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マツダの美しいコンセプトカーが示すFRプラットフォームの未来(東京モーターショー2017)

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マツダの美しいコンセプトカーが示すFRプラットフォームの未来(東京モーターショー2017)

11月5日に第45回東京モーターショーが閉幕した。前評判では盛り上がりに欠ける出展内容になるのでは? という心配の声もあり、また一般公開の初日に台風直撃となるなど不安要素も多かったが、フタをあけてみれば多様なコンセプトが展示される、トーキョーらしいモーターショーだったと感じたのではないだろうか。

中でもマツダが展示した2台のコンセプトカー「VISION COUPE」と「KAI CONCEPT魁」は、その美しいフォルムと内燃機関の将来性を感じさせる内容により、従来の価値観で自動車を愛するファンからは高い評価を得ていたようだ。しかし、コンセプトカーというのはショーで愛でてもらうだけが価値ではない。未来を示しているからこそコンセプトカーなのである。

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そこで注目したいのは4ドアクーペ・コンセプトである「VISION COUPE」の伸びやかなフォルムだろう。前回の東京モーターショーで展示されたロータリーコンセプト「RX-VISION」と同様に、ロングノーズを与えられている。しかもフロントタイヤは、かなり前方に配置される。つまり、このコンセプトカーはエンジン縦置きを想定したFRプラットフォーム・プロジェクトが継続して進んでいることを示していると予想できる。

では、その長いノーズに収まるエンジンは何になるのか? まず、ロータリーと明言することは難しい。前回の「RX-VISION」はマツダのファンには歓喜の声で迎えられたが、マツダのステークホルダーにはけっして評判はよくなかったという。すなわち「ロータリーエンジンを開発するほど余裕はあるのか」と批判された。マツダにとってはロータリーエンジンというのはブランド・アイデンティティという面もあるが、一方で経営的にはネガティブな印象もある。安易にロータリースポーツの復活を叫べば、そのプロジェクトは潰されてしまいかねない。

そこでロータリー専用FRプラットフォームではなく、フラッグシップとしてのFRプラットフォームを生み出すことで、将来的なロータリースポーツの可能性を示すというのが、この「VISION COUPE」の役割という見方もできる。そして非ロータリーのエンジンとして、フラッグシップにふさわしいのは新開発された「SKYACTIV-X」であろう。圧着点火をスパークでコントロールするという新しい燃焼メソッドは、リーンバーンによる効率化や、ストイキ燃焼でのレスポンスなどを期待できる理想的なレシプロエンジンだ。これほどフラッグシップにふさわしいパワートレインはない。ただし、現時点で発表されている「SKYACTIV-X」は2.0リッター4気筒であり、記号的な意味やパフォーマンスからすると、フラッグシップに積むとは考えづらい。

そこで予想されるのは、気筒容積500ccの基本設計をモジュール的に展開した3.0リッター6気筒エンジンである。これならばフラッグシップにふさわしい。もちろん、直列4気筒エンジンのモジュール展開であるから、V型ではなく直列6気筒となるだろう。それでも十分に収まるだけのエンジンベイを持つことを、このコンセプトカー(次期FRプラットフォーム?)は示している。

はたして、マツダのモデルベース開発が4気筒以外のエンジンに対応できるのかどうか、疑問の声もあるだろうが、「VISION COUPE」の美しい流れるようなフォルムは、直列6気筒エンジンを意識していることを、存分に感じさせてくれる。そうしてFRプラットフォームのフラッグシップを生み出すことができれば、その発展形としてロータリースポーツにつながるという期待も湧き上がってくる。このコンセプトカーが示しているのは、そうした2段階の未来なのである。

(文:山本晋也)

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