今季からホンダ製のパワーユニットを使うトロロッソ。今季ここまで、浮き沈みは大きいものの、第2戦バーレーンGPでは4位に入るなど、高い戦闘力の兆しを見せている。
トロロッソとホンダのパートナーシップ、これを円滑に進めるべく、チーム代表のフランツ・トストは、シーズン開幕前にトロロッソのスタッフたちに対し、日本人と付き合う術を伝授する”セミナー”を行ったという。ただ、オフシーズンからここまで、両者の関係がうまくいっている理由は、何もそれだけではない。ピエール・ガスリーが昨年来日し、スーパーフォーミュラを戦ってきたという経験も、今年のチームに活かされている。
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昨年、ルノー製パワーユニットを使っていたトロロッソは、ルノー側のサポートが不足しているとして不満を訴えた。特にシーズン終盤には、実際にトラブルが発生したり、パーツの製造が追いつかないため新パーツではなく修理品での対応となったこともあった。これによりチームは勢いを失い、最終的にはコンストラクターズランキングで、ルノーのワークスチームに逆転されるという結果となった。
「昨シーズンの終盤、僕らは(ルノー)エンジンの問題に悩まされ、かなり厳しい状態だった」
そうガスリーは語る。
「でも、今年はチームの全員にとって、大きなチャレンジになるだろう。なぜなら僕らはもはやカスタマーチームではないからだ。これまでの(自動車メーカーとの)関係とは全く異なる」
「僕らはホンダと同じ目標を持っている。そして、日本人とイタリア人が、共にひとつのチームとして働いていることを実感している。その雰囲気と原動力は、とてもポジティブなものだ」
「日本人スタッフたちは懸命に働いている。なぜなら彼らは、自分たちはまともなエンジンを作ることができるということを、世界中に示したいからだ」
ガスリーはホンダについて、そして日本人について、次のように付け加えた。
「僕にとっては、日本人のエンジニアは、共に仕事をする上では最も働きがいのある人たちだ。もし目標があれば、たとえ1日20時間働かねばならなかったとしても、彼らはそれを達成するために働くだろう。彼らは、すべてのことを試すんだ」
ホンダとの仕事を始めたばかりのトロロッソ。その組織をうまく働かせていく上で、自分自身が重要なポジションにあるということを、ガスリーは理解している。
2016年にGP2のチャンピオンに輝いたガスリーは、翌2017年にF1昇格を果たすことができなかった。レッドブルには、まだ時期尚早だと判断されたのだ。そのためガスリーは活躍の場を日本に求め、スーパーフォーミュラに参戦した。
ガスリーはこのスーパーフォーミュラに、懸命に取り組んだ。そして技術的、文化的な課題を乗り越え、シーズン2勝を挙げて、チャンピオンとなった石浦宏明を0.5ポイント差まで追い詰めたのだった。
前述の通り、トスト代表は冬の間に日本人と接するためのセミナーを行った。しかしガスリーは、日本人との付き合い方を、すでに経験していた。
「1年前には、日本に住んで、そこで働くことがどのくらい役に立つのかは分からなかった」
そうガスリーは正直に語る。
「僕はどういう風にコミュニケーションすればいいのか、そして信頼を得るためにどうやってアプローチすればいいのかということをたくさん学んだ。率直かつ、正直でなければならないんだ。しかも、ヨーロッパとは全く異なる方法でね」
「ホンダと共にスーパーフォーミュラを1シーズン戦ったおかげで、今の信頼を築くのに役立った。去年の初めに出会ったエンジニアがいる。そして僕らは既に、仕事する上で良い関係になっているんだ。それがうまくいけば、すべてのことをより容易に進めていくことができるようになるだろう」
ガスリーは昨年の後半、ダニール・クビアトのシートを奪う形でF1デビューを果たした。クビアトは、1周目に他車と接触することが多かったが、ガスリーはこれまで、そういったシーンを演じていない。
「すべての周回が大事だということは分かっている」
そうガスリーは語る。
「僕は出来る限り多くの距離を走らねばならなかった。それこそが、経験を得たり、クルマから色んなことを学んだり、成長していく方法なんだ。もしターン1でレースを台無しにしてしまえば、チームにとっても良いことじゃないし、何も学ぶことができない。僕は毎週末、賢い方法でレースを組み立てようとしている」
「でも、今年は去年とは少し異なるだろう。フル参戦だし、マシンのこともよく分かっているから。チャンスがあったとしても、状況に応じてどのくらいのリスクをとるのか、それを理解していないといけない」
では、彼は人を押しのけていく準備ができているのだろうか? 結局のところ、危険を犯すことができるとして、評判になるようなドライバーなどいない。
「その通りだよ」
ガスリーは悪戯っぽく、ニヤリと笑いながらそう答えた。
「クラッシュしなきゃいけないということを意味するわけではない。でも、そういう(ライバルを押しのけていく)こともできるということを、見せなきゃいけないんだ……」
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