現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > JSB1000最終戦でヤマハに一矢報いたホンダ。2019年シーズンは雪辱を果たせるか/全日本ロード

ここから本文です

JSB1000最終戦でヤマハに一矢報いたホンダ。2019年シーズンは雪辱を果たせるか/全日本ロード

掲載 更新
JSB1000最終戦でヤマハに一矢報いたホンダ。2019年シーズンは雪辱を果たせるか/全日本ロード

 全日本ロード最終戦鈴鹿大会JSB1000クラス・レース1でTeam HRCの高橋巧が挙げた1勝。今年、ファクトリー体制を採ったホンダにとって、チャンピオンを獲り逃したという意味では遅きに失した、たったひとつの勝利だった。だが、YAMAHA FACTORY RACING TEAMの中須賀克行に一矢報いることができ、来季に向けて重要な1勝でもあった。最終戦を終えたTeam HRCの高橋巧と宇川徹監督に聞く。

「今朝、外を見たら雨が降っていて……。今年最後のチャンスをくれたのかなって」。決勝レース1で優勝した高橋巧は、レース後の記者会見でそう言った。クールな彼らしく、表情は変えない。「次も勝つ」といった大きなことも言わない。だが、「朝のフリー走行から(スロットル)全開で、レース中もスタートしてから100%で飛ばしました」と、胸の内に熱いものがあったことを明かした。

ホンダ、2019年の2輪世界選手権体制を発表。モリワキと清成龍一がSBKに参戦

 高橋は2017年の全日本ロードJSB1000クラスのチャンピオンだ。9年目にしてようやくもぎ獲った悲願のJSB1000クラスのタイトルだったはずだが、喜びに浸ることはなかった。全9レース中、高橋は2勝。一方、最大のライバルである中須賀は3度のリタイアが響きランキングこそ6位に沈んだものの、5勝を挙げていたのだ。「完敗です」と高橋。王者になった歓喜より、反省の方がはるかに大きいシーズンだった。

 2018年はゼッケン1をホンダCBR1000RRWに掲げ、10年ぶりのファクトリー体制でシーズンに臨んだ。開幕前、「これまでの自分が積み重ねてきたものを信じて、変えるべきところは変えて、ライバルを負かしたい」と語った。“ライバル”とは、もちろん中須賀のことである。だが、中須賀はあまりにも強かった。最終戦までに開催された決勝9レース中、8勝を挙げたのである。2位が5回の高橋は、勝つことが義務付けられたファクトリーチームにあって、まったく太刀打ちできなかったと言っていい。

 それでも、最終戦に臨む高橋は、いつもの高橋であり続けた。予選では中須賀とともに2分4秒台の自己ベストタイムをマークしながらも、決勝に向けては「大きいことは言いたくない」とあくまでもクール。さりげなく「今年1番の勝負を仕掛けられると思う」とだけ語り、自信を窺わせた。そして、それは現実となった。
 11月4日、鈴鹿地方は雨の朝を迎えた。高橋は「恵みの雨だ」と思った。最終戦に向けての事前テストでは雨の走行機会もあり、手応えをつかんでいたのだ。「今年最後のチャンスをくれたのかな」。高橋は攻めた。雨のウォームアップ走行は「全開だった」と中須賀を抑えてのトップタイム。さらに決勝レース1は「最初から100%で飛ばして、差が開いてからは無理せずペースを抑えた」という力強さで中須賀を完全に抑え、8秒差で今季初優勝を果たしたのである。

「HRCが復活して勝てないまま終わったら、さすがに自分としてもまずいし、ホンダにも申し訳ないと思っていた」と高橋。1勝を挙げた喜びや安堵よりも「レース2に向けて気持ちを切り換える」と、気を引き締めていることを強調した。しかし、決勝レース2はウエットから徐々に路面がドライになるという難しいコンディションに。ピレリのインターミディエイトタイヤを履くKYB MORIWAKI MOTUL RACINGの清成龍一がタイヤの強みを生かし、他をまったく寄せ付けない走りで独走優勝した。中須賀が2位、高橋は3位だった。

「スリックタイヤでサイティングラップに臨み、コース状況を判断してレインタイヤに交換しました。それは正解だったけど、異次元の人(清成)がいたから……(笑)。悔しいけど、素直に『おめでとう』と言えます」と、清成の手が付けられない速さに脱帽した高橋。清成のみならず中須賀にも敗れたが、「全力で走った結果。この差を埋められるように、そして追い越せるように、努力したい」と淡々と語った。

■宇川監督、2019年は「まだまっさらな状態」
「シーズン全体で言えば、完敗ですね」と率直に認めるのは、Team HRCの宇川徹監督だ。「最後の大会で優勝できたのはうれしい。でも、1回しか勝てなかったわけですから、やはりすごく悔しい」。敗因については、「準備不足が大きかった。『どれ』ということはなく、複合的にいろんな要素が絡み合っての結果だと思っています。ただ、『終わりよければ何とやら』ですし、最終戦に向けて調子が上がっていたのも確か」と前向きさも見せた。

 チャンピオンを獲得しながら、高橋が“完敗”と認めざるを得なかった、2017年。そして1勝しか挙げられず宇川監督が“完敗”と悔しがることになった、2018年。2019年について「いろいろな噂も聞こえてくるが、まだまっさらな状態」と宇川監督。決まっているのは、たったひとつの勝利を足がかりにTeam HRCが雪辱を果たすシーズンになる、ということだ。

