高性能センサーの設計、開発、製造のグローバルリーダー「ams」社は、東京・ビッグサイトで開催された「オートモーティブワールド」展に出展し、日本初公開となる半導体式LiDAR、駆動用モーターなどに使用するポジションセンサーなどを展示した。
半導体式LiDAR
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amsは2019年に半導体式のLiDAR(ライダー:レーザー光を利用し、物体からの反射時間から距離を画素毎に計測するTime of Flightセンサー、つまり距離画像センサーのこと)の半導体システムを、LiDAR開発・製造の専門メーカー「イベオ」社、グローバル・サプライヤーの「ZF」社に供給すると発表していた。
従来のLiDARは、光源で発生させたレーザー光を鏡面で反射させて、周囲を照射し、その反射光を受信する仕組みで、360度をカバーするためには鏡面と受光部を常時360度回転させる必要がある。そのため前方用でも一定の範囲で光源を回転させる必要があり、コストが高い上に、使用環境が過酷な車載用としては条件が厳しかった。
そのため、高度運転支援システムや自動運転用の車載LiDARとしては、次世代のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)式、あるいはより先進的な半導体(ソリッドステート)式の開発が急がれている。
ams社のLiDARシステムの特長は、独自のVCSEL(面発光型半導体レーザー)と呼ばれるレーザー素子を使用していることで、より高性能なレーザー照射が可能であるとともに、機械的な要素がゼロのため、信頼耐久性が極めて高いこと、そしてコンパクト・軽量なボディにできることが特長だ。VCSELは、小さな個々のレーザー発光体を独立にオン/オフ制御しレンズと組み合せることで、まったく可動部のない状態でビーム・スキャンが実現している。
今回、展示された試作品は、目標通り極めて軽量・コンパクトにできていた。サイズは縦120mm、横100mm、厚さ70mmとコンパクト。この新開発LiDARは、2021年にはイベオ、ZFから市場投入される予定だ。また2次元VCSELを利用したドライバーモニター・カメラ用照明などにも利用が想定されている。
モーター制御用の非接触型の電磁誘導センサー
自動車用、産業用の高速電気モーター用に初の非接触型・電磁誘導タイプのインダクティブ・ポジションセンサーも展示されていた。
ローターを使用したポジションセンシングは、従来の高速モーターで広く用いられている磁気コイルを使用したレゾルバと同等の精度と応答性を実現しつつ、コスト、サイズ、重量を大幅に低減しているのが特長だ。
このセンサーは電動パワーステアリング、電気自動車やハイブリッド車のモーターの駆動力制御に不可欠で、低コスト、軽量・コンパクトというメリットにより、まもなく市場に登場するはずだ。
ハンズオフ検知ステアリングホイール
レベル2の高度運転支援システムやレベル3の自動運転では、ドライバーがステアリングホイールを握っているか、手を離しているかを検出するためのステアリングホイール・センサーが不可欠だ。
従来はパワーステアリングのモータートルクセンサーを使用していた。このamsのハンズオフ検知ステアリングホイールは、ステアリング内部のステアリングヒーターと一体型の静電容量センサーを採用している。
しかもドライバーのステアリングホイールの握り方、しっかり握っているか、ゆびをひっかけているだけかなど握力も正確に検出することができる。
さらにこのシステムはドライバーモニタリングとも連動し、ドライバーが居眠りしているか、きちんと前を見ているかなどドライバーの状態とステアリングの握り方の両方を正確に判定することができるのだ。
このハンズオフ検知ステアリングホイールを採用した乗用車もまもなく市場に登場することになっている。
なお、amsはこの他に、クルマがドアを開けた時に地面をロゴマークなどを照射できる「マイクロレンズアレイプロジェクター」、プロジェクション照明式ヘッドランプ、磁気式シャシー車高センサーなども展示した。
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