現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > ホンダF1山本MD前半戦総括(2)真のトップドライバーとして尊敬するフェルスタッペンとアロンソの相違点

ここから本文です

ホンダF1山本MD前半戦総括(2)真のトップドライバーとして尊敬するフェルスタッペンとアロンソの相違点

掲載 更新
ホンダF1山本MD前半戦総括(2)真のトップドライバーとして尊敬するフェルスタッペンとアロンソの相違点

 山本雅史マネージングディレクターの語る前半戦総括。その2では、シーズン後半戦に向けての期待、そして山本MDがF1において「本当に凄い」と思ったふたりのドライバー、マックス・フェルスタッペンとフェルナンド・アロンソについて語った。

――フランスGPが分岐点ということでしたが、その伏線としてはスペック2、スペック3とパワーユニット(PU/エンジン)を順調にアップデートさせて行ったことがあったわけですよね。
山本雅史マネージングディレクター(以下、山本MD):それは、もちろんです。開幕戦のスペック1に比べれば、馬力と信頼性のバランスも、ずっとよくなっている。性能は確実に上がっているのに、本当に壊れなくなった。

マクラーレン、インディカーで起用するドライバーのF1テスト参加を検討か。アロンソ加入の噂にも言及

――僕らも去年はほぼ毎回、「今日は何があったんですか」と質問したものです。今年は、聞くことがない(笑)。
山本MD:その進歩は、本当に凄いですよね。

――それだけの伸び代は、山本さんにも予想外でしたか?
山本MD:いえ、田辺(豊治/F1テクニカルディレクター)もよく言っていますが、レースは(エンジンを)壊したら台無しになってしまう。チェッカーを受けることが第一です。しかし、田辺は本当に壊さないレースをしています。それは凄いことですし、一方で攻めどころもきっちり見つけたのがオーストリアでした。みんなが一段か二段、成長しました。


――攻めながら壊さないのは、本当に難しいですね。
山本MD:本当です。壊さずに攻める。それをエンジニアたちが、オーストリアで学んだんじゃないかな。

――今までは、そのギリギリのところが見えていなかったのでしょうか。
山本MD:ギリギリというか、コース特性をしっかり把握して、そこに合ったキャリブレーション(調整)を緻密にやっているのだと思います。微妙な勾配とかミューの変化、温度変化への対応、そういうのが全部ドンピシャでできた。そんなことは滅多にないことだし、F1の奥深さなんでしょうね。

――苦手なはずのシルバーストンであれだけ戦えると、スパ(・フランコルシャン/第13戦ベルギーGP)やモンツァ(第14戦イタリアGP)でも期待してしまいます。
山本MD:モンツァは、個人的に期待しています。でもスパは、全開率が高いですからね。まあ、やってみないとわからない。たしかにシルバーストンは、あそこまで戦えるとは思わなかった。なのでどこがいいとか悪いとか、もう言えなくなってるかもしれない。

――ホンダF1の組織改革をしてきて、それがようやく実ったという感じですか。あるいは去年後半に、すでに手応えを感じていましたか?
山本MD:今の浅木(泰昭 HRD Sakuraセンター長)・田辺体制は、本当にいいコンビネーションだと思います。

■真のトップドライバーは、「エンジンも究極の領域まで使う」
――攻めと守りですか。
山本MD:まあ、極端に言うと、そうですね。攻める人だけだと毎回壊れるかもしれないし、そこはバランスですよね。攻める開発者がいて、現場で確実にオペレーションするのが田辺ですね。

――田辺さんに聞いた時は、「特にフランスが、コンサバなモード過ぎたわけではない」ということでした。
山本MD:細かく言うと、4人のドライバーはフォーメーションラップの走らせ方からして、それぞれ違う。そういうのも含めて、もっとコミュニケーションを密に取らないといけないというのが、フランスの教訓でしたね。

――フェルスタッペンだけパワーが落ちたのは、彼の走らせ方が違っていたからですか?
山本MD:そう。使い方ですね。真のトップドライバーは、エンジンにしても究極の領域まで使う。それを実感したのは、マックスでふたり目です。

――ひとり目は?
山本MD:フェルナンド(・アロンソ)でした。インディ500の時に、こいつは本当に凄いなと思った。

――その意味でも本当に、もったいないドライバーですね(笑)
山本MD:いやあ(笑)僕はドライバーとしては、本当にリスペクトしていますよ。ただマックスや、今も日本で走ってくれているジェンソン(・バトン)が本当にそうですけど、ドライバーというのはチームの中心にいてくれないと。そうじゃないと、シーズン全体を戦えない。その辺がフェルナンドは、少しな~という感じでしたね。


――1年に1回の、インディ500ならともかく。
山本MD:そうかもしれない(笑)

■「流れを感じた」というオーストリアGP
――開幕時には、「モナコまでには勝ちたい」と言っていました。
山本MD:そう。それが心残りで。パワーユニットと車体の進化、マックスの腕を持ってすれば、モナコが狙い目だと見ていた。前戦スペインの時は、(低速コーナーの連続する)最終区間しか見ていなくて、今だから言いますけど、「これは、モナコだめかも」と暗くなっていました。

――(スペインでは)メルセデスがぶっちぎりの速さでしたからね。
山本MD:そう。

――でもモナコは、あのペナルティ(2位でフィニッシュも5秒ペナルティで4位に降格)がなければ、堂々とした首位争いでした。
山本MD:ええ。少し慰められました。でもモナコのあとは、正直しばらくブルーでした。凹んでいました(笑)

