残りの1090億円はGMヨーロッパの金融部門で、PSAとフランスの大手金融グループ「バリバ」が折半で買収する。なお、この買収後もオペル/ボグソールのブランドは存続する。

■PSAとGMの思惑
PSAグループはオペル/ボグソールとの事業統合により、共通プラットフォームの導入、共同開発や工場投資の分担、購買の一本化などにより2026年までに年17億ユーロのコスト節減を見込んでいる。ここ最近は赤字を計上しているオペルは2020年までに営業利益率2%、2026年までに6%を達成する計画だという。

この結果、GMはヨーロッパから撤退することを意味し、世界販売台数ではフォルクスワーゲン、トヨタ自動車に次ぐ3位の位置から、日産/ルノー/三菱アライアンスに抜かれ4位となるが、GMはハッピーだという。

GMのメアリ・バーラCEOは「難しい決断だったが、株主や従業員を含め、我々には良い選択だと確信している」と語っている。GMは収益の見込みが不透明なヨーロッパ事業を精算し、世界販売台数競争より、ヨーロッパ地域以外での収益率の安定的な確保を選んだのだ。

一方、プジョー/シトロエン/DSブランドを持つPSAグループは、オペル/ボグソールの取得により、売上高は8兆円をはるかに超え、年間販売台数は約430万台に。ヨーロッパ市場ではフォルクスワーゲンに次ぐ2番めのポジションを確保した。そしてPSAグループのカルロス・タバレスCEOは、買収によるシナジー効果が得られる以外に「PSAグループのノウハウでオペルを再生させる」と語っている。

なお、GMとPSAグループは2012年2月にグローバル・アライアンスに同意しているが、この提携は今後も継続される。

GMは元々オペルなどヨーロッパ事業には悲観的なイメージを抱いていたことも事実だ。2009年にGMは経営破綻し、連邦倒産法第11章の適用を申請した。この時期にはオペルの売却が検討されており、フィアットなどいくつかの候補が挙がった後、カナダのマグナ・インターナショナルやロシアのファンドなどが参加する企業連合へ売却する案件も進んだが、結局、GMはオペルを売却しなかった。

だが、再建を果たしたGMにとって収益が好転せず、赤字を計上しているオペルの意義は大きくなかったので、今回の売却に繋がったのだ。

一方、PSAグループは2012年、つまりGMとの提携を発表した年から3年間は赤字が続き、危機的な状況にあったが、2014年にルノーの副社長からPSAグループに転身したカルロス・タバレスCEOは、コストの削減とクルマの商品力の向上を指揮し、2015年からは黒字に転換するなど劇的に経営を改善し、危機を脱している。今回の買収でヨーロッパ市場でのポジションをより強化し収益率を高める狙いがある。

■数奇なオペル・ブランド
「我らはクルマと共に生きる」という企業スローガンを掲げるオペル社は、1837年に創業され、1899年から自動車生産を開始。ヨーロッパでも有数の歴史のある自動車メーカーだ。すでに第1次世界対戦前にはメルセデス・ベンツに対抗する存在で、第1次世界対戦後にはドイツのナンバーワンの自動車メーカーとなっている。

しかし世界大恐慌に襲われ経営が悪化し、1929年にアメリカのGMが資本参加、1931年には完全子会社となった。ただしナチス政権下ではGMの経営権は剥奪され、軍用車両を生産したが、ドイツ敗戦後の1948年にGM資本が復権。GMのヨーロッパ進出の象徴的な存在となっていた。

イギリスに本拠を置くボグソールは、1903年から自動車の製造を開始した中堅メーカーであるが、1925年にGM傘下に入り、戦後の1948年以降はオペルとの車種共通化が進められ、現在はオペル車と共通化され、ブランド名のみが残されている。

現在のオペルはAセグメントのアダムから、Dセグメントのインシグニア、商用車まで取り揃えたフル・ラインアップ・メーカーで、PSAグループではラインアップしていないセグメントも存在する。

カルロス・タバレスCEOは、今後このオペル/ボクソールをPSAグループの中でどのように活かすのか、どのようなブランド・ポジショニングを行なうのか注目だ。


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