現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > マイアミGP、開催合意も前途多難。F1は地元住民に”致命的”な悪影響を及ぼす?

ここから本文です

マイアミGP、開催合意も前途多難。F1は地元住民に”致命的”な悪影響を及ぼす?

掲載
マイアミGP、開催合意も前途多難。F1は地元住民に”致命的”な悪影響を及ぼす?

 2021年の開催に向けて動いているF1マイアミGP。地元のプロモーターとF1は、開催について原則的に同意したことを10月中旬に発表した。

 当初は港湾エリアで開催される予定だったマイアミGPは、その後計画を変更。マイアミ中心部から北に約25km離れた、マイアミガーデンズ市にあるハードロック・スタジアム周辺で開催されることとなった。NFL(米のプロアメフトリーグ)のマイアミ・ドルフィンズが本拠地としているこのスタジアムの駐車場や周辺の公道を利用し、トラックが建設されるようだ。

■F1マイアミGP、2021年開催に向け原則合意。地元住民からは反対の声も……

 ただ10月29日(火)、マイアミ・デイド郡庁舎で行われた郡政委員の公開会議で、F1グランプリ開催に対して地元住民から反対の声が挙がった。

『自動車レースに関する郡の方針を確立する』という議題の中で、グランプリ開催反対派は大気汚染と騒音公害および道路閉鎖による混乱などの影響を議論するため、大規模な公聴会が必要だと主張した。

 結果として、委員会はふたつの決議を可決した。ひとつは公聴会実施後のイベント承認要件について、もうひとつは公道閉鎖に関して郡政委員会レベルの承認を必要とするというもので、どちらもF1グランプリ開催にとって障害となるようなものだった。

 グランプリ開催反対派は、元郡政委員のベティ・T・ファーガソンが率いている。彼女は、郡の調査によるとグランプリ開催による大気汚染および騒音公害が”致命的な影響”を及ぼすという結果を示したと主張した。

「F1レースは、ベッドルーム・コミュニティ(ベッドタウン)で開催されます」と、ファーガソンは語った。

「マイアミガーデンズの住民の大半は、ハードロック・スタジアムでのF1レースを見たくありません。マイアミガーデンズ市議会はF1開催に反対票を投じました」

「私たちは、郡がバラ色の未来を思い描いているのをよく目にしますが、彼らは後日困惑することになるのです。F1プロモーターが、私たちが人間ですらないかのようにないがしろにするのは許せません」

「彼らは致命的な影響をどのように軽減できるかについて、あらゆる種類の声明を出し、インチキをすることができます。ですが、特に子どもたちにとって致命的となりうる健康被害や、一生難聴となる可能性を消すことはできません。郡自身が行った研究でさえ、致命的な影響があると立証しています」

「詳細な公聴会無くして、ドルフィンズ(プロモーター)に道路閉鎖または特別なイベント開催の許可を与えるべきではありません」

 マイアミガーデンズのオリバー・ギルバート市長も、レース開催に反対の姿勢をとっている。

「観光業が重要だということも理解しているが、ここは観光に訪れるだけでなく、住むのにも適した場所でなければならない」

「F1は多くの人々を連れてくるかもしれないが、ここに住んでいる人々が最も重要であり、時にそれが忘れられてしまう。コーナーの近くに住んでいる人がいるし、そこには学校もある」

「私はスタジアムでのイベント開催自体に反対というわけではない。しかし全てのイベントが同じというわけではない。我々はF1を支持していない。ここは人々に有害なイベントを押し付ける場所ではない」

 一方、マイアミ・ドルフィンズの法務および政治問題担当上級ディレクターであるマーカス・バッハ-アルマスはF1プロモーター側を代表し、以前委員会に働きかけた際は13対0でF1をマイアミに誘致することに賛成していたと語った。また、港湾エリアでの開催計画が失敗に終わった後も、郡はイベント開催を手放したくないと考えていたという。

 また、バッハ-アルマスは郡が以前、スタジアム周辺でのレース開催を許可していたことを明らかにした。

「数年前、公聴会と公開投票が行われ、郡政委員会や市議会との3年にも及ぶ議論が解決された。そして彼らは権利的に、スタジアム地区での自動車レース開催を許可すると採決していた。3年が経って、我々は同じやり取りを繰り返しているんだ」

 彼はF1マイアミGPが、当該地域にとって経済的大イベントになると語った。

「スタジアムは、住民とのバランスが取れた地域資産であり、我々は以前彼らと協力して問題を解決した。なぜ今になって、彼らの反応が”ノー”なのか分からない」

「ノーと言うのは簡単だ。しかし我々は、コミュニティーに利益をもたらすことができるように取り組む必要がある」

「我々は常々それをやってきたし、その機会を探している。今回のチャンスを諦めるわけにはいかない」

 F1の商業面を統括するマネージングディレクターであるショーン・ブラッチズや、2度のF1世界チャンピオンであるエマーソン・フィッティパルディも会議に出席し、グランプリ開催への支持を訴えた。

