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5年で一割増! 東京オートサロンの多様性が日本の自動車文化を示す

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5年で一割増! 東京オートサロンの多様性が日本の自動車文化を示す

■スポーツカーだけじゃない、ポジティブな「自己満足」がオートサロン的世界を広げる

自動車業界最大のお祭りといえる東京オートサロン。金土日の3日間で開催されるのは例年通り、そして2019年は過去最高の入場者数を記録した。

carview! 東京オートサロン2019特集

【東京オートサロン入場者数の推移】
2014年 29万6714名
2015年 30万9649名
2016年 32万5501名
2017年 32万4400名
2018年 31万9030名
2019年 33万666名

幕張メッセで開催された当初は、西・中・東の3ホールが展示スペースとなっていたが、北ホールや国際会議場など幕張メッセの全施設を使うようになり、2015年には初めて3日間での入場者数が30万人を突破。その後、若干の停滞感はあったが、2019年にはついに入場者数が33万人を超えた。社会全体としてはクルマ離れが叫ばれているが、熱心なクルマ好きは、よりアクティブになっていることを、この数字は明確に示している。

もちろん、クルマを趣味と感じている人が増えていることもあるだろうが、こうした入場者数の増加には、オートサロンの世界がチューニングやドレスアップだけではなくなっているからだろう。はやり言葉を使えば「クルマ趣味のダイバーシティ」にオートサロンが対応してきているから、多くの入場者数を集めていると考えられる。

■展示される車両の多様化が進んでいる

オートサロンが晴海の国際展示場で開催されていた頃で記憶が止まっていると、スポーツカーをベースに速さを競うチューニングカーが並んでいるショーと思いがちだが、それはオートサロン的世界のごく一部。900台を超えるショーカーは、いずれも趣味を追求した仕上がりで、どれも方向性が微妙に異なっていたり、クロスオーバーしていたりする。もともとのオートサロン的な世界に近いチューニングカーでも、純粋に速さを追求したクルマもあれば、速さとカッコよさをバランスさせたクルマもありといった具合だ。もともとカスタマイズというのは自己満足の世界ではあるが、いち早く多様化を認める文化が進んだのがオートサロンで、それぞれの自己満足をポジティブに評価する土壌が育っていた。

さらに、クラシックカーなどの旧車を、それぞれのこだわりでモディファイしたクルマも増えてきている。もちろん、ミニバンやセダンのドレスアップも増えているし、ランボルギーニなどのスーパーカーをカスタムした車両も健在。2019年はスズキの新型ジムニーがベース車として多く採用されていたのも印象的だ。モータースポーツで活躍するレーシングカーの展示も多く、ドライバーのトークショーも多くのブースで開催されていた。新しいもの、古いもの、カッコイイもの、速いもの……様々な価値観が存在している。しかも、趣味が違っていてもお互いを否定しない雰囲気がオートサロンの特徴で、それもショーを盛り上げるのに一役買っている。

■小さなショップの力作が高い評価を受けるケースも

オートサロンといえば、自動車メーカーが新車を発表(ティザー的なチラ見せも含めて)する場とし活用しているのは知られているところで、2019年もトヨタが擬装した新型スープラを展示していたし、マツダは北米の純正アクセサリー装着車というエクスキューズ付きで新型のMazda 3を展示していた。日産もリーフやエクストレイルのオーテック仕様を並べていたし、ダイハツのコペンクーペに目を奪われたという人も少なくないだろう。

しかし、オートサロン出展車906台から来場者の投票によって選ばれる東京国際カスタムカーコンテンストの結果を見ると、自動車メーカーや大手のカスタマイズメーカーが評価されているというわけではない。チューナーやビルダーが精魂込めて作り上げたカスタムカー、学生の卒業制作、自動車メーカーのコンセンプトカーが同じ土俵で評価され、自動車メーカー製だからといって高い評価になるとは限らない。むしろ小さなショップの力作がメーカー製のカスタマイズ仕様より高い評価を受けるケースが珍しくない。

バックボーンに影響されず、「いいものはいい」と純粋に評価できる来場者の忖度のない確かな目が、「クルマ趣味のダイバーシティ」としてのオートサロンの世界観を守っているといえる。押しつけではなく、ボトムアップ的なユーザー目線での多様性が進んでいるといえる。だからこそ、日本の生んだ自動車文化を象徴するショーとなっているのだ。

文:山本晋也
自動車コミュニケータ・コラムニスト

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