――その時点では、前半まさか2勝もするとは……。
山本MD:とても思えなかったですね。でも次にみんなの気持ちが高ぶっていくのは、オーストリアかなと思っていました。それで金曜日から、追い風が吹いているのを感じて、その日の夕方に「優勝リリース、用意しとけ」と広報に言ったりしたわけです。流れが、そうでしたね。

 そんなふうに思うことなんて滅多にないし、(2勝目の)ドイツの時はまったく思いませんでした。仕事できているとはいえ、こんなにワクワクさせてもらえるのは本当にありがたい。そのワクワクを、ファンのみなさんと共有できているとしたら、それも本当にうれしいことです。

関連タグ

こんな記事も読まれています

JR中央本線の上空 一夜にして橋が出現! 名古屋‐中津川の国道19号バイパス「瑞浪恵那道路」
JR中央本線の上空 一夜にして橋が出現! 名古屋‐中津川の国道19号バイパス「瑞浪恵那道路」
乗りものニュース
歩行者でも道交法違反になる! マラソンや駅伝の規制中に警察の指示に従わず「コースを横断」は罰則の可能性アリ!!
歩行者でも道交法違反になる! マラソンや駅伝の規制中に警察の指示に従わず「コースを横断」は罰則の可能性アリ!!
WEB CARTOP
電動車ブランドになったヒョンデが、あえて高性能モデル「N」を日本に投入する理由とは?
電動車ブランドになったヒョンデが、あえて高性能モデル「N」を日本に投入する理由とは?
レスポンス
プリウス顔のSUV!!  しかもEVってマジか!!  トヨタ本気のEV攻勢
プリウス顔のSUV!!  しかもEVってマジか!!  トヨタ本気のEV攻勢
ベストカーWeb
日産が新型「エヴォ・コンセプト」世界初公開! めちゃカッコいい「流麗セダン」中国で登場! どんなモデル?
日産が新型「エヴォ・コンセプト」世界初公開! めちゃカッコいい「流麗セダン」中国で登場! どんなモデル?
くるまのニュース
エイドリアン・ニューウェイがレッドブルF1離脱を決断との報道。ホーナー騒動が一因か。チームは2025年末までの契約を強調
エイドリアン・ニューウェイがレッドブルF1離脱を決断との報道。ホーナー騒動が一因か。チームは2025年末までの契約を強調
AUTOSPORT web
ホンダの赤い「新型プレリュード」初公開! “2ドアクーペ”実車展示で反響スゴい!? 25年登場!? 車名復活で米国でも注目
ホンダの赤い「新型プレリュード」初公開! “2ドアクーペ”実車展示で反響スゴい!? 25年登場!? 車名復活で米国でも注目
くるまのニュース
スズキ「GSX-8R」の仕立ては想像超え!! 親しみやすく扱いやすいマルチなポーツバイクだった
スズキ「GSX-8R」の仕立ては想像超え!! 親しみやすく扱いやすいマルチなポーツバイクだった
バイクのニュース
ランドローバー ディスカバリースポーツ、エントリーグレードを追加…2025年モデルの受注開始
ランドローバー ディスカバリースポーツ、エントリーグレードを追加…2025年モデルの受注開始
レスポンス
デカすぎ……レクサスLMは48インチのディスプレイ採用!! もう「高級車=セダン」は時代遅れ? 高額なミニバンやSUVが登場するワケ
デカすぎ……レクサスLMは48インチのディスプレイ採用!! もう「高級車=セダン」は時代遅れ? 高額なミニバンやSUVが登場するワケ
ベストカーWeb
トヨタ「GRヤリス」のマイナーチェンジはフルモデルチェンジに等しい! 初期型ユーザーは買い替えのご準備を
トヨタ「GRヤリス」のマイナーチェンジはフルモデルチェンジに等しい! 初期型ユーザーは買い替えのご準備を
Auto Messe Web
マットモーターサイクルズのニューモデルDRK-01(250/125)受注開始!同社初の水冷エンジン搭載車は6月下旬発売予定
マットモーターサイクルズのニューモデルDRK-01(250/125)受注開始!同社初の水冷エンジン搭載車は6月下旬発売予定
モーサイ
「コイツ、実はクルマです…」馬って公道OKなの!?高速道路は?
「コイツ、実はクルマです…」馬って公道OKなの!?高速道路は?
月刊自家用車WEB
テスラのすべてのモデルが新価格に! Model 3 RWDやModel Y RWDがこんなに安く!
テスラのすべてのモデルが新価格に! Model 3 RWDやModel Y RWDがこんなに安く!
月刊自家用車WEB
渋滞対策の最終兵器! 『渋滞情報マップby NAVITIME』ならリアルタイムで渋滞回避をサポート
渋滞対策の最終兵器! 『渋滞情報マップby NAVITIME』ならリアルタイムで渋滞回避をサポート
月刊自家用車WEB
テスラ、モデル3に価格改定とスポーツ走行まで楽しめる”パフォーマンスモデル”を追加
テスラ、モデル3に価格改定とスポーツ走行まで楽しめる”パフォーマンスモデル”を追加
月刊自家用車WEB
【ドライブグルメ 番外編】2024年、一番うまい「ハイウェイめし」は何? NEXCO東日本「ハイウェイめし甲子園」入賞グルメ表彰式レポート
【ドライブグルメ 番外編】2024年、一番うまい「ハイウェイめし」は何? NEXCO東日本「ハイウェイめし甲子園」入賞グルメ表彰式レポート
Webモーターマガジン
アウディ 150kW急速充電設備の「チャージングハブ」を東京千代田区紀尾井町にオープン
アウディ 150kW急速充電設備の「チャージングハブ」を東京千代田区紀尾井町にオープン
Auto Prove

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村