 会議終盤、グランプリ開催支持派である、マイアミ・デイド郡のカルロス・ギメネス郡長は、次のように締めくくった。

「このF1レースは素晴らしいイベントになるだろう。関連するコミュニティで、問題を解決できることを願っている」

関連タグ

こんな記事も読まれています

アウディが急速充電拠点「Audi charging hub紀尾井町」を東京都心に開設---その意義とは?
アウディが急速充電拠点「Audi charging hub紀尾井町」を東京都心に開設---その意義とは?
レスポンス
スバル「新型SUV」発表! スポーティ&ブラックな内外装がカッコイイ! オシャブルー新設定に販売店でも称賛の声
スバル「新型SUV」発表! スポーティ&ブラックな内外装がカッコイイ! オシャブルー新設定に販売店でも称賛の声
くるまのニュース
ヒュルケンベルグ、ザウバー加入決定で2026年からはアウディF1ワークスドライバーに「ドイツ製PUと共に戦うのは名誉」
ヒュルケンベルグ、ザウバー加入決定で2026年からはアウディF1ワークスドライバーに「ドイツ製PUと共に戦うのは名誉」
motorsport.com 日本版
中嶋一貴TGR-E副会長が分析する宮田莉朋のFIA F2での現状と今後の可能性「個人的な感想では期待以上」
中嶋一貴TGR-E副会長が分析する宮田莉朋のFIA F2での現状と今後の可能性「個人的な感想では期待以上」
AUTOSPORT web
たった6人で全国大会決勝進出! 奇跡の実話を映画化した感動青春ムービー『リバウンド』
たった6人で全国大会決勝進出! 奇跡の実話を映画化した感動青春ムービー『リバウンド』
バイクのニュース
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】全国の道路別・渋滞予測まとめ!
【ゴールデンウィーク渋滞予測2024】全国の道路別・渋滞予測まとめ!
くるくら
トヨタから新しいSUV、bZ3Xが出た!──GQ新着カー
トヨタから新しいSUV、bZ3Xが出た!──GQ新着カー
GQ JAPAN
ニコ・ヒュルケンベルグ、今季限りでハース離脱。来季はザウバーから参戦へ
ニコ・ヒュルケンベルグ、今季限りでハース離脱。来季はザウバーから参戦へ
motorsport.com 日本版
「デロリアン」から「大門軍団」そして「ステップワゴン」も!8月発売のアオシマ新製品情報【CARSMEETモデルカー俱楽部】
「デロリアン」から「大門軍団」そして「ステップワゴン」も!8月発売のアオシマ新製品情報【CARSMEETモデルカー俱楽部】
LE VOLANT CARSMEET WEB
マツダが「新型SUV」世界初公開! 次期型「CX-5」登場か!? 新次元の「魂動デザイン」採用した圧倒的“造形美”実現し北京登場!
マツダが「新型SUV」世界初公開! 次期型「CX-5」登場か!? 新次元の「魂動デザイン」採用した圧倒的“造形美”実現し北京登場!
くるまのニュース
日産の謎解きイベントが話題! 「眠っていたブループリント」は5月6日まで。GWは本社ギャラリーに行こう。
日産の謎解きイベントが話題! 「眠っていたブループリント」は5月6日まで。GWは本社ギャラリーに行こう。
くるくら
BMW X5の燃料電池車をゼロエミッションカーに位置付け、実証実験の継続を決定
BMW X5の燃料電池車をゼロエミッションカーに位置付け、実証実験の継続を決定
Auto Prove
トヨタが新型BEVの『bZ3C』と『bZ3X』を世界初公開
トヨタが新型BEVの『bZ3C』と『bZ3X』を世界初公開
レスポンス
新星アコスタは、”MotoGPのフェルスタッペン”になるか。シーズン途中のKTM昇格はある?
新星アコスタは、”MotoGPのフェルスタッペン”になるか。シーズン途中のKTM昇格はある?
motorsport.com 日本版
【ストリーモ】5/4~6に開催される「GINZA SKY WALK 2024」にてストリーモの試乗体験を実施
【ストリーモ】5/4~6に開催される「GINZA SKY WALK 2024」にてストリーモの試乗体験を実施
バイクブロス
ホンダ新型「ヴェゼル」登場! 3年ぶり“刷新”で何が変わった?  オシャグリーンな「ハント」も新設定の「小さなSUV」約265万円から
ホンダ新型「ヴェゼル」登場! 3年ぶり“刷新”で何が変わった? オシャグリーンな「ハント」も新設定の「小さなSUV」約265万円から
くるまのニュース
ホンダが新型EVの『e:NP2』を発売
ホンダが新型EVの『e:NP2』を発売
レスポンス
三菱自動車、欧州でコンパクトSUV「ASX」の大幅改良モデルを発表
三菱自動車、欧州でコンパクトSUV「ASX」の大幅改良モデルを発表
月刊自家用車WEB

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村