トヨタが表彰台を独占したラリー・ドイチェランドで、世界を目指す女性ラリーストが感じたこと

■アイドルからラリーストへ！ アイドル梅本まどか選手が感じたWRCのすごさ

2019年のWRC（世界ラリー選手権）第10戦、ラリー・ドイチェランドは、トヨタガズーレーシングWRTが走らせるヤリスWRCの1・2・3位独占という結果となりました。くねくねとしたぶどう畑の中を走ることで知られている、ターマック（舗装路）ラリーにおいてトヨタが圧倒的なパフォーマンスを示したカタチです。

実は、このラリー・ドイチェランドに注目の若手ラリーストが訪問していたのをご存知でしょうか。元SKE48で、現在は地元名古屋を中心にマルチタレントとして活躍している梅本まどかさんです。いえ、今年から全日本ラリーに「DL WPMS Vitz CVT」のコ・ドライバーとして参戦している新進気鋭のラリードライバーですから、梅本まどか選手と書くべきでしょうか。

そんな梅本選手からラリー・ドイチェランドで感じたことのレポートが届きました。現役のラリードライバーだからこそわかるWRCのすごさ、ラリードライバーとして世界を目指すためにクリアすべき課題…。梅本選手の生の気持ちをお届けしましょう。

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「こんな道を走るんだ！！！」

初めてのWRC、サービスパークに行きWRカーを初めて間近で見たり、実際にSS（スペシャルステージ）で使うぶどう畑をコマ図を見ながら走ったりする事ができました。その中で「こんな道を走るんだ！！！」ということが一番印象に残っています。

全日本ラリーのSSをレッキ（試走）する時は、わかれ道で迷う事がほとんどなく、ロードブックを見なくてもほとんど間違えることなく走れるのですが、ドイツのSSはわかれ道ばかりで、路面もターマックだけど、凄く荒れていたり、道幅も狭かったり、傾斜が急だったりとレッキでメモしなければならない所が多すぎて凄く難しそうでした。

ターマックですが、路面に砂や土が出ているのを見て、こうやってもっと前の選手が走ったらここから路面状況も変わっていくんだ……と考えるとWRCの難しさと凄さを改めて感じることができ、とても楽しく貴重な体験ができました。

WRCというのは、本当に凄い事をしているからあんな風にかっこよく見えているのだと痛感しました！

WRカーを間近に見て感じたこと

サービスパークではマシンも観る事ができたのですが、初めて間近で見てそれぞれのマシンからオーラというか、迫力が出ていて、とてもかっこよかったです。トヨタのスタッフの方に、今回WRCの最高峰クラスに初挑戦する勝田貴元選手の乗るヤリスWRCについて教えてもらいながら、近くで見ることができたのですが、全日本ラリーで乗っているヴィッツと変わらない所があったのは意外でした。また、違うクルマなどに使われている物を流用している部分などもあると聞いて驚きました。

WRカーのコ・ドライバー用シートを見ると、思っていた以上も低くマウントされていて、トップクラスのコ・ドライバーはほとんど前が見えなくてもノートが読めると聞いていたのですが、ホントにこの位置なんだと改めてそれを実感しました！

WRCは本当にアットホームな雰囲気

今回、驚いたのはWRCは他の競技よりもメディアインタビューの雰囲気がアットホームだったことです。あまりピリピリした雰囲気はなく、取材を受けながら笑顔な選手もいたり、和やかでした。その雰囲気はWRCならではの感じなんだろうなと感じました。

そんなアットホームな雰囲気とは反対に、トップクラスの選手を間近で見てみるとやはり筋肉の引き締まり方が素晴らしく、元ドライバーの方でも足元をみるとふくらはぎなどの筋肉は普通の人とは比べられないくらい、綺麗についていたのも印象的でした。

今回、いろんな経験が出来、とても貴重な時間でした。初めて左ハンドルの助手席に座りコマ図も観たり、いつもと景色や感じ方も違ったり、ドイツの標識や道路の感じを知れたのも私の中では大きかったなと感じました。

目標はヨーロッパ進出！というのは簡単ですが、実際にWRCを現場で感じてみると、とても難しそうというのが正直な気持ちです。だけど、欧州ラリーの面白さや素晴らしさは実感できました。本当にラリー・ドイチェランドに行くことができてよかったです！！！

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こうしてWRCで刺激を受けた梅本選手。2019年11月に開催されるセントラルラリー愛知／岐阜2019に、板倉麻美選手とタッグを組んでトヨタ・ヴィッツGRスポーツ（CVT）で参戦する予定となっています。地元での活躍に期待しましょう。

まとめ：山本晋也（自動車コミュニケータ・コラムニスト）
写真提供：ウェルパインモータースポーツ／山本佳吾
写真左側：梅本まどか選手／右：板倉麻美選手