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F1技術分析ピックアップ:クリーンエアを確保したい6つのチームがハイマウント型アッパーアームを採用

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F1技術分析ピックアップ:クリーンエアを確保したい6つのチームがハイマウント型アッパーアームを採用

 技術ウォッチャーの世良耕太氏が、F1プレシーズンテストで走行した2019年ニューマシンの技術トレンドを解説。今回は過半数のチームが採用しているハイマウント型アッパーアームをウイリアムズを例にして解説する。
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 アップライトから腕を伸ばし、フロントサスペンションのアッパーアームを高い位置にレイアウトするハイマウント型アッパーアームを最初に採用したのは、2017年のメルセデスとトロロッソだった。2018年はザウバー(現アルファロメオ)が追随。2019年はどうなるだろうかと注目していた。

 新たにハイマウント型アッパーアームを採用したのは、ルノー、レーシングポイント、マクラーレン、ウイリアムズの4チームである。一方、トロロッソはコンベンショナルなレイアウトに戻した。

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 整理すると、メルセデス、アルファロメオ、ルノー、レーシングポイント、マクラーレン、ウイリアムズの6チームがハイマウント型アッパーアームを採用。フェラーリ、レッドブル、ハース、トロロッソの4チームがコンベンショナルなレイアウトである。ハイマウント型が過半数を占める。

 空力性能を考えると、ノーズとフロントウイングに挟まれた空間は、できるだけオープンにし、クリーンな空気をリヤに流したい。そう考えたとき、フロントサスペンションのロワーアームはちょうど空気の通り道に位置し、邪魔になる。可能な限り、高い位置にレイアウトしたい。

 ロワーアームの位置を高くすると、アッパーアームとの間隔が狭くなり、コーナリング中に大きな荷重を受け止めるのがつらくなる。2017年にワイドタイヤが導入されてコーナリングスピードが高まると、サスペンションに要求される剛性は高まり、狭いスパンでは厳しくなった。というのが、ハイマウント型アッパーアーム採用の背景にある。



 ハイマウント型アッパーアームの採用でフロントサスペンションの景色が一変したのはウイリアムズだ。2018年のFW41は上下アームのスパンが狭く、強い下反角が付いていた。一転、2019年のFW42は上下のスパンが広く、平行にレイアウトされている。一見して堅牢な作りだ。空力の効果を考えても、サスペンション本来の機能を考えても手堅い設計に見える。マクラーレンも同様で、一気にモダンな設計にシフトした印象だ。

 ノーズの背面から空気を取り込んで上面から排出するSダクトを採用すると、ノーズ下面の空気の流れが良くなるため、そのぶんフロントウイングを寝かせて使うことができる。フロントウイングが寝ればそのぶんアップウォッシュは弱くなり、フロントサスペンションアームとの干渉を避けやすくなる。

 サスペンションの設計は空力の仕様が確定する前にフィックスさせなければならず、必ずしも、フロントウイングが生む作用と合致するとは限らない。空気の邪魔にならない位置に配置したつもりだったのに邪魔になったり、無理して設計したのに、「そこまでしなくてもよかったのに」という状況が待っていたりする。

果たして、2019年型各マシンのソリューションはばっちり当たっているだろうか……。

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