今年のベルギーGPでスタート直後に起きた大クラッシュをFIAが詳細に調査した結果、コックピット保護デバイスのハロが、フェルナンド・アロンソ車(マクラーレン)のフロントウイングとシャルル・ルクレール(ザウバー)のバイザーとの接触を防いでいたと考えられることが分かった。
1コーナーで起きた大クラッシュは、ルノーのニコ・ヒュルケンベルグがタイヤをロックさせ、アロンソに追突したことを引き金に発生。後ろから押されたアロンソは、ルクレールのマシンに乗り上げるような形となってしまった。
■「タイヤがヘルメットに当たっていたかも……」ハロがその役割を果たした、スペインでの牧野×福住の接触
ルクレールのマシンのハロには、アロンソ車の右フロントタイヤが接触し、タイヤマークがべったりと付着。事故の激しさを物語っていた。
FIAは、ビデオ映像やクラッシュに関係した車両のデータから、事故を詳細に分析。最終報告書ではハロが重要な役割を果たし、ルクレールが怪我やさらに深刻な事態に陥るのを防いだと結論づけられた。
事故報告書によれば、2台の相対速度は時速約30km。推定衝突角度は90度だった。アロンソ車の右フロントサスペンションは、ハロとの接触により破損していたものの、右フロントタイヤのリムはダメージを受けておらず、タイヤもパンクしていなかったという。一方でルクレールのマシンは、クラッシュの衝撃により右リヤのサスペンションが破損していたようだ。
仮にホイールが同様の勢いでルクレールのヘルメットにぶつかっていた場合、頭部または頸部に非常に重篤な損傷を与えた可能性がある。
ルクレール車のハロに加わった荷重のピークは推定58kNに及んだ。しかしこれは、FIAが規定する耐荷重要件125kN(2階建てのロンドンバスの重さにも耐える)のうち、46%に過ぎなかった。さらにコックピット保護システムは全体が構造的に無傷であり、使用可能な状態のままだっただけでなく、ザウバーはレース後に問題なくハロを取り外すことができたという。
FIAのコックピットカメラの映像では、アロンソのマシンから飛び散った小さなカーボンパーツ片以外、何もルクレールのヘルメットに接触していなかったとのことだ。
しかしハロがなければ、事故は深刻な事態を招いていただろう。ハロはアロンソのマシンを”逸らす”ことにも役立ったようだ。FIAのセーフティディレクターであるアダム・ベイカーは、motorsport.comの独占取材に応じ、調査結果について語った。
「利用可能なデータとビデオ映像から、(ハロがなくても)ホイールはルクレールのヘルメットに当たらなかったと確信している」
「しかし、アロンソのマシンの角度から考えると、フロントウイングのエンドプレートがルクレールのバイザーと接触したと考えている。ただ、どんなに正確なデータがあったとしても、事故の結果を想定することは困難だ」
今季のFIA F2選手権では、スペインのレース2で牧野任祐(ロシアン・タイム)と福住仁嶺(アーデン)が接触。アロンソとルクレールの一件のように、福住のマシンが牧野のマシンに乗り上げたものの、ハロが牧野の頭部を守っている。
来週末にシーズン5がスタートするフォーミュラEや、スーパーフォーミュラの新車SF19にも搭載が決まっているハロ。見た目が良くないとの批判もあるが、ドライバーの命が第一なのは言うまでもない。
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