「本当にタイトな予選だった。3番手のマックス(・フェルスタッペン)は0.06秒の差でポールを逃し、6番手アレックス(・アルボン)も5番手のルイス(ハミルトン/メルセデス)とはわずか0.2秒差だった」と、クリスチャン・ホーナー代表が振り返ったように、F1第19戦アメリカGPの予選は非常に接近した戦いが繰り広げられた。
今回アメリカGPの予選で接近した戦いとなった理由を、ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターは、次のように分析した。
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「トップ3チームの力関係は非常に接近していて、それぞれ得意不得意なサーキットがあるため、グランプリごと、またはセットアップ次第でそれぞれのポジションが変わるのではないか」
その言葉を裏付けるように、今回の予選ではセクターによって3チームの速さが異なっていた。
セクター1で最速だったのはフェラーリで、シャルル・ルクレールが区間最速で2番手にもフェラーリのセバスチャン・ベッテルがつけた。セクター1は1コーナーまでの登り坂とその後はターン11まで連続する中~高速コーナーが控えている。
セクター2で速さを見せたのがメルセデス。ポールポジションを獲得したバルテリ・ボッタス(メルセデス)が区間最速となり、チームメイトのルイス・ハミルトンも区間3番手に続いた。セクター2は長いストレートが特徴的だが、その前後には低速コーナーもあり、そこでのトラクションのかかりも重要となる。
そして、最後のセクターで最速区間タイムを叩き出したのがフェルスタッペンだ。セクター3は低速~中速コーナーが連続するセクション。セクター1と2で区間6番手だったアルボンもセクター3では4番手だったことを考えると、レッドブル・ホンダは大きく回り込むコーナーや直角に近いコーナーで速いようだ。
マシンの特徴だけでなく、予選の戦い方もトップ3チームは微妙に異なった。例えば、Q2はメルセデスとフェラーリはミディアムタイヤでベストタイムを刻んだが、レッドブル・ホンダはフェルスタッペンがミディアムでアルボンはソフトとふたりで分けた。
Q1までのアルボンのラップタイムから考えると、ミディアムタイヤを履いてQ2を突破する10番手となる想定タイムを確実に上回れないとレッドブルが判断したと考えられる。ただし、もしそれだけが理由であれば、Q2の1回目でまずミディアムでアタックし、Q2を突破するだけのタイムを記録できなかった場合は2回目でソフトを履くという戦術でも良かったことになる。
■予選Q3はグリップレベルの変化に対応しきれず
予選後、ホーナーが「アレックスは明日、ソフトタイヤを履いて異なる戦略でレースをスタートする。スタート直後の1コーナーはエキサイティングになるだろう」と語っていることを考えると、上位勢がミディアムでスタートすることを見越して、あえてソフトタイヤでスタートして、撹乱する作戦を採ったかもしれない。
また前戦のメキシコGPで予選トップとなりながら、黄旗無視によって3番手降格のペナルティを受けたフェルスタッペンは、今回のアメリカでもポールを狙える速さを披露した。
予選後、田辺TDはこう語って、悔しがった。
「Q3の1セット目のタイヤで、左フロントタイヤをロックさせていたので、2セット目のタイヤでのアタックに向けて、チームは『タイヤをもう少しコンディショニングしていく』と言っていたんですが、結果的に2セット目のタイヤでのアタックでも同じように(1コーナーで)ロックさせていたので、そこは残念でした」
フェルスタッペンも「グリップレベルが変わってしまったため、Q2よりもQ3の方がトリッキーだった」と語っており、持てる力を出しきれなかったことをうかがわせる発言を予選後に行っている。
それはチームメイトのアルボンも同じ。
「Q3の最後のアタックはコースを飛び出す前までは自己ベストよりコンマ3秒速かったのに……」
もし、コンマ3秒速かったら、ハミルトンを上回り、予選5番手だった。
つまり、この日のレッドブル・ホンダは、トップ3チームの中で、最もサーキット・オブ・ジ・アメリカを得意としていたチームと言っても、過言ではなかった。
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