ハミルトン、オコンの躍進を称え「資金優先のF1組織構造は間違っている」と苦言／F1ベルギーGP

　メルセデスのルイス・ハミルトンは、ベルギーGPの予選で3番グリッドを獲得したエステバン・オコン（レーシングポイント・フォースインディア）を称え、彼にはトップクラスのマシンが必要だと語った。そしてその一方で、ハミルトンは実力よりも資金が優先されるF1の構造に苦言を呈した。

　メルセデスの育成ドライバーでもあるオコンは、ドライコンディションからウエットコンディションへと変化した予選で速さを見せ、3番手を獲得した。

　だがF1での彼の将来の見通しは、非常に複雑なものになっている。ランス・ストロール（ウイリアムズ）の父親であるローレンス・ストロールが率いるコンソーシアムが、サマーブレイク前に破産申請を行ったフォースインディアを買収したことにより、息子のランスはフォースインディアに移籍するとみられている。

　これによりオコンがフォースインディアのシートを失う可能性も高まった。またルノーがダニエル・リカルド（現レッドブル）を獲得したため、オコンのルノー移籍が実現することもなくなった。

　オコンの状況についてどう考えているのかとmotorsport.comがハミルトンに尋ねると、彼は次のように答えた。

「僕はいつだってエステバンのサポーターだ。彼がどうやって自分自身を導いてきたのか、トラック上でどのようなパフォーマンスを発揮しているのかを見れば、彼が非常に優秀なドライバーだとわかるだろう」

「残念ながら、僕らはF1という奇妙な場所にいる。ここではいくつかのチームが将来有望な若手よりも、お金を優先するんだ」

「どれくらいの資金が分配されるかという点で、このスポーツの構造が間違っているかもしれないということだ」

「僕は、誰がどこのチームとサインしたとか、どのシートが空いていると書かれた記事を読んでいないけれど、彼（オコン）はトップドライバーのひとりなので、トップクラスのマシンが必要だ」

「より多くのお金を持っているドライバーを、より優秀なドライバーの前に出してはならない。そういうことは起こるべきではない。F1の運営組織は間違いなく、どうにかしてこれに対処しなければならない」

　予選後、F1の国際映像はオコンとセバスチャン・ベッテル（フェラーリ）の会話をとらえた。そこでオコンは、彼のフォースインディアのシートが来年はランス・ストロールのものになることを概ね認めていた。

　両者の会話は以下のとおりだ。

ベッテル：来年は？　（シートは）まだ見つかっていないの？

オコン：ないね。

ベッテル：ここ（フォースインディア）にいるの？　いないの？

オコン：いない。シートは持っていかれた。

ベッテル：本当に？　誰に？

オコン：当ててみてよ！　その人はそれ（シート）を買ったんだ！

ベッテル：だろうね。でももうひとりは……？

オコン：もうひとり（セルジオ・ペレス）はお金を持ち込んでいる。　

　オコンについてベッテルにも尋ねたところ、今回の予選でのパフォーマンスは、”どこかのチームにオコンと契約することを検討させるような”ものであったとベッテルは話した。

「外部から判断するのは難しいけれど、彼は全てのことを適切にこなしていると思う」

「今回の予選で経験を積み、3番手を獲得するというのは、とても申し分ないことだ。とても混乱していてミスをしやすい状況下で、それを十分に証明できただろう」

「落ち着いているというのは極めて重要なことだ。それこそが、彼がやってのけたことだ」

　一方オコン自身は、ハミルトンとベッテルのコメントを聞いて”最高だ”と語った。

「確かに、今の時点で僕の将来は確定していない。来年自分がどこにいるのか、何をしているのかもわからない。唯一僕にできることは、トラック上でうまくやり、集中して、これまで通り自分の仕事をしてベストを尽くすことだ」

「もしF1で申し分ない仕事ができれば、チームはそのドライバーを軽視できないし、そのドライバーを起用する必要がある。だから僕はそうしようとしているんだ」