フォード・フィエスタR5でのWRC2参戦を卒業し、2020年はトヨタ・ヤリスWRCでWRCクラス計8戦に参戦することとなった日本人ドライバーの勝田貴元。その初戦となったのが、ラリー・モンテカルロだった。
既報のとおり、最終リザルトは自己最高位となる7位に終わったが、勝田にとって、この一戦はリザルト以上に手応えのあるラリーとなったに違いない。筆者が見ていても勝田はデイごとに進化を遂げていた。
■”WRC6冠王者”セバスチャン・オジェの凄さ……トヨタのチーム関係者に訊く
今年は暖冬の影響で積雪量が少なかったとはいえ、ラリー・モンテカルロは雪と氷が点在する特殊ターマック戦で、世界で最も過酷な一戦と言われている。
事実、今大会でもヒュンダイに移籍したオット・タナクを筆頭に数多くのドライバーが脱落。勝田は2019年の大会にフォード・フィエスタR5で参戦した経験を持つものの、WRカーでは初参戦。「WRカーはスピードが速いのでペースノートの情報量を減らしました」と語るようにラリー序盤から慎重な走りを続けた。
ナイトステージとして行われたデイ1のSS1は9番手に終わったが、「インフォメーションとクルマを信じきれないなかで走っていたら、ガードレールに途中で当たってしまって。そこからは完走だけを意識して走りました」と語るようにSS2でペースダウン。WRC2に参戦する6台のR5マシンに先行を許すなど14位に止まり、総合順位でも12番手に低迷することとなった。
このリザルトは勝田にとっても不本意なものだったに違いない。しかし勝田は気持ちを切り替え、ドライターマックのデイ2ではスリックタイヤで安定した走りを披露。「アイスノートクルーが走る時間と自分が走る時間がかなり空いているので、事前の情報とはかなりコンディションがずれてしまい、かなりペースを落としました」と語りながらもペースアップを果たし、総合7番手に浮上した。
続くデイ3のオープニングステージSS9で勝田は、スノーバンクにヒットしてスピン……フロントのラジエータダクトに雪が詰まってしまったことで3分以上のロスをしてしまうほか、SS13でも13位に止まるなどスタッドタイヤで走行したファーストループは苦戦を強いられた。
しかし、スリックで雪と氷の残るステージに挑んだセカンドループではSS7で7位、SS8で8位と順調な走りを披露。そのタイムはチームメイトのカリ・ロバンペラやフォード・フィエスタWRCを駆るテーム・スンニネンらと僅差で「午後はスリックでアイスを攻略することが鍵だったんですけど、スプリットタイムは(セバスチャン)オジェとあまり変わらないようでした。全体的にペースを落としすぎたけれど悪くはなかった」と語るように、勝田も確かな手応えを掴んだ。
そして、ドライターマックのレグ4で勝田は、SSS14およびSS15で6位につけるなど、スンニネンやロバンペラを凌駕するタイムをマークする。
「難しいコンディションの中、徐々にペースを上げられたので良かった。WRC2は危険な数カ所なコーナーでペースを落としても2番手タイム、3番手タイムにつけられるけど、トップクラスは2コーナーだけですぐに10秒ぐらい離されてしまうほどレベルの高い世界。少しずつ詰めていきたいですね」
そう勝田は締めくくった。
レグ1を終えた段階では「不安と悔しさしかなかった」と暗い表情で語っていた勝田だったが、フィニッシュランプの前では多くの経験を得たことで明るい表情を見せていた。
この勝田の7位完走について現地で戦況を見守っていたGAZOOレーシングカンパニーの友山茂樹代表は「準備期間が少ない中、難しいラリーで完走してくれましたからね。このまま経験を積んでいけば、ラリージャパンが楽しみになります」と高く評価していた。
勝田は走れば走るほど成長を遂げている。本人も「次のスウェーデンは経験が多いので、勝負していきたい」と語っているだけに、次戦は自己最高位更新に期待したいものだ。
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