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中団グループで戦うポテンシャルは十分。必要なのは“仕上げ”の部分/トロロッソ・ホンダF1コラム

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中団グループで戦うポテンシャルは十分。必要なのは“仕上げ”の部分/トロロッソ・ホンダF1コラム

 2019年のトロロッソは明らかに例年とは違う。いつもならばシーズン終盤のこの時期はマシン開発が停滞し、ポイント争いからは置き去りになってしまうのがトロロッソの常だった。

 しかし今年は毎戦予選Q3進出を争い、決勝でもポイント圏内を走行している。これはマシン開発面でもレース運営面でもチームとして成長を遂げている何よりの証だ。

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「僕らはシーズン後半戦に入ってから大きなアップデートもないし、小さなカーボンパーツがあちこちに加わっている程度で、基本的にはベルギーGPの時と同じままのクルマで戦っている。そんな中でマシンのポテンシャルを最大限に引き出せているからこそ僕らはこのポジションにいられるんだ。メキシコGPでも良かったし、アメリカGPではその流れにままさらに前に進むことができた」

 ピエール・ガスリーはそう語り、マシンポテンシャルを最大限に引き出せるようになったチーム技術陣の成長を賞賛した。

 そしてガスリーは「ほとんど変わらない」と表現するが、実際には日本GP以降は毎戦のようにマシンには様々な手が加えられている。

 予選でのラップタイムに大きく直結するようなアップグレードではないためガスリーはそのような表現をしたのかもしれないが、ピークパフォーマンスが0.1秒ほどしか変わらなかったとしても、そのアップデートによってマシンの安定性が向上し、そのピークパフォーマンスが引き出しやすくなっている。それと同時にレースペースの安定性ももたらしている。そういう改良が着実に進められているからこそ、今年のシーズン終盤戦のトロロッソ・ホンダは速さを維持しているのだ。

 第18戦メキシコGPでは、結果的に最終ラップの最終コーナーでニコ・ヒュルケンベルグ(ルノー)と接触してペナルティを受け入賞圏外に落ちたとは言え、ダニール・クビアトは今季ベストのレース週末のひとつだったと振り返ったほどだ。中団グループ最上位のマクラーレンを喰うほどの速さを初日から見せていたが、それもやはりマシンの持つポテンシャルを引き出すチーム力の成長によるものだとクビアトは説明した。

「メキシコGPはマクラーレンと同じ戦略で戦って僕らの方がペースが良かった。金曜から速さがあったし今シーズンでベストレースのひとつだったんだ。ここ数戦の僕らはトラブルさえなければ良いポジションにいるし、チームとしてのオペレーションの成長にも満足しているよ」

 連戦となった第19戦アメリカGPのサーキット・オブ・ジ・アメリカズでもトロロッソ・ホンダの速さは続き、ガスリーがQ3に進んだ。

 マシンの開発、チーム力の成長だけでなく、ホンダのパワーユニット(PU/エンジン)の進歩も大いに貢献しているとガスリーは語る。

「Q3に安定して進めている一貫性には満足だよ。ホンダのパワーユニットが進歩したことで去年よりもパワーセンシティブなサーキットで苦労しなくなっている。それも僕らの一貫性に貢献しているよ」

■いまひとつ噛み合わないクビアト
 クビアトもQ2最後のアタック直前にルイス・ハミルトン(メルセデス)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)のコース上での交錯に巻き込まれていなければ、本来のアタックを決めてQ3に進むだけの速さはあったはずだった。

「ハミルトンとマックスが何をやろうとしていたのか、理解出来ないよ。僕はブレーキングして避けなければならなかったし、タイヤが冷えて最後のアタックに影響を受けてしまった。予選では時にこういうこともあるから仕方がないとは思うけど、何らかの措置があっても良いとも思う。彼らはもうQ3進出が決まっているから良いけど、僕はそうじゃなかったわけだからね」

 シーズン後半戦のクビアトはいまひとつ上手く回らないレースが続いている。夏休み明けに続いたトラブルが一段落したかと思えば、こうした外的要因に阻害されたり、それによって自身のドライビングがやや粗くなってしまったり。

 メキシコGPでも最終ラップの接触でペナルティを科されてポイントを逃したが、アメリカGPでもまた最終ラップのターン15でセルジオ・ペレス(レーシングポイント)のインに飛び込み、5秒加算ペナルティを受けて12位に後退してしまった。

「僕は彼とサイドバイサイドでバトルをしてインに飛び込んだだけだ。そしたら彼がドアを閉めた。これは普通のことだ。それで接触をして、今度は僕が(ターン17~18で)アウト側から彼をオーバーテイクしたんだ」

 10位でフィニッシュしポイントをもぎ取ったと興奮冷めやらぬ中、ペナルティを聞かされたクビアトは「クソだね、全く信じられないよ。言葉もないよ、本当に馬鹿げた裁定だ。全く受け容れがたいね」とこの裁定を真っ向から批判した。

 しかしターン15でクビアトはインカットするようなかたちでペレスに並びかけ、接触してフロントウイングをもぎ取りながら押し出したように見え、この裁定は仕方のないものと言えた。

 一方、ガスリーも残り3周でペレスと接触を喫していた。

■マクラーレンと同等のポテンシャルを見せたものの……
 ペレスは最後にタイヤがタレてペースを落とし、防戦一方の状態。ターン12で抜いたはずがターン13で再びインに飛び込まれ、その際に軽く接触した。フロントウイングを踏まれただけのようにも見えたが、ガスリーはすぐさまマシン挙動の異変を訴え、一度ピットインしてタイヤを換えて再度コースに戻ってみたものの違和感は拭えず、リタイアを余儀なくされた。

「56周レースの53周目までポイント圏内を走っていて、前のマクラーレンと同等のペースで走っていたんだ。これは僕らにとって驚きだったよ。でも残り3周でセルジオ(・ペレス)トのバトルになってターン13で交錯して接触した。それで右フロントサスペンションが壊れてリタイアすることになってしまった。とても残念だよ」

 結果はチームとしてもノーポイントで、2台揃って抜けたはずのペレスが生き残って1ポイントを獲得したため、コンストラクターズランキング6位の座を1点差で奪われた。

 今のトロロッソに足りないとすれば、レースの戦略とバトルをきちんと仕上げて確実にポイントを持ち帰る“仕上げ”の部分だ。

 メキシコGPしかり、アメリカGPしかり、マクラーレンと中団グループ最上位を争うほどのポテンシャルで絶好のチャンスであったにもかかわらず、レースの流れを組み立て切れずに獲れたはずのポイントを失っている。

「1点か2点は獲れたはずのレースだったし、毎戦ポイント圏内で争えているということ自体はポジティブなことだよ。それが残りのブラジルとアブダビでも僕らのターゲットになる」

 失敗から学び、成長し、残る2戦できちんと獲れるだけのポイントを持ち帰ることが今のトロロッソに求められている。

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