ヤマハの連敗街道驀進が止まらない。バレンティーノ・ロッシが2017年第6戦のオランダGPで優勝したのを最後に、2018年第14戦のアラゴンGPまで23戦ものあいだ、ヤマハ陣営は勝利から遠ざかっている。特に今回のアラゴンGPは、現在の混迷を象徴するようなレースウィークになった。
金曜の走行初日は、2回のFP(フリープラクティス)を終えてロッシが9番手、マーヴェリック・ヴィニャーレスが10番手。ともにこの日のトップから、1.1秒のタイム差があった。今回の会場、モーターランド・アラゴンでヤマハとドゥカティは3週間ほど前にテストを実施している。ドゥカティ陣営が昨年まで苦手としていた当地の攻略を進めトップタイムを争っているのと対照的に、ヤマハの両選手はテストの成果を発揮できない滑り出しになった。
ヤマハの苦難続く。ロッシ、予選の戦略失敗で18番手「自分でQ2に行ける力はなかった」|MotoGPアラゴンGP
10番手タイムで初日を終えたヴィニャーレスは「テストの時はすごく良い手応えで、気持ちよく乗れていた。でも、今日はグリップがゼロだった」と、一日の走行を終えた夕刻に話した。
「コーナー進入でリアがすべるので、バイクを止められないから旋回もできない。温度条件の高さが(この日の苦戦の)理由だとは思わない。テストのときはもっと暑かったから」
この日10番手のロッシは「路面のグリップが低いと、ヤマハは他陣営よりも大きな影響を受ける。さらに問題なのは、舗装が新しくて温度条件も良くてグリップが完璧な状態でも、ヤマハファクトリーはホンダやドゥカティのファクトリーよりも遅い、というところ」と冷静な口調で指摘した。
土曜のセッションでは、金曜に見えていた予兆がさらに深刻な形で露呈した。予選の振り分けが決定する午前のFP3を終えて、ヤマハはファクトリーとサテライトの全員がグリッド上位を争うQ2への進出を逃した。最上位のヴィニャーレスが11番手、ロッシはサテライト勢のヨハン・ザルコよりも低い18番手タイムに留まった。ドゥカティ、ホンダ、スズキのファクトリー選手全員がQ2進出を果たしているのと比較すれば、このヤマハの苦戦はさらに際立つ。
予選では、〈遅い組〉の14名で競うQ1からQ2へ勝ち上がれる2名の枠にヴィニャーレスが入ったものの、それでも予選総合11番手。ドライコンディションでは2006年オランダGP以来の18番グリッドという低位に沈んだロッシは、この日を終えて「現状ではトップテンを狙うのはきびしそうなので、ポイント圏内(15位)を狙うのが明日の目標になるだろう」と述べた。
この言葉を聞いたときには、これほど弱気な彼の発言はヤマハではひょっとしたら初めてかもしれない、とふと思ったのだが、それほどまでに今の彼らは出口が見えない状態なのかもしれない。
日曜の決勝では、ロッシはさすがに底力を発揮して8位でレースをまとめたが、それでも優勝争いを繰り広げたマルク・マルケスやアンドレア・ドヴィツィオーゾ、アンドレア・イアンノーネ、というホンダ、ヤマハ、スズキのファクトリー選手たちからゴールタイムで15秒も離されていた。
「レースはコンスタントなペースで走れて、昨日は厳しいと思っていたトップテン圏内で終えることができた」とポジティブな面も語ったものの、「問題は去年のアラゴンは5位だったけど、今年は8位。マルケスとドヴィツィオーゾ(のゴールタイム)は去年より10秒速くなっているのに、自分たちは1秒速いだけ。(このような状態では)トップチームとしてモチベーションを維持するのは難しい」と白旗を揚げた状態であることを明かした。
10位でレースを終えたヴィニャーレスに至っては、「正直なところ、目標を見失ってしまった」とまでレース後に述べた。
「(シーズン終盤の5戦は)Q2進出を目標に戦う。ここ数戦はそれすら難しいわけだから。勝てると思って戦えないし、優勝という望みはすでに何戦も前になくなってしまった。だから、まずはQ2に進出することを目指して走る」
ことほど左様に、現在のヤマハは負のスパイラルから抜け出せない状況が続いている。ここからの巻き返しを図るには、クロスプレーンクランクシャフトを導入して劇的な復活を見せた2004年以上の、なにかドラスティックな大変革が必要であることは間違いないだろう。
それはおそらく人材面や技術面といった各論ではなく、例えていえば戦力の逐次投入という悪手を廃して総力戦に持ち込み、短期間で一気に二百三高地を攻略した児玉源太郎のような、大局的で大がかりな発想の転換が求められているのかもしれない。
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