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天才すぎるニューウェイ、自由な行動でB-Maxに介入。気になるF1新車開発には「ホンダとの関係に自信があるよ」

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天才すぎるニューウェイ、自由な行動でB-Maxに介入。気になるF1新車開発には「ホンダとの関係に自信があるよ」

 スーパーフォーミュラのシーズン最後のテスト、鈴鹿エンジンメーカー・ルーキーテストが行われた12月5日の昼頃に突如、サーキットに姿を現したレッドブルF1のチーフテクニカルオフィサー“空力の天才”エイドリアン・ニューウェイ。息子のハリソンがこのテストでスーパーフォーミュラを初ドライブするため緊急来日したようだが、サーキットに到着してからの行動があまりにも天才すぎて、チーム側、そしてメディアの話題となった。

 サーキットに到着するやいなや、約1時間半に渡ってB-Max Racing Teamのマシンをつぶさに観察し、右手に握りしめたメモ用紙に何度も書き込むニューウェイ。実際のマシン開発でもCAD(コンピューター・エイド・デザイン)全盛の今、デジタルが発達した現在でも未だに紙とペンで図面を引くという逸話そのままに、紙とペンを常に離さず、見てはメモし、観察しては書き込む姿が印象的だった。

大物の甥と息子。アウアーが語る初日の走行と叔父ベルガーの手書きアドバイス、ハリソンが語る父エイドリアン・ニューウェイ

 セッションが始まってからは、チームのヘッドセットを装着すると、サインガードへ。どうやら無線で何か指示を出し始めていたようで、後にチームから聞くところによると、セットアップなどについて意見を述べていたという。

 そして、その後もニューウェイの自由な行動は収まらない。セッションが終わった後はチームのミーティングに突然参加して、空力面だけでなく車体のセットアップやチーム運営についても意見を述べたようで、息子のハリソンが先にホテルに戻るなか、夜の10時近くまで走行データを解析してチームにアドバイスをしていたという。

 その日の朝に来日したばかりにも関わらず、ニューウェイは異国の地で息子と家族のひとときを過ごすことよりもデータ解析を優先。B-Maxのチームスタッフはその情熱と仕事への一途な姿に驚嘆したという。いや、仕事というよりも、今回のニューウェイ来日は仕事ではなく息子の応援というプライベートでの訪問だったはずだが……。その大きすぎるパッションの源はモータースポーツへの愛なのか、それとも息子への愛なのか、気になるところだ。

 もしかしたら現在のシステマチックなF1で仕事の範囲が限られ、そしてファクトリーで開発に明け暮れる日々を過ごしているニューウェイにとって、日本のスーパーフォーミュラにモータースポーツの原点回帰的な昔ながらの雰囲気を感じ、プライベートでの訪問にも関わらずなにかのスイッチが入ってしまったのかもしれない。

 そんな、誰もが驚く精力的な行動をするニューウェイに、スーパーフォーミュラの印象、そしてもちろん、気になるレッドブル・ホンダの2019年ニューマシンの進捗状況について聞いた。

「まず、このクルマはとても速いよね。コーナリングは、F1とほぼ同じということで、とても印象的だ。それにこのカテゴリーもいいシリーズだと聞いている。多くのヨーロッパのドライバーが、自分を磨くのに適したカテゴリーだと認識しているし、私も今回、日本に来ることができて満足しているよ」と、まずはスーパーフォーミュラの好印象を語るニューウェイ。

「もちろん、このカテゴリーのことは知っていたし、レースがあるたびに情報は得ていた。それに、息子がニック・キャシディと友人だから、彼からもいろいろな話を聞いている。FIA F2と同様にとてもいい環境だし、息子にとっても、いい機会だと思う」

「F1直下のカテゴリーとしては、この選手権はトップに位置する選手権のひとつだと思う。(まだ来年のことは決まっていないけど)息子のハリソンも、来年、もちろんこのカテゴリーで走りたいと望んでいるし、ものすごく期待しているよ」とニューウェイは続ける。

■スーパーフォーミュラのマシンについてのニューウェイの視点
 さらに、つぶさに眺めてスケッチしていたスーパーフォーミュラのマシン、SF14について聞いた。

「クルマ自体ということで見た場合、SF(スーパーフォーミュラSF14)の方がFIA F2よりもいいクルマだ。まず何よりも、SFの方が重量がうんと軽い。それに、より大きなダウンフォースを発生させられると思う。そしてヨコハマタイヤはグリップがより安定している。それらを合わせて、より良いパッケージになっていると思う」