関連タグ

こんな記事も読まれています

【ホンダ フリード 新型】「ちょうどいい」使い勝手と見た目をさらにアゲる、純正アクセサリー公開
【ホンダ フリード 新型】「ちょうどいい」使い勝手と見た目をさらにアゲる、純正アクセサリー公開
レスポンス
日産「新型スポーティ“セダン”」世界初公開! “4連テール”が超カッコイイ! 美ボディすぎる「エポック」中国での発表に反響集まる
日産「新型スポーティ“セダン”」世界初公開! “4連テール”が超カッコイイ! 美ボディすぎる「エポック」中国での発表に反響集まる
くるまのニュース
あんなトラック、こんなトラック、はたらくくるまやデコトラも…ジャパントラックショー2024 開催中!
あんなトラック、こんなトラック、はたらくくるまやデコトラも…ジャパントラックショー2024 開催中!
レスポンス
ボルグワーナーの電動トルクベクタリングとディスコネクト機能を備えた3 in 1ユニットをポールスターに供給
ボルグワーナーの電動トルクベクタリングとディスコネクト機能を備えた3 in 1ユニットをポールスターに供給
Auto Prove
スライドドアのためだったのか!! [新型フリードクロスター]に巨大フェンダーが付いたワケ
スライドドアのためだったのか!! [新型フリードクロスター]に巨大フェンダーが付いたワケ
ベストカーWeb
マイナーチェンジしたばかりのラングラーに試乗できます! ジープ出展情報【ル・ボラン カーズ・ミート2024 横浜】
マイナーチェンジしたばかりのラングラーに試乗できます! ジープ出展情報【ル・ボラン カーズ・ミート2024 横浜】
LE VOLANT CARSMEET WEB
フェルスタッペン、ライバルからの“レッドブル崩壊説”を意に介さず。しかし自身の去就には含み「世の中に絶対はない」
フェルスタッペン、ライバルからの“レッドブル崩壊説”を意に介さず。しかし自身の去就には含み「世の中に絶対はない」
motorsport.com 日本版
4ローター500馬力のRX-3ワゴンが快音ドリフト!マッドマイクのD1GP復帰戦に注目
4ローター500馬力のRX-3ワゴンが快音ドリフト!マッドマイクのD1GP復帰戦に注目
レスポンス
マツダ「コスモスポーツ」の復活!? ロータリーエンジン&「旧車風デザイン」採用! 300万円台で登場予定も? 「コスモ21」に今でも支持寄せる声
マツダ「コスモスポーツ」の復活!? ロータリーエンジン&「旧車風デザイン」採用! 300万円台で登場予定も? 「コスモ21」に今でも支持寄せる声
くるまのニュース
【MotoGP】クアルタラロ「予選Q2へダイレクト進出……でもどうやったか分からない」フィーリング一変の謎追う|フランスGP
【MotoGP】クアルタラロ「予選Q2へダイレクト進出……でもどうやったか分からない」フィーリング一変の謎追う|フランスGP
motorsport.com 日本版
ラルグスの軽自動車向け車高調キット「SpecK」にホンダ『トゥデイ』用登場
ラルグスの軽自動車向け車高調キット「SpecK」にホンダ『トゥデイ』用登場
レスポンス
追加メーターは雰囲気作りのアイテムじゃない! 純正の警告灯じゃ足りない「エンジンブロー」を防ぐ大切な役割とは
追加メーターは雰囲気作りのアイテムじゃない! 純正の警告灯じゃ足りない「エンジンブロー」を防ぐ大切な役割とは
WEB CARTOP
ダイハツ「斬新オシャレ軽トラ」がスゴい! “丸目”レトロデザイン×屋根なし仕様!? めちゃカワイイ「バスケット」とは
ダイハツ「斬新オシャレ軽トラ」がスゴい! “丸目”レトロデザイン×屋根なし仕様!? めちゃカワイイ「バスケット」とは
くるまのニュース
自動車レースはゴルフのように男女別にすべきか。“変革期”の今だからこそ聞く、女性モータースポーツ界の目的地
自動車レースはゴルフのように男女別にすべきか。“変革期”の今だからこそ聞く、女性モータースポーツ界の目的地
motorsport.com 日本版
圏央道に「インターもう1つ!」千葉県&成田空港が要望 “アクアライン直結”目指す新IC構想とは
圏央道に「インターもう1つ!」千葉県&成田空港が要望 “アクアライン直結”目指す新IC構想とは
乗りものニュース
マツダが“赤い”新型「和製スポーツカー」実車展示! “市販化”進むロータリーマシン!  RX500&RX-EVOLVとの関係は? 白もある「アイコニックSP」とは
マツダが“赤い”新型「和製スポーツカー」実車展示! “市販化”進むロータリーマシン! RX500&RX-EVOLVとの関係は? 白もある「アイコニックSP」とは
くるまのニュース
ホンダが「アウトドアにちょうどいい」小型ミニバン初公開! アクティブなルックスの「フリードクロスター」は“SUVのようなゴツさ”が魅力的
ホンダが「アウトドアにちょうどいい」小型ミニバン初公開! アクティブなルックスの「フリードクロスター」は“SUVのようなゴツさ”が魅力的
VAGUE
初めてバイクを買う人必見!新車と中古車のメリット・デメリット
初めてバイクを買う人必見!新車と中古車のメリット・デメリット
バイクのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村