「フラストレーションを感じている。レースに勝てるマシンがあったから……」
F1第18戦メキシコGPのレース後、クリスチャン・ホーナー代表はそう言って、5位と6位に終わったメキシコGPを悔しさをかみしめながら、振り返った。しかし、同時にホーナーは「レースに2ストップで行くことは決まっていた」とも語った。
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スタート直後にポールポジションから先頭に立ってレースをリードしていたシャルル・ルクレール(フェラーリ)が4位に終わったように、今年のメキシコGPの正解はミディアムタイヤ→ハードタイヤという1ストップだった。
2ストップが失敗だったことは、フェラーリのマッティア・ビノット代表もレース後、認めている。つまり、予選でマックス・フェルスタッペンが黄旗無視で3番手降格していなくても、そのスタート直後にルイス・ハミルトン(メルセデス)と接触していなくても、今年のメキシコGPでレッドブル・ホンダが優勝する可能性は限りなくなかったことになる。
なぜレッドブル・ホンダは1ストップではなく、2ストップにこだわったのか。それはグランプリ前のタイヤ選択数を見ればわかる。
レッドブル・ホンダはハードはどちらのドライバーも1セットずつしか申告していない。これは事実上、レース前までのセッションで使用する予定がないということだ。
これに対して、メルセデスはハミルトンは1セットだが、バルテリ・ボッタスは2セットのハードを申告している。つまり、フリー走行2回目のロングランでメルセデスはハミルトンがミディアムを、ボッタスはハードのロングランを担当することを意味していた。一方、レッドブル・ホンダはふたりともロングランはミディアムを計画していた。
つまり、メルセデスはミディアム→ハードの1ストップと、ミディアム→ミディアム→ハードの2ストップの2つの選択肢を持ってメキシコ入りし、レッドブル・ホンダはミディアム→ミディアム→ハードの2ストップに決め打ちしていたわけである。
■好走中のアレクサンダー・アルボンが1ストップできなかったワケ
この決定を下した背景に何があったのかをレッドブルは明かさないが、似たような状況は、今年のモナコGPでもあった。メルセデスがふたりのドライバーでメニューを分けてミディアムとハードのロングランを行ったのに対して、レッドブル・ホンダはふたりそろってミディアムでロングランしていた。
モナコGPではハードのロングランデータを過信したメルセデスがレースで失速して、ミディアムのフェルスタッペンの猛追を受けたが、メキシコGPではハードのロングランが勝利に大きく貢献する結果となった。
さらにメルセデスはレース中、「ハードタイヤを履いてスタートしたダニエル・リカルド(ルノー)と5周目からハードに履き替えたフェルスタッペンのペースをモニタリング」(トト・ウォルフ代表)し、盤石の体制で1ストップ作戦を遂行した。
これに対して、レッドブル・ホンダは期せずしてフェルスタッペンがハードを履くことになり、自チームに絶好となるハードタイヤの走行データを取得しながらも、序盤3番手を走行していたアレクサンダー・アルボンに対して、1ストップに作戦を変更させることなく、2ストップのままでレースを進行させた。
この背景として考えられるのは、フリー走行2回目でアルボンがクラッシュして、ロングランをまったく行っていなかったことである。アルボンはメキシコGPが今回初参戦。ハードタイヤだけでなく、ミディアムでもロングランをしていなければ、ミディアム→ハードへの1ストップはあまりにもリスキーだったと考えざるを得ない。
フェラーリもフリー走行2回目ではハードでのロングランをしていなかったが、ふたりのドライバーはどちらもクラッシュすることなく、ミディアムのロングランをしていたため、状況に応じてセバスチャン・ベッテルをミディアムでステイアウトさせることができた。
1年目のルーキーを持つレッドブル・ホンダにとって、フライアウェイ・ラウンドは、メルセデス、フェラーリに比べると、目に見えないハンディキャップがあることが明確に炙り出されたメキシコGPとなってしまった。
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