「自信を持って言えるのは、SFとFIA F2をサーキットで戦わせたら、SFの方が速いっていうことだね。それにラップタイムだけでなく、SFではドライバーがすぐに学習に入ることができる。より安定したタイヤとより大きなダウンフォースを経験することで、F1に向けての準備ができると思う」

「もし、SFでトップレベルで戦えるまでになったら、マニュファクャラーにも認められて、プロのドライバーになることができるだろう。お金を払って乗ることはなくなる。でも、FIA F2の場合は、それは不可能だ。FIA F2に乗ろうと思ったら、誰でも多額の資金を持ち込むことが必要なんだ」と、溢れるようにマシンについてのコメントを話すニューウェイ。

 気になる、クルマを見ながらメモを取っていた内容については、「チームと仕事をしていく上で、パフォーマンスを上げられる可能性があるちょっとしたことだよ。このクルマはホモロゲートされているから、F1と比べたらできることは限られる。だけど、僕が長年モーターレーシングで培ってきた経験を、チームが仕事を進める上で少し役立てられればと思ってね」

 初日は朝に羽田に到着して、鈴鹿まで移動し、そのまま夜中までチームとどのような作業を進めていたのか。

「昨夜は、たしかにチームとともに夜の10時頃までサーキットにいて、セットアップについての話をした。そして実際、今朝はセットアップの変更もしている。その結果、クルマが良くなっていたなら嬉しいね。B-Max Racing teamとドイツから来たモトパークの新しいコラボレーションは始まったばかりだし、最良の結果を引き出すために、両方のチームの専門家のノウハウをうまく活かしていかなければならない」

「ルーカス・アウアーも僕の息子のハリソンも、ここでは新人ドライバーだ。クルマの最大限を引き出すために、彼らはこのクルマをどうやって運転するかということやコースについて学ばなければならない。特に、日本のコースに対しての知識がないわけだから、コースを知ることがもっとも重要なことのひとつだ。昨日からテストを見ていて、このシリーズはとてもコンペティティブだと思うし、何人もいいドライバーがいる。だからこそ、もしハリソンとルーカスが、ここで力を見せることができれば、彼らはドライバーとしてハイレベルだということになるよね」とニューウェイ。

 そしてやはり日本のモータースポーツファンとして気になるところは、来年、2019年から始まるレッドブル・ホンダのニューマシンの手応えだ。

■レッドブル・ホンダのニューマシンについて「ホンダとの関係には自信があるよ」
「それは来年3月のメルボルンで話してあげられると思うよ(笑)。僕らシャシーサイドにすると、今、何かを話すということはできないんだ。この何年か、僕らのシャシーは良かったけど、このオフの間に大きなレギュレーション変更がある。フロントウィングやフロントのブレーキダクト、バージボードに関して変更が行われるのだ。その部分はマシンのダウンフォースに重要なエリアなので、ものすごく重要な変更だ。小さなことのように聞こえるけど、本当に大きな変更なんだよ」

「レギュレーションの変更があった時はいつもそうだけど、ライバルと比べて、それに対して上手く対応できているか、あるいはできていないかというのは、走り出すまで分からない。最初のレースに行ってみないと、ハッキリしないんだ。ただ、ルノーからホンダにパワーユニットが変わることになり、ホンダの人たちと働けることに対して、とてもワクワクしているっていうことは言えるね」

「ホンダの人たちはとても情熱があって、仕事熱心で、僕たちの目から見てもパワーユニットはレースごとにとてもよく進化して来ている。だから、僕らはきっと上手くいくと信じているよ」

「最終的にシャシーとパワーユニットの両方があって、初めてひとつのパッケージだから、どうやってエンジンを据え付けるのが一番いいのか、ドライバビリティや特徴はどうなのか、またシミュレーションをして、ホンダがどういうシャシーの特徴を求めているか、お互いにの理解を深め合っている。すでにとてもいい関係を築けていると思うよ。この先もさらに良くなっていくということに対して、自信を持っているよ」とニューウェイ。

 世界のモータースポーツ界で長年、君臨するマシンデザイナーのトップとして君臨するニューウェイの言葉だけに、リップサービスが含まれていようとも、どうしても期待が高まってしまう。

 この勢いなら息子ハリソンのスーパーフォーミュラ参戦が決まった際には、国内のサーキットでも父ニューウェイが訪れる可能性は高そうだ。F1だけでなく、国内モータスポーツでもニューウェイの存在感は日本で高まることは間違いなさそうだ。

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